ATELIER MUJI有楽町『木を見て森を見る!』展 (ワークショップ特集)
 

北海道_杉とトドマツを使った函館チームの挑戦

 

   
 
   
  ATELIER MUJI 函館チームを総括して
  文 / 鈴木道和
   
  2018年10月12日のオープニング・トークショーの中で、北海道の木育の取り組みについて紹介させていただきました。あらためて自分の想いを書き記しておきたい。
「木育」は、2004年に北海道で生まれました。北海道森林づくり条例では、「木材の利用及び森林との触れ合いを通じて、人と森林との関わりを主体的に考えられる豊かな心を育むこと」とお堅く定義されていますが、「木とふれあい、木に学び、木と生きる」取り組みです。もっと柔らかく言えば、山や森、木、自然を通じた取り組みであれば、あれも木育、これも木育です。ただし、そこには、人と森のつながり、木と森のつながり、人と人のつながり、「つながり」があってこそが「木育」なのです(「木育」を呼びかけた煙山泰子さんの言葉から)。
2017年4月に、無印良品シエスタハコダテが開店し、木育広場やOpen MUJIにおいて、毎月のように道南スギを使ったワークショップなどが開催され、北海道の木育は一気に加速しました。(同時に、今回参加した講師陣のトークもスキルアップしました。でも、だじゃれはよくすべるので、アップしたと断言できませんが…)。
道庁としては、こうした民間の方々が木育の取り組みを自ら企画し実践することで、木育を広く普及していこうと考え、2015年から、その役割を担う方々を木育マイスターとして認定しています。今回の講師陣も木育マイスターですが、皆さんは本業を持ちながらも、木育を広めようと真剣に取り組んでいただいており、感謝の気持ちでいっぱいです。
現在、木育マイスターは247名が認定され、地域の様々な森林や木材を利用して、多彩なワークショップを全道各地で開催しています。マイスター制度がなかった頃は、通りすがりの人を半ば強制的に連れ込み、トンカチを持たせ、木工体験をさせていたこともありましたが、最近では、地域のお祭り、大きなショッピングセンターなど様々な場面で、子どもたちやパパ・ママ、おじいちゃん・おばあちゃんなどあらゆる世代が、森林探索や木工体験などのプログラム、中には「森のようちえん」のような高度な取り組みを通じて、木育を楽しんでいます。今では、木育は北海道だけではなく、全国へと広がりました。

こうした活動や広がりを見ていると、木育は、地域に住む人々に森林・林業への関心を高め、林業・木材産業を勇気づけ、住み続けたいと思えるふるさとを元気にする「地域おこし」そのものではないか、そしてまた、木育マイスターは、地域の様々な資源に、自分たちで考え、付加価値をつけていく、いわば地域おこしに向けたクリエーターだということを強く感じるようになりました。

また、企業・団体から木育マイスターの活動やイベントに対して様々な支援をいただくことも多くなりました。10年ほど前、木育マイスターは、行政が企画した盛り上がらないイベントで、無償ボランティアとして協力してもらっていたことを考えると、随分とその活動環境は様変わりしたものと思います。

今後、北海道発祥の木育が、本当に北海道に根ざした「木育」となり、「持続可能な木育活動」となるためには、豊かな感性や積極的な行動力を有する木育マイスターと様々な人・企業などからの支援を結びつけ、「ウイン・ウイン」の関係が構築される必要があると思っています。

今後の展開等: 疲弊が著しい北海道ですが、移り住みたいと思っている人たちはもとより、都会に出た若者たちがふるさと北海道にいつ帰ってきても良いように、それぞれの地域では、人々が営み、暮らし続けられるまちづくりを進めていく必要があります。 今後は、北海道の将来を考えながら森や木に真剣に向かい合う木育マイスターが、クリエイティブに活動できるような場づくりを一層進めていくとともに、講師陣をはじめとする木育に携わる地域の方々と、コイヤ協議会など全国の変態的な人々や北海道の様々な素材に付加価値をつけ発信してくれる企業・団体との橋渡し役となって、複雑な地域課題の解決に「役に立つ」木育となるよう取り組んでいきたい。
   
 
  木育マイスター研修
   
 
  無印良品シエスタハコダテ 木育広場
   
 
 
感染前   感染後
   
  ●<すずき・みちかず> 将軍(北海道水産林務部 森林環境局長)
   
 
   
  北海道に身近にある「トドマツ」や「道南スギ」を使ったカスタネット作り
  文 / 佐藤司
   
  平成29年度から参加させていただいています「OpenMUJI有楽町」が、有楽町店の閉店に伴い中止となり、出店を計画していた函館チームは代替イベントを模索していました。そんな時にコイヤ協議会からワークショップのオファーがあり、さらに全国のスギダラメンバーが日替わりでワークショップを開催するというOpenMUJIの後継イベントとしてふさわしい内容でした。参加はもちろん「OK仮面」さ!

そんな私の担当はOK仮面ではなく「カスタネット」作りです。5歳児から小学生を対象にした木の温もりや触り心地の良さを感じるワークショップです。子ども向けということもあり、予約制とはせずに当日の随時受付としました。日曜日のイベントで他のワークショップもキャンセル待ちになっていることから、限定30個は瞬殺かなと思っていました。

しかし、10:00に開店しても会場に集まる人は少なく、1回目の受付では整理券を配布するまでもなく始まってしまった。この状況はまずいと思いチラシを持って呼び込みに出掛けようとすると、ATELIER MUJIの担当者に「すみません。アトリエ内のみでお願いします」、(私)「それでは木育広場にいる子どもたちに宣伝はOKですか」。(担当者)「分かりました。店長の許可を取りますので少々おまちください。」と言われましたが、OK仮面は待っていられない!OK仮面に残された時間は3分いや30分しかない。なのでこっそり木育広場にいる子どもたちに宣伝させてもらいました。(ATELIER MUJIの方すみません)その後、順調に子どもたちが参加し、目標数量である30個プラス2個を無事に達成することができました。

あらためてATELIER MUJIの担当者の方には色々とわがままを言って大変申し訳ございませんでした。地元にある無印良品シエスタハコダテの対応はローカルルールであったことを肌で感じました。

今後も年1回は道外向けに道南スギの需要拡大と木育の推進を図って参りたいので、次は4月にオープンする銀座店で「OpenMUJI銀座」がやりたいです。
   
 
 
満面の笑み   輪ゴムに穴を通す
   
 
  兄弟で参加
   
  ●<さとう・つかさ> 北海道渡島総合振興局東部森林室
   
 
   
  フレッシュなスギを使ったリース作り
  文 / 源真紀
   
  【ATELIER MUJIでワークショップした感想】
思っていたより広く開放的なスペースで気持ちよく進められました。
特別感があって仕切られていたこともあり、気軽に寄ってのぞいていくような雰囲気と 言うよりはイベント感が強かったように思いました。
スギや花材の香りや季節感先取りのテーマで、参加者の方には喜んでいただけたのでは ないかと思います。
オーナメントを接着するのにグルーガンが使えるとより良かったの と、作ったリースを一時的に吊り下げて鑑賞できるスペースがあると他のお客様にも インパクトを与えられ撮影スポットにもなりPR度が増したかも知れません。
今後は時期的にクリスマスリースでしたが日常づかいのスギカンナ材を使ったフラワーアレ ジメントを季節にあった花材で、よりクオリティを上げ、材の本質(香りや色彩)や 意外性を追求したものを提案していきたいです。
   
 
   
 
 
     
 
   
 

●<みなもと・まき> M Flower Design 株式会社

   
 
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