今、スギダラ天草が熱い!!
 

家具をつくる意味

文/松下秋夫

   
 
   
 

はじめまして松下と申します。
天草で家具つくってます。
今回依頼されたテーマが「天草のデザイナーとしてやってること」とのことだったんですが、すいません・・・  デザイナーって程の者ではなく、お客様のご要望を伺ってそれを形にするという所謂注文家具屋です。お客様との話の中で「この部分はこうしよう」だとか「この部分はこんな感じで見せたほうがカッコいいんじゃ?」とかアレコレ意見を出し合って一つのモノを作り出していきます。うちの家具のデザインはオリジナルというよりほぼお客様との共作です。
もともと海外の家具に憧れて家具づくりを始めました。その為使う木材も外国産の物で「オーク材カッコェェ!ウォルナットサイコー!」とか思ってたんですがある時から「あれ?こんなんでいいのかな?」と思うようになりました。輸入された木材をただでさえ流通の不便なここ天草まで運んで海外のパクリみたいな家具をつくる事に無意味さを感じたのです。
そんな中「天草ヒノキプロジェクト」なるものがあることを知り参加させていただくことになりました。初めて知ったんですが天草には植林されたヒノキ材が豊富で今からが切時との事。そこでヒノキを使った家具をつくることになるのですが「ヒノキ=桧風呂」などの和のイメージがどうしてもつきまといます。もともと建具屋で障子や襖もつくってるので和が悪いというわけじゃないんですがこのイメージを壊すものをつくらないことにはカッコよくて現代の空間に溶け込むような家具なんて出来やしないと思いました。あーだこーだと悩んでおりましたがこのプロジェクトで初めてお会いした若杉さんに家具のデザインをして頂くことに!。デザイナーの方にデザインして頂くことは初めてでうれしい反面、失礼ながら「自分が受け入れられないものだったらどうしよう・・・」(何様やねん)という若干の不安もありましたが、頂いた図面&CGを見てその不安はやる気へと変わりました。
ヒノキの表情を残しながらもシャープに。脚部には木工業と同時に進めていた溶接業を生かしての鉄脚を使うことで細くスッキリ。それはまさにヒノキの持つ良さも残しつつ「あの」イメージを壊し現代の空間にも溶け込む暖かくもカッコイイ素晴らしいものだったのです。また、自分なりのものづくりの基本に「自分が欲しい(欲しくなるような)ものをつくる」ってのがあるんですがまさにそれだったんですよね。若杉さん有難うございます。その後「ヒノキシリーズ」はコイヤにも参加させていただき昨年は「木を見て森を見る!」展にも展示していただきました。有楽町でヒノキの家具たちを見たとき同じ山で育った同郷の田舎もん達と東京でばったり会ったようななんともいえない不思議な感覚を持ったものです。
天草の小さな田舎町の小さな家具屋では考えられないような体験をさせていただいております。若杉さん、パワープレイスのみなさま、コイヤのみなさま本当に感謝申し上げます。
今回どんな地域からでも発信でき多くの人に触れていただけることを知りました。
これからも木で繋がっていけるようコツコツと自分が欲しいと思えるものをつくっていければと思います。

   
 
   
 
   
   
   
   
 

●<まつした・あきお> Propeller 松下木工所

   
 
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