特集 第三回スギダラ全国大会 in 吉野
  スギダラ全国大会?? ヤタイ対決??
文•写真/ 小仲 美穂
   
 
  “杉ダラ全国大会?? ヤタイ対決??”
美山木匠塾事務局長の羽原さんの口から飛び出したこの聞き慣れない言葉。
全国大会や対決と銘打っているものだから、てっきり戦う何かのクラブか部活なのか思ったほどです。
美山木匠塾では、京都美山の大野地区にある「ちびっこ広場」に設置する製作物の提案を考えていた頃のこと。「美山木匠塾で即日施工のヤタイを製作、杉ダラメンバーの方々と対決をしよう!!」という羽原さんの提案がまさか本当になるなど思いもせず、全国大会に参加させていただくことになっていました…笑私が三回生の冬ごろ、突如引き受けることとなった美山木匠塾・幹事。
木匠塾の詳細の記述は事務局長である羽原さんの記事を参考頂きたいのですが、他にある川上木匠塾・加子母木匠塾と違い、美山匠塾の参加学校は主として京都府立大学のみ。非常に小規模で小さな活動しか行われていませんでした。
「環境共生教育演習」という授業の一環としての活動の他にも、一年を通した活動ができないか、ということで「ちびっこ広場」の短期・中期・長期の計画に分けた全体構想の提案に至り、活動を行うこととなりました。
   
 
  京都府南丹市美山町 ちびっこ広場(現地)でのプレゼン風景
   
  ちょうどその頃、縁あってスギダラ関西支部長の石橋さん、スギダラメンバーの方々にお会いする機会を頂き、あれよあれよという間にスギダラ全国大会へ参加させて頂くことに。ちびっこ広場の現地見学から、設置するデッキの提案・製作、スギダラ全国大会に参加する学生の招集、吉野の現地見学、川下企業見学などなど、私の冬休み-春休みはまさしく木・スギダラケな日々となりま した!
   
 
 
美山木匠塾デッキの製作風景   デッキは積み木のように組み合わせて使う 設
   
 
 
設置されたデッキ   完成したデッキを現地へ運搬
   
 
 
ヤタイ協賛企業さまを訪問・布地を提供頂いた(株)丸善ボタン   (株)大阪塗料工業では屋外木部用塗料について教えて頂く
   
   3月28日、全国大会の前日に吉野中央木材さんの作業場を一部お借りして、ヤタイの製作を開始。木材は吉野中央木材より吉野杉材、製作材料は大阪塗料工業より屋外木部用塗料と水ガラス、パワープレイスよりヤタイのキャスター、丸善ボタンより布地を提供頂き、ヤタイ製作に入ることができました。
   
 
 
吉野中央木材株式会社の工場を借りてヤタイ製作   吉野貯木まちあるきイベント当日に完成したヤタイ
   
  28日の製作メンバーは羽原さん合わせ美山木匠塾は4人。そこへ、川上村地域おこし協力隊の村上さんが手伝いに来てくれました。梯子を組み合わせてヤタイとなるため、組立てのときには、

「きつすぎてはいらない〜!」
「ここもっと削らないと!」
「そっち持ち上げてよ!!!」

など声をあげ、微調整の繰り返し。頂いた杉材がとてもよい木でズッシリとした重量感。

「腰が痛い!」「寒い!」

など愚痴をこぼしながらも(笑)なんとかその日のうちにはヤタイのカタチに。バチっと一回で組み立てられないあたりが木材の扱いの不慣れさを表しており、これからまだまだ修行すべしだなぁと感じる時間となりました。
   
 
  完成したヤタイで記念撮影。写真左より京都府立大学の筆者と永井麻美さん、美山木匠塾事務局長の羽原康成さん、摂南大学の角田吉史 さんと、伊藤良悟さん。撮影者は川上村地域おこし協力隊の村上航さん。
   
  3月29日、全国大会当日。午前中にヤタイの屋根の製作を行い、ヤタイ対決とはなりませんでしたが、スギダラメンバーの皆様のご協力のもと、なんとかお披露目するに至りました。残念なことに貯木まちあるきの開始には間に合わなかったのですが、広場には多くの方がおられ、ヤタイを見てくださいました!
全国大会懇親会の盛り上がりは私の予想以上で、学生の私が一歩引いてしまうほどの迫力でした。スキスギル事があると、またスキスギ同士が集まるとこんなにも大きなエネルギーになるのかと、人と杉のパワーとエネルギーをひしひしと感じながら、ひっそり百年杉の樽酒を頂いておりました。笑

このパワーを、次は美山にも持ち込むべく、ちびっこ広場に新たなヤタイを製作する予定です。ちびっこ広場を屋外木育広場に!?を目標に提案を実現していきたいと思います。

また、京都府立大学には「森なかま」という森林を愛してやまない団体が存在します。主たるは森林科学科の学生たち。美山木匠塾の目指すところとしては、この「森なかま」と「美山木匠塾」で協力しあい森づくりから製作まで、京都府立大学から発信していきたいと“勝手に”夢見ています!!全国大会で頂いたパワーを、学内でも広めていきたい、いや、広めます。

最後になりましたが、ヤタイ製作の材料提供から当日までの調整など、さまざまな方にご協力いただきました。素敵なご縁と貴重な時間を本当にありがとうございました!
   
   
   
   
  ●<こなか・みほ> 京都府立大学 環境心理行動学研究室 4回生
2013 年度美山木匠塾 学生幹事
   
 
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