連載  
  あきた杉歳時記/第60回「杉居心地」
文/写真 菅原香織
  スギダラ秋田支部から、旬の秋田の杉直(さんちょく)だよりをお届けします ・・・・
 
 
 
  夏の日差しを除けるとともに、縦格子を抜ける風にほのかな杉の香りも感じるバスターミナルです。
   
 

秋田駅西口バスターミナルが竣工して1年が過ぎました。面積(37万ha)・蓄積(1億m3)ともに日本一の秋田杉を活かしたお出迎え空間は、秋田駅前の人にも杉にも居心地のよい風景としてすっかり定着してきたように思います。

さて、このたびこの秋田杉のバスターミナルが2014年度グッドデザイン・ベスト100(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞しました。応募総数3601件のうちグッドデザイン賞の受賞件数が1258件。さらにグッドデザイン・ベスト100の中からグッドデザイン大賞候補9件のうちの1つにも選ばれました。(秋田駅西口バスターミナルの完成秘話については月刊杉95号に特集されていますのでこちらもご覧ください。)

審査員からは「木質による、ほのぼのとした温かさと風合いを感じさせる、「ここでバスを待ってみたい」と思わせるバス停の計画である。これまでも多くのデザイナーがチャレンジしてきた対象であるが、ここでは国産材利用が低迷する状況に対して公共インフラへの木材利用可能性を示すかのごとく、これまでのバス停留所デザインとは全く異なった世界観が木材の適切な利用によって打ち出されている。見て美しいだけではなく、バスを待つ間に流れる時間や、バスを待つ見知らぬ人々と言葉を交わすシーンが目に浮かんでくるような「使ってみたくなる」バス停が生まれている。単体の美しさも特筆すべきだが、群となり駅前のバスターミナルを形作る姿も、集落のように暖かく美しく、これまでの同種の施設と一線を画している素適なデザインである。」と大変高く評価していただきました。

10/31(水)〜11/4(火)に東京ミッドタウンで開催する、グッドデザインエキシビション 2014(G展)において、グッドデザイン大賞の来場者投票コーナーがありますので、お近くにいらした際にはぜひお立ち寄り頂き、スギダラ会員のみなさまの清き一票を投じていただければ幸いです。(ご希望の方には招待券を差し上げますのでご連絡ください。)大賞発表は11月4日。日本全国の「杉」にとって、新しい未来への扉が開く日になりますように。

 

   
   
   
   
  ●<すがわら かおり> 教員
秋田公立美術大学 景観デザイン専攻 助教 http://www.akibi.ac.jp/
日本全国スギダラケ倶楽部 秋田支部長 北のスギダラ http://sgicci.exblog.jp/
月刊杉web単行本『あきた杉歳時記』 http://www.m-sugi.com/books/books_sugicchi.htm
月刊杉web単行本『あきた杉歳時記2』 http://www.m-sugi.com/books/books_sugicchi2.htm
   
 
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