特集 月刊『杉』10周年記念特集
  杉九10年をふりかえって

文/写真 溝口陽子

   
 
 
 

はじめに、月刊杉創刊10周年おめでとうございます!10年もの間、毎月杉への熱い思いをぎっしり詰めて 発刊し続けたそのパワーにただただ感服するばかりです。
本業の傍ら原稿を書いてくださったみなさま、編集部のみなさまに心より感謝しております。
スギダラ北部九州は月刊杉がスタートした翌年の4月に結成しているので今年で9年になります。四半世紀の つきあいになる幼馴染の佐藤薫さんを誘って宮崎のイベントに2度くらい参加した後、本部の南雲さんから佐藤さんが広報宣伝部長、私が支部長で福岡大分界隈で何かやってよ、という突然のお達しが来たのがことの始まり。方や一般企業に勤める会社員(スーパーOLですけど)、私も杉を使ってクラフトをつくる仕事をしてはいるもののスギダラ的な人の集まるイベントをした経験はなく、二人でどうしよう?と迷いましたが、二人でなら何とかなりそうな気もしたので(長い付き合いなので一緒だと何だか安心しちゃうんです)とりあえず受けてみることにしました。

とはいっても夫も入れて3人では何も始まらないので、とにかく仲間を増やす!目的であちこち出向いてスギダラと杉九の紹介をして回りました。同じにおいがする人に出会えばすかさず杉九マスコット付きの名刺を差し出し熱心に勧誘する日々。初年度はそんな私たちを怪しまずに仲間になってくださった方々のイベントなどにお邪魔させてもらう形でいろいろと参加させていただきました。

まず山のことを知ろうと5月には九州林産さんの管理する湯布院の山の見学会へ。手入れされている山の美しさにすっかり魅了され、山の保全の重要性を再確認するとともにスギダラ活動への意気込みも増します。この頃、地元を盛り上げようと動きだしていた林業家のバルスギさんこと合原さんや高倉貴子さんの大分日田チームと合流し、日田のおまつりにも参加させてもらいました。

8月には遊船を会場にした「水面の盆」に杉ダーツで参加。杉の輪切りを壁面のように並べた的が見た目にもインパクトがあり、老若男女の日田っ子に大人気でした。
11月には竹灯篭を町中に設置して灯りを楽しむ「千年あかり」に杉屋台や杉縁台などを使って杉空間をつくり、こちらも竹灯りと杉は相性がよく好評でした。

 
 
水面の盆ちらし   杉ダーツ
   
 
 
千年あかり屋台   千年あかりテント
   
 
 

初めてのイベントで準備から片付けまで運営側の大変さが分かったのはいい経験になりましたし、何よりみんなでまつりを作り上げることが楽しかった!杉があるとまつりが盛り上がることが確信できましたのも収穫でした。

立ち上げ時は何ができるのかよく分からなかったのですが、ものづくりは家業でもあるし作り手仲間もたくさんいるのでそれを生かした活動をしていくことになります。

2008年には大分の有馬晋平さんのご実家(佐賀は厳木)を会場に「杉モノデザイン展」を開催。主に大分福岡佐賀の作り手による杉モノと昔から使い込まれてきた杉の古道具を集め、明治時代に造られた重厚な蔵に展示しました。テーマは「杉+(プラス)」ということで音楽や食や酒などにも杉を絡めて内容盛りだくさんな9日間となりました。
杉モノちらし    
 

2010年には杉モノデザイン展で一緒に企画してくださったデザイナー長尾さんが佐賀の仲間と共に杉と温泉がテーマの「杉と温泉ぐるぐる計画」を開催。佐賀の湯どころ武雄温泉と嬉野温泉と長崎の波佐見の3つの町をつなぐという新しい形のイベントでした。多くの杉九ものづくり部隊も波佐見のギャラリーでの杉のクラフト展示に参加。(宮崎からもobisugi designチームが参戦してくださいました!)

 
  杉モノデザイン展
   
  このイベントの目玉のひとつが旅館の杉風呂でした。温泉に直径30センチ近くある杉の玉がぷかぷか浮いている様子はそれだけで何だか楽しげで、お客さんもとても喜んでくれたそうです。この展示会では温泉旅館や観光協会の方も巻き込み、地域を盛り上げたい!という主催者の思いが十分に共有されていたのが素晴らしかったです。結果、お客さんにも居心地のいいまつりとして受け止められていたように思います。
   
 
 
杉ぐるちらし   杉玉風呂
   
 

こんな感じで杉のものを軸にイベント企画・参加をしてきていましたが、この辺りからJR九州さんチームが新たな風を吹き込んでくれました。福岡へ転勤になった津高さんがいろんな企画を提案してくださって、八幡の新日鉄見学や九州新幹線の試乗会、新しくなった博多駅ビルの内覧会などなどかなりレアな体験をさせていただきました。
そしてJR九州さん内でもスギダラ会員も増えて杉九がにぎやかに。ちょうどこの時期には本部の千代田さんが福岡に赴任してらして杉九を大いに盛り上げてくださったことも大きかったです。

2011年には九大の藤原先生の天草フィールドワークにも参加させていただきました。
高浜地区を歩き、地域のみなさんと交流し、高齢化の進む地域のまちづくりについて考えました。こういう地域再生ワークショップに参加するのは初めてでしたが、スギダラツアーで訪れたところでも共通の悩みを抱えているところが多く、そういった地域のことも思い浮かべながら自分なりに高浜の現状をわが身に引き寄せて考え、貴重な経験をさせてもらいました。

2012年にはティンバライズ九州展にクラフト展示で参加。建物の木質化計画という発想は新しく、学生さんたちのプレゼンも興味深かったです。木でできたビルが街にできればどんなに楽しいかと想像するだけでわくわくしました。

2013年には大分チームによるスギダラ大分ツアーに参加。JR九州大分支社のスギダラオフィスの見学、大分のてづくり男子の展示会、別府散策など充実した内容でふらっと訪れただけではとても味わえないとてもディープな旅となりました。

2015年の春にも大分ツアーが開催され参加者のみなさんでいい時間を過ごされたようです。
杉九も立ち上げ当初の不安をよそにたくさんの仲間が増えました。重要な活動?である忘年会、新年会、歓送迎会なども回数を重ねすっかり親しくさせていただいています。(有難いことです!)そしてつながったみなさんとイベントなどをしていくという自然の流れにまかせて活動してきました。きっとこれからもそういうスタイルでやっていくのだろうと思います。このごろは名ばかり支部長ぶりが板についてきたと自負すらしていますが、杉九はメンバーのみなさんありきなので(ほんとに!)今後とも何かおもしろそうなことがあればどしどしご提案をお願いいたします。
そしてまたみんなで集ってわいわいいたしましょう。

   
   
   
   
  ●<みぞぐち ようこ> 杉の木クラフト  スギダラ会員 No.0087
   
 
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