特集 祝! ウッドデザイン賞2015受賞
  2015年、ウッドデザイン賞が創設されました。

文 / 写真 松尾真奈

   
 
 
 

この賞は、“木のある豊かな暮らし”を世の中に広め、木材利用を促していくことを目的に、多くの人の御理解・御協力をえながら誕生しました。結果としては、822点という予想をはるかに上回る応募を頂き、嬉しい悲鳴をあげながら、賞の運営に携わってきました。ここでは、「ウッドデザイン賞って何?」という方にも分かるように、林野庁の木づかい担当者目線からお伝えできればと思います。

申し遅れました、私は林野庁木材利用課消費対策班でウッドデザイン賞の担当をしています松尾真奈と申します。「消費対策班」といういかにも堅い名称ですが、簡単に言うと、一般消費者に対してどうしたら木にもっと親しんでもらえるか、木を利用してもらえるかを考えている部署です。具体的には、シンポジウムなどのイベントの開催、ポスター制作などの広報、木育といった教育活動を通じて、木材利用の意義や木材の良さを伝える仕事をしています。

   
 
   
 
   
 

■ウッドデザイン賞はどのように誕生したのか?

林野庁では平成17年度から地球温暖化対策の一環として、国産材利用拡大に向けた「木づかい運動」を展開しています。この運動に併せて、国産材を大量に供給・利用した企業等に対して「木を使ってくれてありがとう」という感謝の意を表す「木づかい運動顕彰」を10年間実施してきました。この制度が11年目という節目を迎えたため、これを発展させる形で新しい賞を設計することになりました。新しく賞を設計するにあたっては、木をたくさん使うことを評価するだけでなく、木材の利用拡大にとって重要である「ユーザーにとって魅力的なものであるのか」という消費者視点で評価すること、そして製品だけでなく取組にまで表彰対象を広げることの2点を軸に、たくさんの議論を重ね、ウッドデザイン賞(新・木づかい顕彰)が誕生することとなりました。

   
 
   
 
   
 

■ウッドデザイン賞の概要

こうして誕生したウッドデザイン賞は、木に関するあらゆることを応募の対象として(ハードでもソフトでも)、暮らしの質を高める「ライフスタイルデザイン部門」、人の心を豊かにする「ハートフルデザイン部門」、地域や社会を活性化する「ソーシャルデザイン部門」の3つの表彰部門を設け、どの部門に応募するかは応募者に選択してもらいます。
応募頂いた作品は、書類による1次審査と審査委員による2次審査を通過しますと、晴れて「ウッドデザイン賞」受賞となります。さらに、その受賞作品の中から最終審査を経て、農林水産大臣賞(最優秀賞)、林野庁長官賞(優秀賞)、審査委員長賞(奨励賞)が決定されることとなっています。
2次審査の審査委員には、今話題の新国立競技場の設計をされることになった建築家・隈研吾先生始め、各分野の第一線で活躍されている建築家、デザイナー、バイヤーといった方々にお願いしたのですが、皆さん日本の木の文化や木材利用の重要性など、賞の趣旨を理解してくださり、快く審査委員を引き受けてもらいました。

   
 
   
 
   
 

■ウッドデザイン賞の反響とこれから

第1回目の実施ということで、正直、どれくらいの応募が集まるのか未知数で、不安をかかえたスタートでした。しかし、各方面の方に周知してもらったり、メディアにも取り上げてもらえたりしたことで、想定をはるかに超える応募がありました。担当者としては、多くの応募があったことはもちろん、こんなにも日本各地で森林や木に向き合っている人がたくさんいるんだ!こんなに素敵な木製品があるんだ!こんなにも木に対する関心が高まっているんだ!ということを実感し、感動しました。この場を借りて応募して下さった全ての人に感謝の気持ちを伝えたいです。本当にありがとうございました。
さて、審査を経て受賞作品が決まり、表彰式が終わりました。受賞されたみなさん本当におめでとうございます。審査を経た審査委員の方のコメントをご紹介させていただくと、素晴らしい作品が多かったという前提の上で、「でもまだまだやれるよ!」というものがありました。具体的には「木材活用の重要性は消費者側も意識しているが、あくまでも付加価値として考えている。まず顧客にとって魅力的である製品であることが大切だ」であるというデザインの重要性を改めて指摘したコメントや、「テレビCMのように短時間で伝わる仕組みを工夫すると、その良さが伝わりやすい」というプレゼンテーションや情報発信の仕方についてのアドバイスがありました。今回、応募頂いた作品は、残念ながら受賞しなかったものも含め、どれも素晴らしいものばかりでした。しかし、もう少しデザインの工夫や発信の工夫があればもっと良くなるというものも多く、そういう意味では、そこを克服してぜひ来年再チャレンジしていただきたいと思っています。

   
 
   
 

最後になりますが、ウッドデザイン賞は生まれたばかりです。
この賞は、森林で働く人、家を建てる人、家具を作る人、デザインする人、売る人、買う人、様々な立場の人に支えられて成り立っています。何年も、何十年も続く、みんなから愛される賞になるよう、一緒に育てていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

   
 
   
   
   
   
  ●<まつお・まな> 農林水産省 maff
   
 
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