連載
  杉で仕掛ける/第19回
文/写真  海野洋光
   
 
杉を使ったら、どんなに楽しいか!いつもワクワクしながら、スギダラ活動をしています。
私の仕事もお客様にどんなことをしたら、喜んでいただけるのだろうか。そんなことを考えると次のアイデアが生まれます。
築98年の古民家を解体することになりました。(私もまじめに仕事をしています)
   
 
  宮崎県延岡市北川町にある古民家   黒々とした松の梁があります
   
  でも、解体だけでは、面白くありません。そこでイベントを仕掛けたのです。解体現場を一般の方にも解放した見学会を開催しました。
   
   
  古民家解体見学会を開催   解体見学会には、お客様の親族が揃いました
 
  普段は祖先から引き継いだ建物を壊すという、湿っぽい解体現場ですが、この日は、みんな笑顔で記念撮影をしていました。この建物の材料の一部は、再び蘇るように私が、保管をします。
通常の解体は、ミンチ解体と言って、重機でバラバラにします。全てが産業廃棄物になってしまいます。私の仕事は、全て捨てることはありません。
解体見学会は大成功でした。この見学会のポイントは、お客様のご協力とご理解でした。
   
 
 
見学者の足元にある玄関の式台下の小さな建具
   
  今回、解体見学会を快く承諾していただいたお客様に何かお礼をしなければ、と考えました。写真の杉の建具は、98年前に作られました。この建具を98年の時を経て別のモノに蘇らせることにしたのです。まず、洗いをかけます。水で98年の汚れを落としていきます。
この時、気づいたのですが、ドロが付着しているのです。この建物は、何度も冠水に遭いました。その時のドロだと思います。
   
 
 
右が古民家から外したもの、左が、水洗いをしたもの
   
  次に塗装をします。
できるだけ、今までの雰囲気を残しつつも、違うもので使用するための塗装です。
今回は、安全を考え、「ノンロット」と言う塗料を使用しました。何度も塗っては、ふき取り、やっと満足できる色に落ち着きました。
この時、お客様の顔が浮かんできます。
うちの専務は、元の方が良いと言います。
確かに骨董であれば、元の方が味があって良いのでしょうが、仮にもリノベーションを掲げる海杉ですから、ここは、利用法の提案として・・・。
   
 
   
  今回は、建具に鏡を取り付けました。
喜んでいただけるかは、心配ですが、98年の歳月を経た自分の家の部材です。大切に使ってもらえればと思っています。
   
 
   
  ●古民家解体工事見学会のおしらせ
  明治初期、佐土原藩の従医を勤めていた医師住宅、築130年の旧飯田洞敬邸の解体工事見学会を開催します。詳しくはこちらをご覧ください。
  日 時:平成21年4月11日(土)・12日(日) 13:00より
場 所:宮崎市佐土原町上田島 旧飯田洞敬邸 宮崎銀行西佐土原支店近く
   
   
   
   
  ●<うみの・ひろみつ> 2009年3月31日をもって、日向木の芽会 を卒業しました
海野建設株式会社 代表取締役 / HN :海杉
   
 
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