連載
  スギダラな人々探訪/第40回 「間伐材研究所」「ふくおか森づくりネットワーク」
文/ 千代田健一
  杉を愛してやまない人びとを、日本各地に訪ねます。どんな杉好きが待ち受けているでしょう。
 
   
広報宣伝部 千代田です。先月号では情報収集がうまくできず、連載をお休みさせていただきました。ごめんなさい。だからという訳ではないのですが、今月は福岡と京都からの情報の2本立てで発信させていただきます。
ひとつは京都府綾部市で森林に入って山の整備をしたり、間伐材でのものづくりを通してまちと森を繋ぐ活動をしているNPO法人「間伐材研究所」のご紹介です。
そしてもうひとつは、福岡で里山ボランティアをしている顔見知り10余名が集まり1保全団体の立場では実施しにくい普及活動等を行うおうとできた勝手連的グループ「ふくおか森づくりネットワーク」のご紹介です。
2団体共、その活動は多彩で特に「継続的」に活動されているところがすごいと思います。既にスギダラ倶楽部とも接点を持っていただいていますが、取り組みの姿勢として、<楽しみながら>活動を推進されているというところはスギダラ倶楽部とも共通しているものを感じましたし、継続的活動のエネルギーの源泉だと思います。
では、個々にご紹介して行きたいと思います。
   
 
   
  1.間伐材研究所 http://kanbatsu.sakura.ne.jp/
   
  今年の6月末頃のことですが、間伐材研究所の代表、幹田さんから連絡があり、機関紙である「間伐材新聞」でスギダラ倶楽部を取材したいとご要望いただきました。幹田さん自身は1年以上前からスギ関のメンバーとの接点があり、既にスギダラ倶楽部の会員です。
そんなこともあり、その間伐材新聞でスギダラ倶楽部の活動を紹介していただくことになりました。幹田さんにはスギダラ本部にわざわざ来ていただいたのですが、もう1件取材先があるものの、この新聞記事の取材のためだけに東京まで来られたとの事。何と言うか暑苦しく活動している人がどこにでもいるもんだと感心するばかりです。スギダラ本部のスギダラオフィスをご案内しながら、お話をさせていただいたのですが、幹田さんの暑苦しさはコテコテの関西人という感じではなく、目をキラキラと輝かせた少年のような無邪気な熱さだったのがとても印象的でした。
   
  間伐材研究所では、「森を育てる」→「つくる」→「つかう」→「まもる」という間伐材活用のシステムを自分達でも研究しながら、水源の森の保全に貢献してゆくことを目指して活動されていますが、そのねらいとしてホームページの中に以下ように書かれています。
   
  『間伐材は、(1)森の手入れの経費を賄う収益手段であり、(2)切ったり彫ったりして新しいものを創り出す、楽しい木工の材料です。そして何より、(3)森林の分身として街に入り込み、日常の生活を送る私たちに山からのメッセージを伝える存在、つまり「やま」と「まち」をつなぐツールでもあるのです。』
   
  間伐材の問題は至るところで取り組まれていますが、間伐材を『山からのメッセージを伝える存在、「やま」と「まち」をつなぐツール』と捕らえ、そういう山林の現場での人々のふれあいを通して活動されているところが素晴らしい! 何より「間伐材をつまみに楽しむ」という姿勢に共感を覚えました。
   
  今回、8月2日発行の間伐材新聞27号では、スギ関メンバーの活動を個々に紹介する傍ら、スギダラ本部の取材記事も入り、まるでスギダラ倶楽部特集号のような新聞ができあがりました。月刊杉読者の皆様にも是非読んでいただきたいと思い、幹田さんに掲載許可をいただきましたのでここに転載させていただきます。
   
 
  間伐材新聞表紙(第27号 平成21年8月2日発行)
スギ関の石橋輝一さん、水木千代美さん、狩野新さん、そして千代田さんの記事が掲載されています。(全12ページ)
  PDF形式でダウンロード!
   
  最後に、幹田さんからのメッセージをご紹介します。
   
  『こんにちは!京都府の北部、綾部市という町で活動している「間伐材研究所」です。
平成14年の設立以来、月に1度、山に集まり、間伐などの森林整備や木工活動をしています。毎回、20代から70代までの老若男女10数人ほどで作業しています。
もう一つの活動として、「間伐材新聞」という機関紙を作っています。これは、全国の間伐材や国産材の活用事例を取材し、記事にすることで、森や木に関心を持つ方が増えていってもらうねらいで、林業家さんから工房、発明家、筏士まで、各地で頑張っておられる方々に話を聞くため、仕事の合間にカメラ片手に走り回っています。
会員は60名。活動に参加する人、年4回発行される「間伐材新聞」を楽しみにしている人、興味ないけど応援だけしてくれる人など、年会費2000円で様々な方がボチボチと楽しんでくれています。
この度、「日本全国スギダラケ倶楽部」さんの取り組みを記事掲載したところ、千代田さんにご紹介いただけることになり、ついでに一言PRさせていただきました。よろしくお願いします!』
   
  間伐材研究所はスギダラ倶楽部よりも歴史が長く、小規模ながら継続的に楽しんで活動をされている素晴らしいコミュニティだと思います。スギダラ倶楽部との接点もできましたし、こういった地域地域で地道に活動されている人々がもっと繋がって行けたら活動もさらに広がって行く、そんな感触がありました。
   
 
   
  2.ふくおか森づくりネットワーク http://fukumori.blog.drecom.jp/
   
  7月初旬のことですが、スギダラ倶楽部にセミナーの講師をお願いしたいと連絡がありました。依頼主はスギダラ倶楽部の会員さんで「ふくおか森づくりネットワーク」の柴戸さんからでした。会員番号882番の柴戸さんは、とあるNHKの番組見て、杉に関心を持ち、「杉」というキーワードをネットでたどってスギダラに行き着いたそうです。
ふくおか森づくりネットワークでは里山の保全をテーマにボランティア活動をされていて、企画や広報、救急と言った技術、森づくり活動へのこだわりなどを持った個性的なメンバーが集まっているとの事。そういった有志メンバーによるボランティア活動だけでなく、福岡県森林環境税「福岡県森林づくり活動公募事業」としてシンポジウムの開催、山林の現地体験ツアーなど、かなり気合いの入った組織的活動もされています。
最近では人工林に関わる活動が増えて来たとの事で、今年の秋は主に森林と都市の間で森林を応援する立場の方々を講師としたシンポジウムを企画されています。
そのシンポジウムの事務局を担当されているスギダラ会員、柴戸さんからのご連絡では、シンポジウムのひとつでスギダラ倶楽部での活動を紹介して欲しいという依頼でした。その連絡をいただいて早速、南雲さん、若杉さんのスギダラ兄弟に相談したところ、千代田が単身で担当させていただくことになりました。いつもはスギダラ3兄弟揃い踏みで講演することが多く、単身でお話に行くのは初めてのことなので、今からちょっと緊張していますが、郷里の福岡なので、思わず博多弁が出ても全然問題無いだろうし、千代田なりにスギダラのことを参加者の皆さんにお伝えし、楽しい交流ができればと思っています。
   
 
   
 
  「森とまちをつなぐ人」チラシ→PDF形式でダウンロード!
   
  この会は、ふくおか森づくりネットワークが主催する計4回に渡る連続講座で、全体テーマは「森とまちをつなぐ人 〜私たちにできること〜」となっています。
その第一回のシンポジウムにスギダラ倶楽部で登場させていただくことになりました。
参加予定者は里山保全や森林保全に感心のある方々で多くは初心の方らしいです。
千代田が話す時間は30分くらいなので、スギダラ倶楽部の活動全部をお話する時間は無いと思いますが、大変僭越ながら、スギダラ倶楽部を代表して会員の皆様の想いをお伝えできればと思っています。
できれば、スギダラ北部九州のメンバーの皆さんにも参加していただき、参加者の皆さんにご紹介できればと思っています。奮ってのご参加ヨロスギお願いいたします。
   
  ふく森の柴戸さんからもメッセージいただいているので掲載させていただきます。
   
  『ふくおか森づくりネットワークは、福岡近郊で里山保全活動をおこなっていたメンバーが個々の団体では解決できない課題を解決したいと設立した森林保全ボランティア活動を中間支援するための任意団体です。
2003年に設立し、市民に里山に来てもらう「里山体験リレー」、安全で楽しい作業をするための「グループリーダー講座」などを実施してきました。2008年には「第13回森林と市民を結ぶ全国の集い」という森林ボランティア、林業、建築関係者などが集う全国大会の事務局をお受けしました。この中の総括の一つとして「森林の役割や重要性について、いかに山村から都市へ、ムラからマチへ発信するかが課題」という指摘がなされました。
そこで2008年からはじまった福岡県の森林環境税を活用した公募事業で、「連続講座・森の守り人に会いに行く」を企画し、主に生業で森林とかかわる方たちに山側から都市に向けて発信していただきました。この講座も終了した3月、NHK福岡放送局で福岡県の林業地帯である上陽町にて杉の水車で杉の線香をつくっている方が紹介されました。
もう少し詳しく知りたくネットで検索したところ北部九州スギダラケが唐津で実施された杉モノデザインの記事にいきあたりそのまま上流に上り、ついに月刊杉に出会ったのでした。
http://fukumori.blog.drecom.jp/archive/709
  杉と明るくつきあう方法について考えていた時期ですぐさまスギダラに入会、つづけて今年度の連続講座「森とまちをつなぐ人 〜私たちにできること〜」の講師に、スギダラからの招聘を提案するというスギダラ化一直線となりました。
ふと気がつくと、周囲のスギダラ化はすでにすすんでいて、以前福岡で学生をしていた知人や当会のミーティングに参加したことのある方がスギダラだったと知りました。そして今日は、社会人一年生から「スギダラに入ろうと思う」と告白を受けたところです。
  では、千代田さんはじめスギダラの方々とオフでお目にかかれる10/14をふくおか森づくりネットワーク一同とても楽しみにしています。』
   
 
   
  以上、今回はスギダラの広報宣伝活動の一旦を担っていただいている2つの熱ーい皆様をご紹介させていただきました。どちらも流行廃りに惑わされることなく、しつこく継続的に活動をされている素晴らしい仲間たちだと思います。こんな輪がもっと広がって、互いに連携して活動して行ければ良いですね。とりあえず、10月の福岡での素敵な出会いを楽しみにしています。(ち)
   
   
   
   
   
   
  ●<ちよだ・けんいち>インハウス・プロダクトデザイナー
株式会社内田洋行 テクニカルデザインセンター所属。 日本全国スギダラケ倶楽部 本部広報宣伝部長
   
 
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