連載
  日南十日会と杉コレ
文/写真 ・ 南雲勝志
  いま地域が生き残るために・・・
 

飫肥杉大作戦が終わって約一ヶ月。
昨年の11月、杉コレin日向が終わった後の駅前のシーンは今でもふと思い出す。
審査委員長内藤さんと話していると、翌年の担当である日南十日会の次期杉コレ実行委員長の山口さんと担当リーダーの蛯原さんが話しかけてきた。「あの〜、来年の杉コレなんですが、どうしたら良いかと思いまして・・・」二人ともいかにも不安げな顔だった。「十日会は人数もたった8人で・・・。何か良いアイデアはありませんでしょうか?」
その時は「何とかなるよ、楽しく元気にやろう! 運河もあるし水だよ水!」とかいう感じであったが、それで済むわけもなく、現実はその後かなり長い道のりだった。(笑)

最初の難関は2009年のテーマ決定である。年明けには決定しないとスケジュールが間に合わない。日南といえば堀川運河、運河沿いに作品を並べ、ギャラリーと一緒に鑑賞してもらおう。そんな事で初めのタイトルは【堀川運河にちなんだ杉のカタチ】(運河、日南だ!)。年が明けそれをもって十日会と一緒に内藤さんを訪ね、東大に行く。
お昼を食べながら、内藤さんは「う〜ん、ちょっとパンチがないね〜。もっとダジャレでないの?とにかくね、みんな元気がないんだから笑えることやろうよ。」そう助言され、最終テーマ【運川運河上向く杉のカタチ・笑えるデザイン】という長いタイトルが決定した。一月中旬あたりであったと思う。

その後杉コレだけでなく、いくつか区切りとなるイベントも一緒にこなして来た。一月の川上元美さんデザインセミナー(宮崎県主催)。三月に篠原修景観セミナー(日南市主催)。その度に山口さんが今年の杉コレの発表をし、エビちゃんが歌い踊る。そうして回を重ねるごとに十日会のメンバーもみんな顔見知りになって調子も出てきてた。若いメンバーの顔にも笑顔が見られるようになって来た。(※文末の写真参照)
そして三月に応募を開始、とにかく杉コレ2009が表向きスタートした。 応募が集まらずハラハラしたが、最終的には100点を超え、6月初旬に東京で一次審査を行い、ベスト30を決定、二次審査へ向け次のステップに向けスタートした。

八月に行われた杉コレ二次審査に出そろったは応募案はとても楽しく、冗談たっぷりだった。素晴らしかった。この時点で、今年の杉コレのデザイン的な心配はなくなった。その時の前夜祭は内藤さんの誕生日祝いを兼ね、油津商店街で屋台パーティーを行った。この時の巨大ろうそくで十日会もようやく審査委員長と気持ちが打ち解け、仲良くなった。
大作戦の良いところはこれらの節目のイベントをすべて、日南市、宮崎県、地元メーカー、木材組合、そして十日会+市民で行ってきたことである。うまくいけばみんなが喜んでくれる、でも今一だとみんなが心配する。そういうプロセスを経て、緊張感のある全体のチームワークが出来ていっのではないだろうか。

   
  ハッピバスギーナイトー(風神)   風神とがっちり握手。その前は冷や汗ものだった。
 
  杉コレ二次審査前夜祭。飫肥杉大作戦の面々が勢揃い。
  さて、杉コレで本当に悩むのはそれからである。二次審査が終わると応募案の現物づくりがスタートするからだ。毎年、製作上や安全上、または金銭的な事を含め、色々な問題が起き、悩みや弁明の相談がくる。ところが今年はそれが一回も無いのだ。
これはめちゃくちゃ上手くいってるか、あるいはその逆かどちらかだ。10月を過ぎるとさすがに心配になり、エビちゃんに電話した。すると「大丈夫ですよ、みんな上手くいってますよ。」とさらりと答える。そしてまもなく製作途中の写真が送られて来た。本当だ、難易度の高いと思われたものが次々に完成に近づいている。
今年は二次審査の時点で七会団がそれぞれ何を担当するか分担していたのだ。木青会全体が要領が良くなったというか、実力がついてきたというか、どんどん凄くなっていく。最後に笑うえるためにみんなが刃を食いしばって頑張ったのだと思う。
   
  ハ途中に送られて来た写真の一部。(森のおっぱい海に行く)の途中写真。驚いた。
  昨年初めて出会ってから、杉コレまで十日会といったい何度呑んだだろう? (笑)特にこれといった大した打合わせをした記憶もあまり無い。(胃や、したのかも知れない。)今年は大作戦だけあってちょくちょく日南に行ったが、その度に用が会っても、無くても呼び出しては呑んだ。いつも来てくれ、エビちゃんの歌はどんどん上手くなり、踊りもうまくなる。迷惑なときも多かっただろうな〜と思う。でも一年に及ぶそんな途中の出来事がほんとに楽しかった。そして本当に頑張ったと思う。杉コレをやり遂げた今、改めて敬意を表したい。でもその分終わるとなんだか寂しい。

木青会は素晴らしい。日向も宮崎も都城も。最初はちょっと心配だか、一年して杉コレを終える頃にはグッと大きくなる。そして自信に満ち溢れている。海野さんが各会団持ち回りにした成果が正に現れている。

さて来年の西都の杉コレ2010、ここまでうまくいくようになると担当会団は益々プレッシャーかかるだろうな〜。 でも多分、また今までにない盛り上がりと感動がが生まれるでしょう。ね、西都の皆さん。

 
  これからも頑張れ!日南十日会 (あれ、まだ半年ほど前の写真なのにみんな若い!?)
   
   
  ● <なぐも・かつし>  デザイナー
ナグモデザイン事務所 代表。新潟県六日町生まれ。
家具や景観プロダクトを中心に活動。最近はひとやまちづくりを通したデザインに奮闘。
著書『デザイン図鑑+ナグモノガタリ』(ラトルズ)など。 日本全国スギダラケ倶楽部 本部
 
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