連載
  杉で仕掛ける/第26回 「まちづくりの成功のコツ―腰を据えて―」
文/ 海野洋光
   
 

明けましておめでとうございます。
新しい一年が、始まりました。
皆さんは、どのようにこの一年を過ごそうとお考えでしょうか?

   
  「一年の計は、元旦にあり」有名な言葉ですが、辿ると「三計塾」を開いた飫肥の藩士でもあり、幕末の儒学者、安井息軒の言葉なのです。「一日の計は朝にあり。一年の計は春にあり。一生の計は少壮の時にあり。」は、この三計塾の設立主旨の言葉です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89%E4%BA%95%E6%81%AF%E8%BB%92
   
  安井息軒と言う人物を知らないでも、森鴎外の小説「安井夫人」の旦那といえば話は早いでしょう。何事もはじめに計画が大切だということです。新しい1年しっかり計画を立て、目標にまい進していきたいものです。いつも、思っているのですが、なかなか実行できない海杉です。「今年こそは!」と言う気持ちです。
   
  スギダラでも応援していた延岡市北方町上崎地区が、延岡市の景観賞を受賞しました。海杉にとっても、本当に嬉しい受賞です。上崎地区と関わりを持って6年が過ぎました。過去を振り返ってみるとあることに気付きました。上崎だけでなくまちづくりや地域おこしには、とって大切なキーワードがあったんです。
   
 
  上崎地区の菜の花と橋
 
  宮日新聞にも上崎の菜の花の取り組みが掲載 (画像をクリックすると、大きなサイズのものがご覧になれます)
   
  延岡市の広報誌「のべおか」   上崎地区に植樹した時の記念碑。なぜか?スギではありません。
   
  まちづくりや地域おこしは、日本中でやっています。成功例や失敗例なので幾つも語られているのであえて、書き上げませんが、まちづくりを成功させる基本は、じっくり腰を据えて、全員で取り組むことです。
橋が架かったから、まちづくりが上手くいった。杉を使うと成功する。菜の花をすれば、人が集まる。まちづくりのヒントのようなモノがたくさんありそうですが、それは、きっかけだけのことです。自ら考え、全員で行動することが大切なことで上崎の人は、越を据えて実行したのです。
   
  橋の手摺メンテナンスは、晩秋11月に行われます。来春、菜の花祭りのために種まきイベントをドッキングさせるのです。菜の花の種を蒔いて、準備をして春に菜の花祭りを開きます。メンテナンスの際「上崎の人から橋の欄干の柱が少し錆びている」と話していました。早速、専用の塗料で田丸さんといっしょに補修しました。小さなことですが、上崎の人が橋の小さな錆まで知っている事が驚きなのでした。それだけ大切に橋を愛しているのでしょう。
   
   
  上崎の人からいただいた菜の花祭りのチラシ   欄干の補修
   
  まちづくりの大切なキーワードは、人もモノも含めて全てを愛すると言う気持ちでしょう。どんなに高額なものでも、文化価値の高いものでも、大切にしたいと言う想いがなければ、ダメになって行くものです。スギダラがこんなに広く、多くの人たちに受け入れられているのは、人とのつながりを大切にする気持ちがあるからだと思っています。
今年、一年、仕事にスギダラの活動にそして、海杉を支えてくれる家族のために頑張っていこうと思います。
   
   
   
   
  ●<うみの・ひろみつ>木材コンシェルジュ
ほぼ、毎日更新しています。ブログ「海杉 木材コンシェルジュ」 http://blog.goo.ne.jp/umisugi/
2009年3月31日をもって、日向木の芽会 を卒業しました。
海野建設株式会社 代表取締役 / HN :海杉
『杉で仕掛ける』web単行本:http://www.m-sugi.com/books/books_umi.htm
   
 
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