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今年3月5日に「銘木と銘酒のまちフォーラム」を開催した吉野ウッドプロダクト・木のある暮らしを物語る協議会のメンバーを中心に、瀬戸内海の小豆島を訪れました。 | |||||||||||||||
小豆島は国内有数の醤油産地です。現在全国にある醤油の木桶は約2000本と言われていて、約半分の1000本強が小豆島では現在でも醤油製造に使われています! | |||||||||||||||
昨年度から日本酒の木桶仕込み復活プロジェクトに加えて、醤油や味噌などの醸造の世界にも吉野杉の木桶の可能性を求めていこうと今年度からチャレンジしています。 | |||||||||||||||
醤油の世界でも日本酒と同様に、木桶ではなくタンクでの醸造が一般的で、木桶は醤油生産量の1%未満しか残っていないそうです。 | |||||||||||||||
小豆島商工会の三木さんにご案内いただき、小豆島を代表する二軒の醤油屋さんを見学させて頂きました。 |
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小豆島商工会の三木さんから小豆島醤油についての講義を受けました。三木さんの名刺の肩書きは「日本一『小豆島』を愛する男」「小豆島の営業マン」! | |||||||||||||||
まずはヤマロク醤油株式会社さん。杉の桶、昔ながらの製法にこだわった醤油屋さんです。タンクでの近代的な醸造の場合は、大豆・小麦・塩の原材料に酵母菌を添加して発酵させ、約3ヶ月で完成しますが、木桶での醸造の場合は、蔵に住みつく100種類以上の乳酸菌や酵母菌が自然に発酵させる為、1年から3年という長い時間をかけて仕込みをされています。 | |||||||||||||||
もろみ蔵の中には高さ2mほどの桶が約60本並んでいます。百数十種類の酵母菌と乳酸菌が住み着いているそうです。菌に覆われた柱や梁、土壁は醤油色に染まっていました。蔵の中は奥深い醤油の香りに満ちていました。 | |||||||||||||||
ヤマロクさんは2年前に12本の新桶を導入されました。吉野ウッドプロダクトでもお世話になっている大阪・堺の潟Eッドワーク(藤井製桶所)さんの仕事です。 | |||||||||||||||
醤油の桶を見ると、日本酒の桶とは異なる印象を受けました。日本酒の桶は「甲付(こうつき)」という白太と赤味の間の“白線帯”を持った板で作るので、外周面は真っ白になります。醤油の桶の場合は、赤味や源平(赤味と白太が混ざる材)が見えます。醤油は塩分の影響もあり、漏れにくく、「甲付」にこだわる必要がない為です。また、日本酒の場合は、味と香り、色合いに影響を与えすぎない為、赤味の色合いは淡い桜色が必須ですが、醤油の場合は赤黒い材でなければ、良いようです。同じ桶でも、用途によって、求められる杉が異なるわけです。 | |||||||||||||||
手入れの方法も異なります。日本酒の場合だと、新桶に仕込む前には熱湯を入れて杉のアクを抜きますが、醤油の場合は、桶に内側に醤油のもろみを擦り込んで、菌を移すそうです。日本酒の場合は仕込みが終わると綺麗に洗って干しますが、醤油の場合は洗い流す事は絶対にしません。せっかく染み付いた菌を捨ててしまう事になるからです。 | |||||||||||||||
ヤマロク醤油さんの入口に飾られた大きな桶 | |||||||||||||||
五代目の山本康夫さん(右) | もろみ蔵の内部 | ||||||||||||||
杉の桶の表面。木が朽ちているように見えますが、これが安定している状態。 | ヤマロクさんの新桶の蔵。古い蔵と上部をつなげて、菌を移しているそうです。何十年もの時を刻んで、醤油色に染まっていきます。 | ||||||||||||||
続いて、マルキン忠勇株式会社さんを見学させて頂きました。 日本の醤油業界は約1600社があり、そのうち大手5社で50%のシェアを占めるそうです。マルキン忠勇さんはその大手5社でありながら、伝統的な醸造方法も守られています。 | |||||||||||||||
木桶で天然醸造をしている蔵を特別に見学させて頂きました。登録有形文化財に指定されている国内最大級の醤油蔵で、長さ約100mの蔵には、約400本もの木桶が並んでいます。 | |||||||||||||||
マルキン忠勇さんの外観。 | マルキン忠勇さんの敷地内は、昔の蔵と近代的な設備が混在していました。 | ||||||||||||||
マルキン忠勇さんの天然醸造蔵。圧巻でした。 | |||||||||||||||
小豆島は国内でも類を見ない木桶の島であり、にっぽんの木の文化の奥深さを実感できる島でした。 この素晴らしさを受け継いでいく事ができるように、吉野だからこそ出来る事があるように思います。 | |||||||||||||||
小豆島の皆さんと交流を深めました。お土産の吉野杉木桶仕込み日本酒「百年杉」も大好評でした。 | |||||||||||||||
つづく | |||||||||||||||
●<いしばし・てるいち> 吉野杉・吉野桧の製造加工販売「吉野中央木材」3代目(いちおう専務)。杉歴5年。杉マスターを目指し奮闘中! 吉野中央木材ホームページ: http://www.homarewood.co.jp ブログ「吉野木材修行日記」: http://blogs.yahoo.co.jp/teruhomarewoodもよろしく!ほぼ毎日更新中です。 『吉野杉のハラオシをしよう!』web単行本: http://www.m-sugi.com/books/books_ishibashi.htm |
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