連載
  スギダラな一生/第46笑 「不思議なサービス」
文/ 若杉浩一
   
 
 
 

今年最後の、原稿。色々書きたい話もあるのだが、年末なので、笑える話で終わりたいと思う。あ〜〜来年も大変そうな年になりそうだ、今年最後の一笑いだ。

   
  僕は、何故か汚い、怪しい店に惹かれる。小奇麗な店や、お高くとまった店にはいっさい寄り付かない。お陰で、フォーマルな場所を教えてくれなんて言われても、とんと思いつかない。しーんとした、足袋の擦れる音しかしないような店に入ると、飲んだ気がしない。確かに、いい空間で、いい所作で、特別を味わうのもいいのだが、なんだか、サービスを受けることがそもそも、苦手なのかもしれない。そんな僕の、極めつけ飲み屋話を一つ。
   
  とにかく、人が寄り付かなそうな店が好きなのだ。自動販売機飲み屋、畳3畳ほどの動かなくなった屋台、違法建築飲み屋、ゴミだらけの絶品焼き鳥屋、満員電車並みモツ焼き屋、自分で焼き鳥を焼かなければならない立ち飲み屋、高架下飲み屋、そして金波(我がチームの行きつけの店)と極めて小汚い上に、すこぶるサービス精神がない、いや、こちらが気を配らなければならないというのが共通点だ。
   
  今回の話は、ヨレヨレな爺さんの飲み屋の話である。以前、僕は、裏原宿に事務所がある某有名建築家と一緒にプロジェクトをやっていて、毎週のように裏原宿に通っていた。裏原宿と言えば、若者のメッカ、小奇麗な店や粋な店は沢山ある。しかしどうも馴染めず、毎回、帰りにうろうろ、馴染みそうな飲み屋を探していた。あるとき、裏原宿のさらに裏の、裏びれ原宿のような筋に、時計草に覆われたゲゲゲの鬼太郎に出てきそうな正体不明の赤提灯を見つけた。「こりゃ、来とるばい、千代ちゃん、あそこに入ろう!!」と赤提灯に誘われ、店の前に来た。しかし中の様子が分からない。高いのか?安いのか?はたまた?好奇心は募り、「よ〜〜し、ここ行くばい!」と思い切ってドアを開けた。
   
  「お〜〜結構広い。ばってん、千代ちゃん、客がおらん。こん店でたった二人、俺達入れて4人ばい」「すんまっせ〜〜ん」
  「は、は、は〜〜い」返事はするが姿が見えない。それどころか、客しかいない、店員がいないのだ。「あら?誰もおらんばい、千代ちゃん。」
  「ビール、生ビール二つ下さい!!」
  「は、は、は〜〜い」また、返事はするが姿が見えない。
  「まあ、ええたい、座ろう。千代ちゃん」「何にする?」「え〜〜と」
  「それにしても、誰も出てこんな、こん店は!!」
   
  その会話を聞いていた、常連らしき二人が僕らにこう言った。
  「この、店は爺さんが一人でやってますから、大変なんです。ビールはあそこ、生ビールはありません。瓶のみ。栓抜きはあそこ。コップはあそこから取って、栓は捨てないで、勘定になりますから。セルフです。」
  「あ〜〜〜そうなんですか?」そう教えられ、僕らは瓶ビール二本とコップを取り栓を抜き、乾杯をしたのであった。
  しかし、なかなか店主が現れない。暫くしてから、ようやく、爺さんが、厨房から草履サイズの小さな動きで、お通しを二つプルプル震えながら持ってきたのだった。合点が言った。こりゃ時間がかかる訳だ。爺さんが、お通しを持ってきて、厨房に帰るまでに、僕らはビール2本を飲み終えた。
   
  「千代ちゃん、まずいぞ、うまく頼まんと、つまみ食べれる前に、この店のビール全部飲んでしまうぞ」「本当っす、まずいっす。人が入っとらん訳がやっと解りました。」僕らはつまみを吟味し、爺さんに伝えた。
  「おやっさん〜〜。焼き鳥5本と、ポテサラ1個、モツ煮1つ〜〜」
  「お客さん、それだめ、それは、時間がかかる。モツ煮と、漬け物がいい。そして、オヤジのところまで取りにいくように。あそこから時間がかかる、ここまで来るのに。ここはこういう店なんです。」
  「はあ〜〜??」僕らは空いた口が締まらなかった。
   
  「オヤッサン、ポテサラ中止、モツ煮と、漬け物!!」
  「やや、や、焼き鳥は〜〜〜、ややや、ややや焼き鳥〜〜〜〜」
  「あああ、そんじゃお願いします。」
  「千代ちゃん〜えらい店に、入ってしまったな」「そうすね〜〜」
  「こりゃ、焼酎なんか飲めんばい、メニューにはあるけど。」
  「しかし、店は広いし、面白いのに、人が入らんのもよくわかるわ〜〜待てども、待てども、ビールやんね。よっぽど乾きもんでも置いてありゃ飲めるのにな〜〜」
   
  「お客さん、始めてですか?ここはね〜お母さんが亡くなって、爺さんが一人でやってますから、とにかく、客が協力して、初めて飲める店なんです。自分で動いて、自分でサービスして、メニューにあるものも、オヤジの調子を見ながら頼む、そうじゃないと出てきませんから。いや出るんですよ、ビール腹になった後に。」
  「なるほど〜〜、そうなんですね?」
  「僕らね、心配で、時々、飲みにくるんです。生きてるかな〜って」
  「はああ〜〜そうなんですね〜〜」
  この店の店主の爺さんは見るから人が良さそうだった。いったい何時からこの店をやっているのだろう?店構えを見ると、相当年季が入っている。
 

ますます好奇心がそそられる。

   
  「ほら、出た。すぐ取りにいく、モツ煮!!」「あっ、はい!!」
  「お〜〜ようやく、出てきたばい、つまみ。あ〜〜ようやく飲んでる感じかしてきたな〜」「そうでしょ。ここで普通の居酒屋をイメージしてはいけません。今日は、どこまでつまみが出るかが楽しみなんです。」
  「なるほどね〜〜、これが来ただけで嬉しい、大切に食べんと〜〜。千代ちゃんビール!!」「本当、このつまみだけで、どれだけ、ビールが飲めるか!!」
  「ほんと、ほんと」妙な盛り上がりが生まれる飲み屋だった。結局焼き鳥は出てきたものの、2、3本は焼きたてだったが、後は焼いて、冷めてしまった焼き鳥だった。結局その3品と大量のビールで終了し店を出た。
   
  それから、どうもまた、気になり、また最低のサービスを受けに、この店を訪れる事になった。そして、ある時がきた。南雲さんの、展覧会の後の打ち上げである。裏原宿、しかも店が開いていない、30人は入れる店がないのだ。
  みんなが困っていたとき、思い出した。あの店である、ヨレヨレ爺様の店である。恐る恐る、店を覗くと、誰もいない。普通だと余裕で40人は入れる店である。ただ、つまみが出ない、いや、出てくるのに、大変な時間がかかるだけである。
  「オヤッサン、空いてる?」「あああああ。空いてるよ〜〜」
  「あの、15人ぐらいだけど大丈夫?」「えええええ〜〜そりゃ無理だ、無理だ、絶対無理だ〜〜〜」
  「大丈夫、ビールしか飲まないし、手伝うから、若いもんばかりだから、オヤッサンの指示で皆働くから。どう?」
  「あああああああ〜それならできるかも〜〜〜〜〜、だけど本当にたくさんは、むむむむむりだから、動けないから〜〜」
  「了解!!解って、解ってるって。」
   
  「よーし、みんな、15人まず入って、後から、少し経ってから入るように!!たまげるから、爺さん死んじまうかもしれないから。」全然解っていない。
  みんなは、静かに店に入ると、テキパキとビールを出し、働き始めた。厨房にも入り、オヤッサンの指示に従い焼き鳥を焼きモツ煮を配膳した。
  「うううううう〜〜〜〜ん、最近こんなに焼いたのは、ひひひひさしぶりだ〜〜」
  爺さんもここまでは、少し喜んでいた。しかしだ、この後さらに15人が押し寄せる事になることは想像してなかっただろう。満員の店、おそらくここ数年見られない景色だろう。僕も見た事がない。一度は来るだろうけど、二度とはこない人が大半の店だ。5人が限界の店なのだ。
   
  「すいません〜〜いいですか?」残りの15人が入ってきた。
  「だだだだだだだめだ〜〜〜よ〜〜〜〜!!」
  「おやっさん、大丈夫、大丈夫、僕らの仲間だから、皆働くから、ね、頑張ろう!!」
  「ツツツマミ、作れないから〜〜〜、じゅじゅじゅじゅ〜〜でででできな〜〜い、ううううううう〜〜〜」何言っているかすら解らない。
 
「大丈夫、みんなで作ろう、な〜みんな!!」「お〜〜〜〜〜!!!」
 
「うううううう〜〜〜ろろろろろろろろ老人いじめだ〜〜〜〜」
 
 
そういいながら、厨房に人が入り、全てをみんなでまかない、楽しい、活気の或る店になった。爺さんは、女子や若者にチヤホヤされ、結構嬉しそうだった。
 
大騒ぎをし、全て自分達で、仕事をし、片付けし、ボランティアのような楽しい宴会が終わった。
 
その後、爺さんは僕を見ると「ろろろろろ、老人いじめだ〜〜」と言うようになってしまった。まったくひどい関係である。
   
 
もう一つ、最近好きになった店がある。落合の古びた定食屋、といってもメニューは2種類しかない。しかし、この店、頼めば何でも出てくる。何でもだ。
 
僕はこの店を見つけたのは、お客さんの処からの帰りだった。ただでさえ、暑い夏に、店はクーラーが入っているようだが、ことさら暑い。床は今時珍しい土の床、店はすこぶる汚く、ショウジョウバエが飛んでいる。しかし先客がまた二人だった。何かがある、僕のセンサーが反応した。
 
「コバ〜〜、こりゃえらい店だな〜〜」「そうっすね〜〜」僕らはきょろきょろしながら、「ビール2本」と声を張り上げた。出てきたのは、「老人いじめ爺さん」に負けず劣らずの、もう期待通りのヨレヨレ爺様だった。
 
僕は心の中で「きた〜〜、また引いた。」と叫んだ。
   
 
「おい、コバ、ビール持ってこい。コップも。栓抜いてだぞ。」
 
「オヤッサン、ビール2本頂きました。瓶は食いませんから安心して下さいね。」
  「ひっひっひっひっひっひ〜〜すすみませんね〜」
  「さあ〜つまみ頼もう!! ここのオヤッサンは普通に歩いとる大丈夫、つまみ食える」「え〜〜?普通に歩いてる?」
  「いいから頼め、つまみを。しかし、この店安いな〜。え〜〜100円から200円か〜高くても300円。こりゃすげ〜〜。頼めよって。」
  「それじゃですね、チーズと、もつ焼!!チーズともつ焼下さ〜い。」
  「アホか、お前。もつ焼はともかく、チーズなんてどこも一緒。三角のチーズか四角のチーズを切っただけだって。店の実力が解るようなもん、頼めって。」
  「すみません、食べたかったものですから〜」
   
  しばらくして、随分経って、ビールを2本飲み終えてから、最初のつまみが現れた。チーズだった。皿の中には、ベビーチーズ2個しかも包みごと。一個20円か30円のチーズが2個で100円である。
  「おいおい、切ってもないよ〜〜、そのまんまやんか、これじゃ原価見え見えや、原価50%ですねって言っているものじゃね〜か」
  コバは吹き出して、大笑いしていた。
  「やれやれ、参ったね〜〜これじゃ先が思いやられる。えらい店に入ったね〜」
  ぶつぶつ言いながら飲んでいると、暫くしてもつ焼きが現れた。
  「おっ!!これは結構本格的じゃね〜か、見てみろこの照り。随分秘伝のタレて感じだね〜〜。」「うん!!うんうまい!!食ってみろ」
  「おっ!!本当うまいっす」
  しかしだ、何となく覚えのある味だった。どこかで食べた味。思い出した。
  「オヤッサンもしかして、これコテッちゃん?」
  「は、ははははははははは〜〜。ばばばれちゃいました?」
  「やっぱりな!!うまい訳だ。本物ですもんね。」
  「何から、何まで裏切らない、参ったな〜。これじゃスーパで飲んでるようなもんだ、こりゃ。あっ、このメニュー、全部そうだ。」合点が行った。
   
  その僕らの会話を聞いていた隣の常連さんがさすがに、吹き出して笑いながら、声をかけてきた。「お客さん達初めてですね、ここ。面白いでしょこの店。しかしね大抵の人は、扉開けて中見るか、一杯飲んだら帰っちゃう。凄いねーこの店の魅力が解るんだね〜〜。今までの会話聞いてて、思わず吹き出しちゃった。話しがあんまり面白いから。」
  「そうすか?なんかね、そこいらの小奇麗な店より、こういう店に惹かれまして入ってきちゃったんです。しかし、あたりですね。相当、笑えますもん。」
  「解ってるね〜〜。この店はね随分古いんだ。昔からず〜〜〜っとこのまま。昔は、結構、はやってた。しかしね、ばあさんが悪くなっちゃって、オヤジさんも年取っちゃって。もうすっかりお客が減っちゃってね〜〜、だけどね、ここが、爺さんが面白いから様子を見にきてんの。ここはそういう客でもってるんだね。ほらあそこの客、いっつも定食、しかも魚、だいたい食うもんが決まってる。しかしメニューにないでしょう?彼のために用意してんの、オヤジが、ほら、デザートはみたらし団子、あれが定番。見てご覧よ、あのショウジョウバエを払う手さばきの早さ、あれが彼の凄さ。もう習慣化してる、彼はね、会社の会長さんなんだね〜〜。だけどね、俺と一緒、いつも様子見に来んの。面白いだろ。」
  「面白いっす。めちゃくちゃ、めちゃくちゃ、いいじゃないですか〜」
  「他にね、芸人さんとか、結構面白い人が来るのよ、ここは、だから、みんなのぶんをね〜爺さんは、用意して待ってる。だからメニューはこれ二つなの。」
  「へ〜〜〜え、そうなんすか?」
  「ここで一番安いのは、冷や奴。50円。安くねえ〜〜?だけどね、100円の豆腐の4分の一が50円だから半丁食べるには100円のを頼むんだよね。」
  「やはり、原価50%なんですね?」
  「いやいや、もっと凄いよ、この前ね〜ラーメン食いたいって言ったらね。暫くしてね〜、ラーメン出してくれたんだ。見たらね、正真正銘の札幌一番塩ラーメン、具も、ネギも入っちゃいねえ。素の袋ラーメン。驚いたね。それでさ、いくらだというと100円ですと言うから、そりゃおかしいだろ!!100円で買ってきて100円じゃ儲からねえ、300円にしとけって。それでそれから300円になっちゃった。俺しか、しらねえけどね、そんなものがあるってね。」
  「頼めば、何でも出してくれるの。スーパーにあるものはね〜」
  「そうですか〜〜、面白いですね〜〜」話は尽きなかった。あまりにも面白い話の連続、そして、ショウジョウバエ。
   
 
そして、ここは、便所が面白い。お化け屋敷のようなのだ。
  「オヤッサン、トイレどこ?」「おっ、トイレがまた面白いよ〜」
  「あああああああああのそこ、あけて、まがって、ず〜〜とつきあたり」
  扉を開けると、またこれが、ゴミというか、何というか倉庫状態。横ばいをしないと動けない、しかも暗闇。ギリギリの通路を抜けたところで、僕はびっくりした、幽霊か、ミイラか、小さい椅子に座った、シワシワの小さい婆様。おそらくず〜っと、ここに座っているのだろう。椅子と一体化している。おまけに微笑んでいる。厨房の裏の、爺さんの見えるところに置物のように鎮座されている。僕は再びドキドキしながら裏街道のトイレにたどり着き事を終えた。
  「いや〜〜びっくりしました、化け物屋敷かと思った。婆さん生きてるじゃないですか〜」
  「誰が死んだって言ったんだよ!!病気して手伝えんようになっとるだけ。だけどああやって、爺さんをいつも見守っている。」
  「またまた凄い話っすね〜〜。こりゃ僕もファンになりました。これから通います。」「あんた、解るね〜〜乾杯〜!!」
   
  とんでもない店だった、想像を超え、僕は不思議な感覚を覚えた。サービスなんてないどころか、こちらの奉仕である。もはや、美味しいとか、美味しくないとかなんてものを超え、何とも言えない、嬉しさというものが込み上げてくるのである。おそらく、常連の皆は、そのようなささやかな喜びをもってこの店と関係が出来、爺さんも婆さんも健やかに仕事を続けているのだ。
   
  以前学生のインターンで或る学生が老人のために、介護サービスや、イベントなどの企画を提案してきた。老人にやさしく、楽をさせる。何かが違う?老人を大切にする?ケアする、介護する、とてもペラペラすぎると思ったのだ。
  本当に、それが幸せの姿、豊かさなのだろうか?
  以前も話したが、僕の母親は、社会との繋がりから離脱してしまう苦しみで、重い鬱病になってしまった。そして今一日一人のお客さん相手に、全てを整え、未だに勉強し元気に生きている。
  誰だって、生きたい。いや社会の為になりたい、繋がっていたいはずなのだ。それが閉ざされ、繋がりがなくなった瞬間から、本当の老いが始まる。社会との役割がなくなったとたんに、生きる使命をなくしてしまう。
  儲からなくてもいい、まずくても、サービスがひどくても、汚くてもいい。毎日誰かが訪れ、他愛もないやり取りをして、ありがとうって、帰って行く。それこそが最高の生きる喜びなのだ。また明日、また明日、お役に立つ喜びで一日中店を開け、一日中座っていられる。閉ざされ、介護を受け、新しい楽しみを見つけていくより、平凡なリアルな社会との繋がりのほうが遥かに人を輝かせるような気がするのである。この二人の爺さんの店に集まる人達は、この店ではなくこの爺さん達の応援団なのだ。介護なんてしないどころか、無理矢理な注文をし、マズイだのなんだのと御託を並べ、老人いじめをして、自ら、店の一員に成り済まし、お金を払って帰って行く。
  なんと素敵なシステムではないか。なんと未来的ではないか。
  便利で安くて、新しい商品、付加価値とは縁遠い、最悪繋がりの暖かい仕組み。多くのシャッター商店街、売れなくなった、年を取った、採算が合わない?どんどん街が社会と縁を切ってしまう。
  どうせだったら、爺さん婆さんだらけ商店街をつくれないものか。とにかく皆で見に行かなきゃ、支えなきゃ。モノじゃないのだ、心なんだ。売れないものがあれば、皆で知恵を絞り新しいブランドにでもすりゃいい、寄って集って、笑い飛ばせばいい。「こりゃ〜ひで〜な〜〜、オヤジ!!」って言いに行けばいい、とにかく商売して、役に立って、生きる。そしてそれを支え合う事を喜ぶ。そんなつながりのことを思うのである。
   
  落合のあの店の前には、全国チェーンの居酒屋がある。安くて、早くて、安心で、若い子がアルバイトをしていて、お愛想があり、お金の分より以上の価値やサービスを提供してくれる。
  そして、この店にあるもの。汚くて、遅くて、不安で、随分なジジイで、おまけに動かない婆様付き、「いひひひ」の愛想はあるものの、自発的労働を強いられる。夏はすこぶる暑く、冬は底冷え。サービス以上のお金を払い、暖かい何かを感じて帰る。いったい何なんだろう?この感覚は。そして、また来ようと思う感覚は。
   
  僕らは知らず知らずの間にお金を中心に考え、慣らされ、お金以上のものまで求めてはいないだろうか?
  そして経済の始まりである「ありがとう」を忘れてはいないだろうか?
   
  シャッター商店街、古びた商店、爺さん婆さんの店、新しい繋がりが出来れば本当は、宝の山なのだ。大切な事は我々の心だ。
   
  爺さん婆さん横町、爺、婆飲み屋街、商店街、できないかな〜〜〜!!
  ねえ婆さん好きの南雲さん。
   
 
おおおおおお、おお、面白かった〜〜いっひひひひひ〜〜。
   
   
   
   
  ●<わかすぎ・こういち> インハウス・プロダクトデザイナー
株式会社内田洋行 テクニカルデザインセンターに所属するが、 企業の枠やジャンルの枠にこだわらない
活動を行う。 日本全国スギダラケ倶楽部 本部デザイン部長
『スギダラ家奮闘記』web単行本:http://www.m-sugi.com/books/books_waka.htm
『スギダラな一生』web単行本:http://www.m-sugi.com/books/books_waka2.htm
   
 
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