特集 吉野を盛り上げる杉関包囲網
  「谷町う木う木まtree(まつり)」
文/  山内美陽子
 
 
 
 
   
 

こんにちは。スギやねん関西の杉ネームは杉庭(すぎにわ)、の山内美陽子です。
昨年の春、私たちが住む谷町(大阪市内)で、木や林業について身近に親しめる機会をつくっていけないかな?と、「谷町う木う木(うきうき)」というネーミングを思いつき、助成事業にも応募し通過して、半年間、駆け抜けた?、そんなココロミの集大成のイベントをしました。それが谷町う木う木まtree(まつり)です。
スギやねん、スギダラケ、杉をスギスギ使おう、、、などなど、もうダジャレがないとはじまらない。。。う木う木、そしてまtree。。。ヤッター!一般の方々はついてこれるのだろうか。。。そんな一抹の不安を胸に潜めながら、粛々と?準備をしていきました。

   
  助成申請時にも必要だった、協力メンバー。この谷町(上町台地)界隈には、木が好きな人、そして木を使って仕事をしている人がたくさんいる。そんな人々に声をかけ、特にはNPOいい家塾のKさんと一緒に申請書を書いて、応募。いままでもいろんなことをしてきている仲間。それがもっとつながりあったら楽しいし、参加する方もわかりやすい。一つ一つは小さくても、徐々に増えていけば大きなものになれる。そんなことを谷町でできたら楽しいな、そんな思いではじめました。
   
 
  杉ボックスをたくさんつくって、まちライブラリーに!
 
吉野いくぞうツアー ライト級・ハード級(by吉野やままち
  う木う木バル。杉カウンターと杉枡と杉のお皿で超木がるな飲み会。   木の勉強会(国産材編)。吉野の石橋さんと中井さんのお話。
   
  集大成(というほどでもないですが・・)のイベントは、内田洋行大阪支店さんにて。どうしてこんなすて木なところに立地されているのでしょう。それからして縁を感じてしまいます。スギやねんメンバーの社員の筧さんにお願いし、開催の承諾を得ました。
だめもと?でお願いしたら、意外とすんなりOK。なんて許容力のある会社なのだと、ありがたいことこの上ありませんでした。そうやって、3カ月前より動いていきました。
しかしながら内田洋行さんも、不特定多数の一般の方々が建物内に出入りするのははじめて。具体的に、どのような動線にするか、どんなプログラムをどこでするか等々、調整させていただくことは色々とありました。
   
  会場である「ユビキタス協創広場CANVAS」は、セミナーを行うにはぴったりの場所。しかし、それだけで終わらせるのはもったいないと、建物外の公開空地も使用したい、また、出展者を募りブース出展コーナーを設けたいなど、様々なお願いにも対応いただきました。そうして時間は過ぎていき、出展者の募集、う木う木コンペの応募者募集、チラシ製作を行い、告知につとめるようになりました。
なるべく、フツーに、木のことなんて、林業のことなんで、まじまじと考えたことはないという方に来てもらいたい。なんとなく楽しそう〜と思って足を運んでもらいたい。そういう想いでイベントの中身を考えました。
   
  もちろんテーマは、“やまとまちがつながる”。大阪のまちなかに2日間だけ、様々な“やま”の方々が来られ、また、やまとまちを結ぶ流通やデザイナーの方々来られ、自分たちがしていることを大いに語っていただいて、モノをみていただいて、まちの人々に“やま”の魅力を伝えること。堅苦しくなく、木がるに、交流すること。
   
  プログラムとしては、「う木う木マルシェ」(「木・林業ブース」と「食・農ブース」)、「う木う木ワークショップ」、「う木う木デザインコンペ」、「やままちクリエイティブサロン」、「やままちトーク」、「う木う木円卓会議」(南雲さん登場!)等々といった構成で、出展者の数は全体ではなんと40以上となり、当日を迎えることとなりました。
   
   
  ●う木う木マルシェ!
  会場CANVASは広く、その半分に出展者さんのブースを配置しました。林産地からは、吉野から、和歌山から、岡山から、宮崎から、高知から、、、などなど、様々な産地からわざわざお越しくださり、本当に本当にありがたかったです。
またほかにも、建築事務所による木の住まいの提案や、家具、木製の小物など、大きなものから小さなものまで、また様々な用途のものまで、どれもこれも魅力的な商品で、実際にその場で購入もできるという機会となりました。
   
  出展者さん
デッチ場(一級建築士事務所VANS&連・建築舎(谷町))
協創LLP(岡山 上山英田棚田再生)
Studio raqu(笠原啓史) 端材を磨いてキーホルダーを作ろう 
狩野新アトリエ 椅子等の展示 
賀来寿史(家具町LAB) 椅子等の展示 
remoera(レモエラ) 吉野杉のアイフォンカバー 
木暮人倶楽部
NPO法人宮崎文化本舗 宮崎杉のジャングルジム 
エスロードスタイル 紀州杉のウッドデッキ等 
イクシージャパン 組み合わせ家具 
NPOいい家塾&高知ゆすはら町森林組合&山本博工務店 
泉佐野市公園緑化協会 チェーンソウの理解を深めみんなで間伐 
たびもぐらカフェ 南河内の木を素材とする作家の作品等 
セラハイト株式会社 セラミックを利用した育苗技術
高田耕造商店 紀州の棕櫚等を使った上質たわし
など計16ブース
   
  受付風景   協創LLPによる上山英田棚田再生の活動紹介ブース
   
  宮崎からわざわざ!? NPO宮崎文化本舗さんの杉ジャングルジム   studio raqu 端材を磨いてキーホルダーに。無心に磨く人続出。
   
  remoera 大人気の吉野杉などのアイフォンカバー  

何のこともないけど、いろんな出会いが楽しい。

   
  狩野新さんデザインの椅子に実際に座って。   吉野/こだくみ 箸づくりWSしながら吉野の良さも伝える!
   
  吉野やままち 途中から屋台つくりだして飲む!   南雲さんも飲む!
   
   
  ●う木う木ワークショップ!
 

「吉野杉・ヒノキによるあかりづくり」を吉野やままちさんがしてくださり。そして、「“きのかみ”で折り紙づくり」、「ヒノキの裁縫箱づくり」、「紙粘土で遊ぼう」、などなども。 ワークショップに参加しなくても、人がものづくりをしているのをみているだけでも楽しく、また子供が目を輝かせ、大人も楽しめ、木に実際に触れて親しめる機会としてとても好評でした。

   
  出展者さん
アンジーグラフィックス(ヒノキの裁縫箱づくり)
・大阪芸大生 どんちゃん など
 
   
   
  ●やままちトーク!
  10組の出展者さんに、それぞれの活動のお話をしていただきました。
個性的な活動が多く、みなさん興味森森!
 
   
   
  ●う木う木デザインコンペ!
  コンペするって結構大変・・。コンペのお題目を実行委員で決め、その材料の準備を吉野(やま)の方にお願いし、コンペの募集をかけて、参加者に材料をとりにきてもらい、当日持ってきてもらう。応募してもらった若手クリエーターのみなさん、お疲れ様でした。
「小径木を使ったストリートファニチュア」を考えるというのがお題目でしたが、元々活用が難しい小径木に対し、応募者さん5組は、果敢にチャレンジしてくれました。
当日は、審査委員の南雲さんや吉野の山守である中井章太さんの前で、ひとりひとり作品の意図をプレゼンをしてもらいました。そのあとは、プレゼンを聞いていた一般参加者もふくめて、みんなで実際に作品に座ったり、より深く意図を聞いたりの自由時間。この時間が、イベント全体のなかで一番ステージが盛り上がったときかもしれません^^。
一般参加者人気投票も経て、審査委員のなかで1位を決めていただき、優勝者は栗田翔陽さんと高階洋吉さんペアの方々に決まりました。おめでとうございます!タイトルは「美し杉る」。作品は、内田洋行さんにて保管し1年間展示させていただいています。
 
  コンペ作品(計5組)
   
  プレゼン風景(この栗田くんペアが優秀賞に)   みんなで実際に座ってみる、触ってみる
   
   
  ●う木う木円卓会議!
  このプログラムに関しては、実行委員としてお手伝いいただきました大沼さんが書いてくださいました!
   
 
文章/大沼美由紀 (会社員)
  その日、朝から谷町界隈のくう木がやけに濃かった。
前日からう木う木してるメンバーに加え、更にうっ木う木な人物が一人、また一人と会場を目指していたから。(←南雲さんのことです)
午前12時、腹時計を激しく時を打つ頃。会場の一画のくう木が濃縮された空間で「円卓会議」に向けた打ち合わせは始まった。
どんな設問を問いかけ、誰がどんな話をするのか、それに反論は?オチがついたら次の課題は?通常行われるような打合せは、一切なかった。
打ち合わせで掴めたこととは、みんな木を愛してる、それだけだった。
そして本番が始まった、
そんな打合せなのに平然と進行するのは、木への愛情が溢れる建築士、内田 利恵子氏。
「木は、山はどんなに私たちとつながっているのか!」「つながることが必要なのに、現状はどうか」「どうしたらまちと山が繋がっていけるのか!」パネリストの奥野壽一さんは大阪の林業家の立場から、中井章太さんは吉野の現状をよく知る者として、安川雄基さんはまちに身を置き木からモノを生み出す立場で。
そして、それぞれの立場からの発言で浮かび上がる課題を、山への愛で統括的に話をまとめあげるお見事な南雲勝志さん。
たいしたメンバーが揃っての2時間は短かかったが、まちや山、生産者や消費者など立場は違えど、日本の木を、日本の山を思う熱い人たちには、共通の言葉と思いがあることを確認した濃い内容。
聞いてくださる方々を巻き込んだ、熱いくう木が会場を取り囲んでいた。
 
  う木う木円卓会議終了後、参加者みんなで。
   
   
  谷町う木う木は、これからどうなるか?
あわよくば毎年、、なんて夢想しつつ、う木う木できる毎日を、まずはみなさんと過ごせればとおもっています。
   
   
   
   
  ●<やまうち・みよこ> 庭プランナー
谷町空庭。大阪市中央区。 主に農業分野において農家と食べ手をつなげるこころみを3年前より続けてきたが、スギやねん関西にも参加。林業も同じ視点で勉強中。
   
 
Copyright(C) 2005 GEKKAN SUGI all rights reserved