特集 秋田杉恋プロジェクト&第二回スギダラ全国大会

   
文/参加者(秋田) 
 
 
  突き動かすものは何・・・。
 

文/ 泉山吉明

   
  今年の1月菅原先生が杉恋プロジェクトを宣言した後は、先生の熱意に突き動かされた数ヶ月でした。イベント当日、秋田杉の積み木を車に乗せ移動中、杉のほのかな香りが車内に漂う中、杉恋プロジェクトの宣言から今日までの事を思い浮かべていました。
   
  各方面への後援依頼と協賛金の苦戦、コンペ一次審査結果への苦情、後援表示へのクレーム、ダメ押しは菅原先生の入院・・・。しかし、どうにかこの日を迎えることができたのは、秋田杉への思いを全国に発信しなければという、突き動かされる何かがあったからです。
   
  前日は、会場設営時に突然現れたJR九州やスギダラ会員の仕切りの早さに驚き、当日は九州バージョン足の長いスギッチに当惑し、全体ディスカッションでは、日本全国スギダラケ倶楽部の皆さんの熱い思いに感動し、プロジェクトの実行委員会メンバーとして、異次元の空気の中で貴重な時間を過ごすことができました。
   
  全国のスギダラの皆様、杉恋へのご支援ありがとうございました。
   
  ●泉山吉明<いずみやま•よしあき> 秋田県秋田地域振興局 
   
   
 
  秋田では上出来!
  文/ 加藤長光
   
  「杉を使って、秋田らしい景観を作ろう」という杉恋のメッセージは、実にシンプルで分かりやすい。でも秋田では分かりやすくすると、何か裏があるんじゃないかと疑いを持たれる。自分の得にならないことは、やるはずがない、と。
   
  秋田には社会貢献、地域貢献は、自分達でやるものではなく、誰か(行政)がやってくれるもの、という地域性がある。だから行政が動けば業界も動くし、役所の消化事業であればなおのこと、義理や利害が絡めば反応は早い。だから行政の事業でもなければ補助金などの支援もない事業に対しての反応は鈍い。
   
  動いている人たちは「提案」というつもりでやっているけれど、秋田では「提案」は「文句を言っている」「批判している」ととられる。協力することで、別の肩書きに嫌われるんじゃないかという心理が働き、なかなか言葉と態度に表れない。何十年も活動していても一緒。提案すると煙たがれる。
   
  そんな地域性のなかで今回の杉恋プロジェクトは、ほんとうによく頑張ったと思う。秋田の行政や業界、民間のなかにも少なからず協力してくれた人たちがいたこと。美短の卒業生たちや若い人たちが協力してくれたこと。そしてスギダラメンバーの協力があって、杉恋は大成功だったと思う。
   
  ●加藤長光<かとう•ながみつ> スギダラ秋田支部 二ツ井支部長
モクネット事業協同組合理事長 NPO法人緑の列島ネットワーク副理事長 
   
   
 
  これからの秋田を変えるもの
  文/ 中野徳之
   
  楽しいイベントに参加させていただきありがとうございました。 自分としてはたいへん勉強になった貴重な時間でした。
   
  秋田杉の祭り飾りについては、 稲穂、きりたんぽ、アメっこ市などなど、 秋田のお祭りをあらわすと説明されておりましたが、 私の地元、湯沢の七夕飾りにも見えました。 特に揺れ動く様が笹飾りを連想させてくれました。 色味の問題を指摘されておりましたが、短冊や、絵灯ろうなどを飾るのもありかもしれませんね。
   
  杉に対しての皆様の熱意に触れたことを、 自分自身の仕事に活かしていきたいと思っています。 このたびは、ありがとうございました。 そして、お疲れ様でした。
   
  ●中野徳之<なかの•のりゆき> 有限会社 中野木工 中野挽物製作所
   
   
 
  スギダラ全国大会に参加して
  文/ 小林孝生
   
  先日{5月26日(土)}秋田杉恋プロジェクト&スギダラ全国大会に初めて参加させていただきました。 秋田杉恋プロジェクト(景観デザインコンペ、景観デザインセミナー)の際に「北のスギダラ」の菅原香織先生の御厚意で杉屋台へブースをお借りし、スギダラメンバーの方々、ほか様々な方よりご意見、ご感想をいただく機会となり大変すばらしい経験をさせていただきました。また、デザインコンペ最終選考作品を拝見させていただき、同じ秋田杉という素材に惹かれた者としてとても良い刺激となりました。
   
  スギダラ全国大会では、酒を飲む機会の多い秋田県人ですが初めて体育館でお酒を飲みながら、スギダラケ倶楽部の活動報告(プレゼンテーション)をとても楽しく拝聴いたしました。 今回、沢山の杉に携わる方々とお会い、お話しすることができ改めて杉の魅力を実感することのできたすばらしいイベントでした。
   
  ●小林孝生<こばやし•たかお> AAREA(エリア)代表
   
   
 
  初イベントの感想と今後の目標
  文/ 沓澤優子
   
  秋田杉恋プロジェクトの初イベントであり、私にとってはスギタラメンバーとしての初仕事でもあった景観デザインコンペとセミナーが無事(?)終了しました。
   
  会場が秋田駅に隣接しているため、通りすがりの一般市民や観光客の方たちも興味を持って声をかけてくださり、市民賞の投票用紙をパンフレットに挟む作業をしていた流れから、受付担当としてイベントの一日を終えました。私にとっては来場者との会話の中で、秋田の山のこれからを憂う声を多く聞いたことがとても印象的深く心に残っています。ある方は森林組合員、またある方は山菜ハンター。人の手入れが行き届かなくなった植林地のリアルな惨事を聞くにつけ、秋田杉に対しての思いはイベント以前よりさらに複雑に、深いものとなりました。
   
  今回は準備不足により募集期間も短かったので、今後はコンペの作品募集期間に余裕を持たせ、一般の裾野までコンペの周知を徹底し、市民ガチ参加型の杉と山のこれからを考える価値あるイベントに育てたいと強く感じました。そのためには企画準備段階で動ける人手を増員する必要を感じますので、新たなスギダラメンバーのスカウトにも力を入れたいところです。 当日会場に駆けつけて下さった、素敵な全国のスギダラ会員の皆様。大人だからこそ価値のある、その少年のような瞳を見習い、自分たちが楽しみながら結果を出すことで「面白そう!」と周囲に思わせ、たくさんの人を巻き込む大きな渦にこのイベントが成長していけるよう、今後とも、どうぞご指導をお願いいたします。
   
  秋田杉が名ばかりでなく、実を持って県民の誇りとなる日よ、早くコイ! そのためにも、自己満足に終わらない計画性と実用性を課題として、これからもプロジェクト運営に参加させて頂きたいと思います。
   
  ●沓澤優子(くつざわ・ゆうこ) スギダラ秋田支部(北のスギダラ)広報宣伝部長 アシスト實務工房代表
   
   
 
  杉恋をふりかえる
  文/ 竹内めい
   
  私が杉恋に参加したのは、前日と当日の二日間だけでした。 そのたったの二日間は本当にあっという間で、怒濤で、忘れられないものになりました。
   
  金曜日、アルベでの搬入作業後大盛り上がりの前夜祭に少しだけ顔を出し、まだ作業が残っているということで菅原先生と一緒に美短へ。 菅原先生は賞状、私は吊り看板、バナー、演題を作りました。 ホットケーキ片手にマックと向き合い、黙々と作業…
   
  私がスギダラを知ったのは、窓山デザイン会議のときでした。 その頃学生だった私はなんか面白そうというぐらいの気持ちで参加し、下調べもせずに行った自分を悔やんだ記憶があります。 それでも、窓山には不思議な時間が流れ、色んな人がいて昨日までは全く知らなかった人たちが同じ空気を吸い、飲んだくれ… 本当に楽しく有意義な時間を過ごしました。今でもついこの間のことのように感じます。 山の中で講演を聞いたこと、草に寝っころがったり、自分の順番が回ってくるまでどきどきだった自己紹介大会。
   
  そんなことをぼやっと思い出しながら、静かな公共デザイン室で菅原先生と作業していました。 正直、前日から参加した私は杉恋がどんなイベントになるのか想像もつきませんでした。 とにかく、今はこれを完成させなければ…!眠気と疲れと闘いながら、4時近くにやっと終了。 連日準備していた先生は相当疲れていたと思います。
   
  本番当日、私にはカマクラフォリーの制作手伝いという任務が待っていました。 少し遅れて会場へ向かうとすかさず菅原先生から「カマクラフォリーの三好さんがお待ちかねですよ(ハート)」。…!! 急いで会場に着き、カマクラフォリー完成まで皆で本番ぎりぎりまで制作しました。
   
  ディスカッションのとき、南雲さんに「秋田杉が好きなの?秋田杉をどう思ってるの?」と言われ、私は何も言えませんでした。 もちろん、秋田杉で人と人を結んでこんなに面白いイベントが出来るのは本当に素敵なことだと思います。 でも私自身は、その証を持っていないというか、杉に対する気持ちというのを持ってくるのを忘れたんだなと思いました。私自身は手伝いで終わってしまったような気持ちでした。 前日遅くまでやったことを先生や皆さんにはねぎらっていただきましたが、それしか出来なかったのが悔しいです。
   
  会社に入ってから特に、何かしたいとは思いつつも忙しさに託つけて何もしていなかった私に杉恋はとても強い刺激になりました。 これから、杉のことを勉強して自分なりに杉恋を消化して何かの形にしたいと思います。 杉で繋がっている素敵な大人達。 最後の宴会ではわいわいがやがや、熱く語らい、皆さんの輝いた顔がまぶしかったです。 好きなことをここまでとことん出来るってかっこいいです。 私もあんな仲間がいる大人になりたいと心の底から思いました。杉恋は、タイヤのパンクに始まり、初対面の佐藤さんの送迎、深夜残業、ぎりぎりまでの制作、本番、撤収、ユフォーレまでの長い長い道のり、美味しいご飯・ビール・日本酒と熱い思い、寝不足等々…。本当に色々ありました。
   
  菅原先生、素敵な二日間を本当にありがとうございました。 本当に本当にお疲れさまでした。菅原先生のおかげで色んな人が色んな幸せ感じたと思います。 秋田が元気なっていくのを感じました。 そして次の杉恋には、是非スタートから参加させてください。 私に出来ることがあればいつでも手伝いに行きますので、どんどん使ってください!
   
 
  左から、佐々木さん、竹内さん
   
  ●竹内めい<たけうち•めい> 会社員 秋田出身
   
   
 
  杉恋プロジェクトを終えて
  文/ 佐々木涼子
   
  杉恋プロジェクト、参加していただいた皆様、本当にありがとうございました。お疲れさまでした。 受賞されたみなさま、おめでとうございます! 人のポジティブなパワーというのは、そこにいる人たちを幸せにしますね。それをビシビシ肌で感じたイベントでした。スギダラパワー恐るべし。
   
  第1回杉恋プロジェクト…そんなあたたかいスギダラファミリーの皆様のおかげで無事成功いたしました。本当にありがとうございます。 今回のプロジェクトの最中、スギダラの各支部の方々の「LOVE地元!」のオーラに終始圧倒されておりました。 わたくし、秋田県民なのに秋田音頭ひとつ歌えず、とても反省しております。 (とさっそく秋田音頭を調べてみると、意外と長い!覚えられない!)
   
  次回杉恋では「LOVE秋田!」なオーラ全開&皆さんが聞き取れないほどのネイティブ秋田弁で、皆さんをお出迎えしたいと思います。 みんなさ負げでらいねど!すぎっち! 実行委員として反省点が多かった分、次回の伸びしろはたくさんあると前向きに捉えて、これからまた精進していきます!
   
  最後に、敬愛するすぎっちこと菅原香織先生。 杉恋に誘っていただき、本当に感謝しております。大好きです先生!! くれぐれも、お身体を大切に。 今度はぜひ、倒れる前に早めに仕事振ってくださいね!
   
 
  夜遅く作業する菅原さんと佐々木さん
   
  ●佐々木涼子<ささき・りょうこ> 北のスギダラ所属 
   
   
 
  秋田らしさ
  文/ 後藤火夢訶
   
  先日、アルヴェで杉恋プロジェクトを見てきました。 どれも採用して欲しいような素晴らしい作品でした。 私は千葉から仕事の関係でこちら秋田を訪れていますが、ここの県民性それに街が美しくとても気に入っています。
   
  しかし、一方、観光客目線(外部の視点)でこの街を見た場合、特に秋田駅周辺において、以前から秋田カラーみたいなものが希薄に感じていたので、まず秋田を訪れて最初に「うわぁーさすが秋田だね!」と感じれるファーストインプレッションがもっとあっていいかなと思っているのです。 その意味でも今回の作品はそれに相応しいのが多く、そしてなるべく秋田らしさが出ている作品がよいかなと思いました。
   
  「秋田杉の祭りかざり」は風流な作品でいいと思います。「カマクラフォリー」も素敵です。 それに「車隠して杉隠さず」も少し工夫して(上を揃えないほうが良い?)実際にやって欲しいです、あのポポロードの所は現況が良くないし、また駅近くとあって印象が定着しやすい重要なスポットなので価値があると思います。 「スギフネ」も秋田杉の巨大版であれば秋田のイメージ(圧倒的な自然(美))がでていいのかなと感じました。
   
  アイディアと応用と発想を活かす力で是非是非、もっと秋田カラー、秋田らしさが印象に残る街にしていただくことを期待しています。 最後に、関係者の皆様素晴らしい作品をありがとうございました。 またよろしくお願いいたします。
   
  ●後藤火夢訶<ごとう・ひむか> 秋田県在住
   
   
   
   
 
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