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今でこそ雪国の車道は除雪車で除雪し、冬期車が通れなくなることは滅多にありませんが、昔は根雪から雪溶けの間の4ヶ月ほどは除雪することはなく、人は雪の上を歩いたのです。もっとも車がまだ余り普及してない時代だったので、除雪をする必要もなかったとも言えます。ただ2〜3m積雪がある中で歩行者の通行だけは毎日確保しなければいけません。今の除雪は行政がやってくれますが、昔は自分達の仕事、それも子供の仕事でした。範囲は自分の家の玄関から道路まで、そして道路は隣の家までというように分担が決まっていました。我が家でいえば道路までが50m程度、道路が300m程度でした。雪踏みの時間は、はっきり覚えていませんが、6時頃始め30分位だったと思います。寒くて眠くてとてもきつい仕事で子供ながらにとても嫌だったのですが、もし自分の分担の雪踏みをしなければ、学校に通う児童などはそこを歩けなくなるため、その役割はほぼ絶対的なものだったのです。また仮に忘れると何処の家がやらなかったかは誰もがわかる事になるわけです。 |
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早朝の空気はキンと澄みわたりほっぺが痛かった。一面モノトーンの風景は子供心に大好きだった。 | |
雪踏みが終わると家に帰り雪を払い、ようやく朝ご飯を食べ、7時半頃家を出て学校に行きました。その頃にはすでに数人歩いた足跡があり、道は少しずつ歩きやすくなっています。踏み堅めがやわらかいところはズボッと埋まった後があり、そんな場所を確かめたり、他人の踏んだところが上手いなと思ったりしながら通学したものです。 無理に子供に仕事を与えていたわけではありません。家の周りに溜まった3mを超える雪を片付けたり、囲炉裏に火を焚いたり、かまどでご飯をたいたりと朝の仕事は大変でした。そんな中で子供は必要な労働力であり、皆で力を合わせないと冬の日常は成立しなかったのです。 |
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● <なぐも・かつし> デザイナー ナグモデザイン事務所代表。新潟県六日町生まれ。 家具や景観プロダクトを中心に活動。最近はひとやまちづくりを通したデザインに奮闘。 著書『デザイン図鑑+ナグモノガタリ』(ラトルズ)など。 日本全国スギダラケ倶楽部 本部 facebook:https://www.facebook.com/katsushi.nagumo エンジニアアーキテクト協会 会員 月刊杉web単行本『かみざき物語り』(共著):http://m-sugi.com/books/books_kamizaki.htm 月刊杉web単行本『杉スツール100選』:http://www.m-sugi.com/books/books_stool.htm 月刊杉web単行本『2007-2009』:http://www.m-sugi.com/books/books_nagumo2.htm |
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