連載  
  あきた杉歳時記(隔月刊)/第56回「秋田杉恋プロジェクト2013その後」
文/写真 菅原香織
  すぎっち@秋田支部長から、旬の秋田の杉直(さんちょく)だよりをお届けします ・・・・
 
 
  昨年の10月から12月までの3ヶ月間、秋田ではJRグループによる秋田デスティネーションキャンペーン(DC)が盛大に行われました。首都圏の駅の構内などで秋田を宣伝するポスターを目にした方も多いのではないでしょうか。秋田県ではDC期間中に秋田に訪れた方をおもてなししよう!ということで、様々なイベントが開催されましたが、北のスギダラでも「秋田杉恋プロジェクト2013」の一環で「秋田杉犬おもてなし隊」を結成し、駅と駅周辺の商店の店先に「看板犬」として10月1ヶ月間設置しました。
   
  秋田杉犬は2012年、浜松市のプロダクトデザイナーの大野篤子さんが提案して秋田杉景観デザインコンペで最優秀賞・市民賞を獲得した作品です。最優秀作品は実際に製品化することを目標としていましたが、コンペの審査のときに審査員の方から「秋田駅から秋田杉犬がたくさん並んでいたら楽しい風景が生まれるよね」という言葉もあり、秋田県地域振興局の協力を得てDC向けにおもてなし隊として秋田杉犬をデビューさせようということになりました。
   
  秋田杉犬を作るにあたり、大きな戦力になってくれたのが、昨年4月に秋田に戻ってあきた企業活性化センターの産業デザインの相談部門である「あきた産業デザインセンター」に勤めることになった武藤貴臣さんです。(あきた産業デザインセンターでは、伝統的工芸品・産業機器・日用品などをはじめとした県内製造業者を対象に、マーケティング、商品開発等についての専門的な助言、デザイナーとのマッチング等を行っています。)
   
  秋田杉犬の製造の方法や対応可能な技術や機械のある木工所を探す際に、東京でプロダクトデザインのマネジメントをやっていた武藤さんの知識・スキル、そして秋田県内の製造業の情報が大変役に立ちました。また、製品化に向けてデザイナーの大野さんもいろいろ協力してくださったおかげで、10月1日DC初日の駅前で結団式を行うことができました。その後、隊員はお世話係に抱えられ、各持ち場に移動。秋田駅の改札口では、ずらっと並んだ秋田杉犬の姿に多くの方がカメラを向けたり、観光客の方も声を上げて喜んでくださって、本当に感無量でした。
   
  10月12、13、14日の三連休には、秋田駅から続く仲小路商店街にて毎月開催される「仲小路マーケット」の一角で「秋田杉恋屋台フェスティバル」を開催しました。秋田杉屋台では、秋田杉犬おもてなし隊の活動終了後、引き取ってくださるオーナー募集と、秋田杉犬の子犬と杉犬ピンバッジの販売をする「杉恋屋台」、秋田を代表する地酒「高清水」の「もっきり屋台」、岩手県住田町から参加していただいた「気仙杉屋台」が出店しました。住田町の屋台は組み立て式で乗用車で運べるという優れもの。原型のデザインはスギダラ親分の南雲さんで、住田町の蔵の意匠をモチーフにしてあり、随所に気仙大工の技が光るすてきな屋台でした。
   
  今回、秋田杉犬おもてなし隊のオーナー募集や杉恋屋台のチラシやを作成したり、杉恋プロジェクトのホームページもリニューアル。こちらは秋田支部の宣伝部長、沓澤優子さんのお力をお借りしました。沓澤さんはアシスト實務工房というデザイン会社の代表の傍ら、「さけがぁる」の実行委員として秋田の酒を広める活動もしている秋田美人です。杉恋屋台女将としても活躍してくれました。屋台の設営には、Red Houseの芳賀さん、二ツ井支部長の加藤さん、秋田県職員の泉山さん、湯沢のもるくす建築社主宰の佐藤さんが手伝ってくれました。そして秋田杉犬のデザイナー大野さんが直接屋台でお客さんと対面して生の声を聞きたいということで、杉恋屋台を手伝いにはるばる浜松から秋田にきてくださいました。おかげさまで準備した30匹の子犬は完売、追加で45匹予約販売!「おもてなし隊」の杉犬15匹のオーナーも全員決まり、新しい場所でかわいがってもらっています。
   
  新たな展開としては、明けて1月25、26日に秋田市にぎわい交流館AU(あう)で開催された「木育キャラバン」では、秋田杉犬の小型犬を改造した「おさんぽ杉犬」がデビュー。コンペの際には大野さんからは「バリケード」として用途を提案されたのですが、活躍の場の広がりに応じて様々な杉犬を考えていただいています。今後もより多くの方にかわいがっていただけるよう、大切に育てていきたいと思います。
   
   
   
   
   
   
  ●<すがわら かおり> 教員
秋田公立美術大学 景観デザイン専攻 助教 http://www.akibi.ac.jp/
日本全国スギダラケ倶楽部 秋田支部長 北のスギダラ http://sgicci.exblog.jp/
月刊杉web単行本『あきた杉歳時記』 http://www.m-sugi.com/books/books_sugicchi.htm
月刊杉web単行本『あきた杉歳時記2』 http://www.m-sugi.com/books/books_sugicchi2.htm
   
 
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