連載

 
杉暦 6月と7月 おまけもあります。
文/写真 石田紀佳

季節ごとにうつりゆく杉の姿を紹介。杉ってこんなにも表情豊かだったのです。

 

 
6月10日

6月26日

 

6月と7月

 梅雨から盛夏に向けて、杉ぼっくりの生長はめざましい。
マルマルと大きくなったぁ!と目を見張っていたら、なんと今度はツンっととんがったツノがのびてきました。
やわらかだった外皮は徐々に堅くなって、たくましささえ覚えるように。お母さん、なのでしょうね。
 たっぷりと雨をうける杉ぼっくりの風情を撮りたかったのですが、私の技術と根性が足りなくて、来年への課題となりました。それで晴れた日ばかりの梅雨時期の杉。まずは6月、とんがりが見えるでしょう。
 杉にはいろいろ種類があって、よく結実するものとそうでないものがあるそうですが、私が定点観測している杉は実が鈴生りになるタイプのようです。これを見ていると「鈴木さん」という名前は杉の木を意味しているのかな、と思いますがどうでしょうか。
6月26日
 7月11日に信州の戸隠神社に行きました。参道は心憎いばかりに手入れされていて(このような手入れが一番むずかしいのです、まるで自然のままのように草木が茂っている)、赤い木肌の杉並木が続きます。
あまりに背が高いので並木の杉の葉のディテールも杉ぼっくりも見えませんが、ところどころ苗木のように植わっている細い杉には新芽がちらちらと光っています。ここは標高1000m。涼しいので、新芽の具合は定点観測杉の5月ごろのようです。

戸隠神社 参道並木 

 

戸隠7/11 新芽

うろ  

(左)根元 (右)あまりにきれいな杉皮なので剥く人が多いのか?


●<いしだ・のりか>フリーランスキュレ−タ−
1965年京都生まれ、金沢にて小学2年時まで杉の校舎で杉の机と椅子に触れる。「人と自然とものづくり」をキーワードに「手仕事」を執筆や展覧会企画などで紹介。

→おまけ

 
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