連載

 
間違いだらけのチェンソー選び/第5回
文/写真 梶谷哲也
吉野の山いきが語る、チェーンソーのあれこれ。プロの経験から、するどく伐り込む。
 

「チェーンソーを安全に使うために」

この記事を読んでいる方で、チェーンソーを使ってみた方はどれくらいいるのでしょうか。
使ってみていかがでした?
扱いにもすぐに慣れたと思います。
そしてその切れ味とエンジン音に爽快感を覚えたのではないですか?
チェーンソーは危険な道具ですが、決して特別危険な道具ではありません。使い終わった後に心地よい疲れが残るように、安全に使用したいものです。
そのために必要なことを書いていきます。
まず、チェーンソーを扱う資格があることをご存知ですか?
「伐木等の業務に係る特別教育」
(労働安全衛生規則第38条第8号に規定されている特別教育


2日間にわたってチェーンソーの扱いや、立木の切り方等を学びます。
これは「特別教育」ですので、試験はありません。ご安心を。
お近くの森林組合や、県の機関に問い合わせれば、詳細を教えてくれると思います。
ちなみに、この資格がないと、チェーンソーを使ってはいけないということではありません。

次に、皆さんも耳にしたことがあると思います。
「白蝋病」(はくろうびょう)
手先の振動障害のことですね。神経がやられ白くなり感覚がなくなってしまうという病気です。
これを防ぐために使用時間が規定されています。
一日の総使用時間は2時間以内。
一度に使う連続運転時間は10分以内。

大きな声では言えませんが、いや、声を大きくしてもよいのですが、この使用時間を守っている人はプロならば絶対にいないでしょう。
現在のチェーンソーは性能が良くなり、振動も以前のものとは比べものになりません。
安心して無理のない程度に使用して下さい。

3つめに、自分の身体を守るための商品を紹介します。
現場で使用するならヘルメットは当然です(写真1)。自分でチェーンソーを使わない場合も、使う人と一緒に現場に入るなら絶対にヘルメットをかぶりましょう。

チェーンソーは、その扱いに慣れてきたころケガをするのですが、その箇所は圧倒的に足なんですね。
その足を保護するのが、これ。(写真2)
チャップスと言います。
ズボンタイプ(写真3)のものもありますが、暑いんですね。寒い時には最高なんですが。お好みで。

最後に、やっぱり取り扱い説明書にしっかり目を通すことです。
基本が大事です。

「チェーンソーを使いたいけど、大変だなあ」と思われたでしょうか。
「もうチェーンソーつかってるけど、こんなこと全然知らなかったよ。別に平気だけどなあ」なんて意見もあるかもしれません。
現在、チェーンソーは森林整備やボランティア、チェーンソーアート等のホビー需要で結構な売れ行きのようです。
裾野が広がっている今だからこそ、事故やケガの危険性は増していると思います。
チェーンソー自体は危険なものではありません。
使い方によっては危険になるのです

ここを十分に理解して楽しく使用して下さい。

参考になると思うサイトを紹介します。
「コマツゼノアの安全講習web」
http://www.zenoah.co.jp/safety/chainsaw_index.html

次回は、いよいよ最終回。
チェーンソーを使って出来ることをいろいろと紹介しようと思います。

 
  写真1:
ハスクバーナのヘルメットです。イヤマフ、フェイスガード、ネックカバー、これ最強。

 
  写真2:
チャップスです。足に巻き付けてチェンソーから足を守ります。蒸れないし、軽くおすすめの一品です。

 
  写真3:
チェーンソー保護パンツです。左足に注目! チェーンソーを当てて破いてしまいました。履いててよかった!



●<かじたに・てつや>吉野の山仕事師
奈良県吉野で山仕事を本業とするかたわら、チェーンソーアートを中心に「杉の木を使ってできること(出来杉計画)』に取り組む。

   
   
  Copyright(C) 2005 Gekkan sugi All Rights Reserved