連載

 
間違いだらけのチェンソー選び/第6回
文/写真 梶谷哲也
吉野の山いきが語る、チェーンソーのあれこれ。プロの経験から、するどく伐り込む。ついに感動の最終回!
 

 半年に渡って書いてきたこの連載も、ついに今号で最後となります。

 これまで「チェーンソーの選び方」を書いてきたわけですが、前号までで購入、使用方法などの話は終えました。

 そこで、ここは原点に返り「なぜチェーンソーの購入を勧めるのか」について書いてみたいと思います。
そもそもここは『月刊杉』のweb版。
なぜ私がここで一見畑違いのような文章を綴ってきたのか。
次、重要ですよ。
杉(木)は伐って使う必要があるからです。

 杉はいまや一部を除いて日本中に植えられ、そして放置されています。それは杉林の手入れをしても、採算が合わないからです。
ちなみに、山の手入れが遅れている原因について、山林作業者の高齢化、後継者不足がいわれますが、違います。
採算が合わない、つまり儲からないから山が木が放ったらかしになるのです、はい。
働きたい人がいる、そして手入れが必要な山はあるのに仕事が無い、なんてことがあるわけです。んま〜、それはまた別の機会に。

 「森林保護、環境保護のためには木を伐ってはいけません!」
いや、おっしゃることはよくわかります。
でも伐って使った方がいい場合もあるのです。人が植えて採算が合わないという人間側の都合で放ったらかしにされている山です。
光が差し込まず、草も生えていない暗〜い林。皆さんのイメージする人工林ってやつですね。
こんな人工林だってきちんと手入れ、具体的には木が若い時には下刈り、大きくなってからは枝打ちと間伐をすれば、天然林よりも植生が豊かになることもあるんです。
(例えば、こちら。http://www.re-forest.com/hayami/virtual/index.html

 自然の都合ではなく、人間の都合で手入れされなくなった山林。ここに手を入れる時に必要なのが、そう我らのチェーンソー!! 
チェーンソーでどんどん木を伐ろう!切ろう!そして使おう!

木の家って気持ちいい。
木の製品て気持ちいい。
「木は生きているから」なんて説明を受けるとどこか納得してしまう経験ありませんか。
木は伐られても生きているのかもしれません。

「私もチェーンソー使いたい!」
「チェーンソー使ってるけど、伐った木はどうしよう?」
そんなあなたがスギダラな人だったら、ぜひぜひ「伐採計画(http://www.bassaikeikaku.com/)」に参加してはいかが。
また、森林ボランティアに参加するのもいいと思いますよ。
私の「出来杉計画(http://dekisugikeikaku.way-nifty.com/up/)」も見てもらえたらなにか木になるものがあるかも。

 終わりに一つ提案を。
手入れが必要な山がありました。そこに手を入れる許可をもらいました。そしてチェーンソーで木を伐りました。
さて、もうお昼です。
お弁当を食べる前に、自分のお箸を作るっていうのはどうでしょう?
伐った木の枝を削って作ってもいいし、丸太を割っていって作ってもいいのでは。
うまく出来る人、出来ない人。たくさん作ってお土産にする人。一つを丁寧に作る人。
たかがお箸、されどお箸。ぜひ、チャレンジを。

(完)

 私のこの連載は終わりますが、チェーンソーのこと、山仕事のこと、その他もろもろ、質問があればいつでもどうぞお気軽に。


 
  チェーンソーだけでこんなものも作れます!
(左は梶谷さん、右はスギダラ関西の杉吉さん)。

 
  ほどよく間伐された杉林。きれいですよね。差し込む光とともお弁当を広げたくなり ます。

 
 

ヘリコプターからは周りの木が折れるのではないかというくらいの凄い風。

  間伐された木の搬出の様子。上にはヘリコプターがいます。

いままさに伐ろうとする梶谷さん。追い口をいれています。今まで一体何本の杉を伐って来たことでしょう。これからも頑張って下さい。


●<かじたに・てつや>吉野の山仕事師
奈良県吉野で山仕事を本業とするかたわら、チェーンソーアートを中心に「杉の木を使ってできること(出来杉計画)』に取り組む。



 梶谷さん、半年間本当にありがとうございました。
吉野に行き、梶谷さんのチェンソーアートを見せていただき、梶谷さんのかっこよさに感動し、そしてこわごわ初めてチェンソーを使わせてもらい、その爽快感にこれはチェンソーを買うしかないと思わされ、その割にまだ買っていませんが、その想いはとぎれることなく今に至っています。
 その間、チェンソーの難しさや伐採現場の厳しさを知り、簡単ではないことも教えられたわけですが、今月号の上崎の記事を見て下さい。ついにやりましたよ!入り口まで来ました。
 我々はこの始まりが梶谷さんとの出会いに始まったことを忘れません。 今度は吉野で一緒に切り株アートやりましょう!

 梶谷さんのbiog
出来杉計画まだ見たことがない方は、ぜひぜひどうぞ! 吉野の山いき梶谷さんの想い、そして出来杉ワールドが盛りだくさんです。



次号からは引き続き梶谷さんにバトンタッチした、吉野からの杉男達の便りをお願いしています。こうご期待 (編集部)
 
  梶谷さんに指導されチェンソーを握る宮崎大学出口先生

   
   
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