隔月連載
  スギダラ初心者講座第3回:「スギダラはもはやスギダラにあらず宣言」または「杉というソウル」
文/写真 袴田彩子
   
 
 

スギダラという潮流に巻き込まれ、巻き込まれるがままに仲間達とワイワイと釘打ちやら超重物の運搬やらをしていると・・・何だか楽しくなってきた! これがスギダラ、いや、杉の力!!

解説するとすれば、手がかかること、いや、自らの手がかけられる余地があることが、杉の力と言えるでしょう。

完成品を買って使うことが当たり前になった今だからこそ、杉の家具や建具を「自らの手で組み立てたり塗装したりする体験」が新鮮なものとなり、また、身体を動かして声を掛け合って1つのことをする、そんな経験もまた昨今では新鮮なものです。

手がかかることは、弱点だとばかり思っていたけれど、手がかかることをきっかけとして捉えるんだ、そうか、それが杉の強み、楽しさ、価値なんだ!!! そうだ、そうなんだーーーー! うおーーーーーーーー!
と、少しずつ増えつつあったスギダラメンバーとさらにその周りの人たちが、この新しい価値に気付いた感動で雄叫びを上げるような熱気がうねり始めたたころ、スギダラ大王とも異名を取る三兄弟の長男であるナグモさんから衝撃の・・・・「スギダラは杉にのみあらず」宣言が発されました。

・・・戸惑う杉平民!!!
え、杉・・・じゃない? いやいや、杉でしょ? 杉が良いんでしょ?
他のものでもいいの? え、違うものじゃスギダラケ倶楽部ならないでしょ?
スギダラが、杉にこだわらないってどういうこと・・・???

スギダラの魂(コンセプト)がやっと分かった! と思った矢先に発されたこの宣言に、スギダラ初心者であるところの杉平民は、大いに戸惑ったのです。

いや、戸惑うことはないのです。
スギダラな私達が気付いたのは「手をかける楽しさ」「体験を共有する楽しさや語る楽しさ」であって、それは杉だけに特有のものではないのでした。
題材は、鉄でもいい。銀でもいい。歌でもいい。教育でもいい。
何でもいいのです。

また、余計だと思って、省きに省いて来た手間こそが、楽しさを生み出すしかけだったのです。理性やデータで行動する理由を探して働くことが正しいと思っていたけど、持ち上げた荷物(4mの杉の柱とか)が重ければ重いと叫びそれを見て自然に手伝う、力がないなら昼ご飯の準備を進める…そんな瞬発的・本能的な活動もまた、正しかったのです。

本能的な活動は、なにせ本能ですから誰もが持っている。そこに気付いてしまえば、参加するハードルは低い低い。まさに、ちびっこから、おばあちゃんまで、どなたでも。

例えばおにぎりを握ることは、全然特殊なスキルじゃないけれど、誰かが握らないとおにぎりは生まれない。一方、一日がかりで仕事を進めるには、お昼ご飯は絶対条件である。だからおにぎり作りも必須であって、その担い手もいてくれないと困る。つまり、誰もが欠かせない担い手なのです。

(杉も檜も分からなかったあの頃、杉の柱を1階から8階まで持ち上げるときのワタクシの持ち場は、「手を離すと閉まっちゃう扉を押さえておく係」という、どうにもしょぼいものでした。が、重い杉の柱を運び上げてくるメンバーに自分で扉を開ける余力はマッタクないので、扉押さえ係というのは、それはそれで欠かせない存在だったのです)

   
 
  こんな感じの様々な杉家具を、(大きさゆえにエレベーターに乗らないので)手持ちで1階と8階を何度も持ち運んだあの頃。スギダラ本部では今も日常?
   
 

いっしょになって何かを作ったり活動したりするその時に生まれる、共有感・開放感・高揚感といったらもうサイコーーー!! 特に、ごくごく脇役しかできなかったのに、役立てたという実感を持つと嬉しさ満点です。ちょっと祭りの高揚感に近い感じ。

 「頭で理解するのではない、感じるのだ、心の、魂の叫びを!!!!」

そんな叫びが聞こえてくるようでした。そのため、この感触を略して「杉というソウル」と呼称することがあります。「杉というソウル」と口にしますが、その感触があるのなら、題材は杉じゃなくても何でもOK。

このソウルを自覚した目で見渡してみれば、さまざまな分野でこのソウルを持って、だばだばと活動している人たちがいることに気付きます。
※ソウルを開放している人は、比較的、泥臭い(+酒臭い)感じに活動していることが多いので、こんな擬態語が似合います

気付いちゃっている人たちに会うと、ピンときます。そんなニオイがします。
互いにニヤリとした後、一瞬にして共感できるんですねー響き合うんですねー不思議ですねー!
※アヤシイ宗教ではありません

 

次回は「変態への覚醒」をお届けします。

   
   
   
   
  ●<はかまた・さいこ> またの名をキャッシー。スギダラ天竜支部広報宣伝部長。 6年間の株式会社内田洋行勤務を経て、Uターンにて現在デジタルセンセーション株式会社勤務。
   
 
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