特集 祝!グッドデザイン賞受賞
  杉で仕掛ける
文/ 海野洋光
   
 
 
  最近、杉で仕掛けていないなあと感じる今日この頃です。
久しぶりに杉でホームランを打った話(自分的には…)を南雲デザインの出水さんとしたいと思います。出水さんは、軽トラ屋台「K mobile」のグッドデザインのことを中心に、私はこの軽トラ屋台「K mobile」のデザインの経緯を話します。
   
 

軽トラ屋台「K mobile」のできるまで
軽トラックで屋台をと言うことは、昔から考えていました。「木材は軽い」と言っても、かさばるのです南雲さんのデザイン屋台を20台近く製作している私ですが、いつも、製作した屋台の移動に頭を抱えます。
そこで、海野建設にある、4tユニック車の出番ですが、これは、建設会社だからできる技で普通方には、出来ません。以前から考えていたのは、簡単に積載、積み下ろしが出来て、移動に支障のない屋台です。

最初に考えたのは、壊れないということとそれを地元の技術でということでした。地元で作れて、移動ができて壊れないと言うことは、大切なファクターでした。兎角、木材屋さんは全て木材で作ろうと考えますが、フレームは、アルミでも、もちろん鉄でも構わないと私は考えたのです。
   
 
 
   
  イメージを作る中で宮崎県川南町の軽トラ市は、ポイントでした。
   
 
   
  いろいろ調べて行くうちに私の高校の先輩が軽トラ市のマニュアル冊子を制作しているとの話をFacebookで知り早速、完成したマニュアルを取り寄せました。次に思い浮かんだのが、ラーメン屋、おでん屋など博多の屋台です。出張と称して屋台を飲み歩いたのは、決して…。
   
 
   
   
 
 移動が今回のデザインでは、重要な意味を持ちます。当然、屋台を考えるにあたって、東日本大震災のことは忘れてはならないことだと思っていました。前述した先輩の軽トラ市のマニュアル冊子も東北支援に一環として捉えたものです。私が考える軽トラ屋台は、普段は、倉庫に保管して月に一度か二度、朝市など販売に使い、いざ、災害などで活躍できればと想像していました。こうして、アイデアのイメージは固まりつつ、ありましたが実際にどんなものができるのが、全く白紙の状態で南雲さんに電話をしました。世界的景観デザイナーに直接、お電話できる間柄になったのも、「杉」通して共通の認識を持っているからです。

杉絆は、ありがたいです。

デザインの条件は、揃っていましたが、このようなプロジェクトを進めて行く上で大切なことがあります。
一つは、資金、それから手順と言うか、スケジュール管理です。資金の方は、宮崎県の補助金制度を活用させて頂きました。スケジュールは、工事の工程管理の用法を使いました。実は、このような商品開発を同時進行で3つ動かしてしまいました。一つでも厄介なのに一度に3つの商品開発ですから、本職の仕事どころではないのです。(笑)
 
   
 
 
   
 

 建設工事の工事管理の中にマイルストーンで管理する方法があります。どんな工事でもこの過程をやらないと次に進めない、大切な項目があるものです。それを、平成25年11月3日に設定したのでした。これがこのプロジェクトのマイルストーンです。スギダラメンバーならお分かりかと思います。宮崎県延岡市で開催された杉コレクション2014です。

   
 
   
   建設工事の工事管理の中にマイルストーンで管理する方法があります。どんな工事でもこの過程をやらないと次に進めない、大切な項目があるものです。それを、平成25年11月3日に設定したのでした。これがこのプロジェクトのマイルストーンです。スギダラメンバーならお分かりかと思います。宮崎県延岡市で開催された杉コレクション2014です。
   
 
 
   
 

当然、各製品開発のメンバーにも、気合が入ります。製作する方は、私一人なのですが・・・。そうなんです。プロトタイプを作る方は、一つなのにデザイナーが3人いるのです。そして、3人ともまったく系統の違う製品開発をしているのですから、同じ日に試作を作り上げるのは、至難の業でした。自分で自分の首を絞めているようでした。デザイナーさんに「早くして!」と頼むと当然、製作を急がせなければならない。製作すると必ず不具合が見つかって・・・。その繰り返しなのです。正確には、もうひとつ、製品開発事業をしました。ですから、4つの事業が、同時進行でめまぐるしく動いていたわけです。

   
 

杉コレは、杉コレで動いているし・・・。

   
  大変ながらも、ナグモデザインから出てくるスケッチや図面は、私を勇気づけるパワーあふれるデザインでした。
   
 
   
 
   
 
   
 
  何とか、試作1号機は、杉コレに間に合い、それぞれ、出口は見えてきました。写真は、試作の発表会のためにボランティアで来ていただいた大阪の畠中さんです。
   
 

製品の完成に近くなると南雲さんから指令が!!!
ナグモ 「海野さん!写真は、駅前広場が良いよね!!」
ウミノ 「そっそうですよね」と答えるが内心は、どこに許可をもらえば・・・。
まあ、地元でもあるし、世界のナグモだから、日向市役所にお願いに行って!!内心、心細い・・・。
日向市の市街地整備課の黒木康文係長 「いま、芝が傷んでいて・・・」
ウミノ  「すみません。ほんの1時間程度ですから・・・・。」
快く許可を頂きました。ちなみに黒木係長は、私の大学の後輩で同じ学部なのです。何とかきれいな写真が撮れました。

   
 
   
 
 

 

 

本当にありがとうございました、この場をお借りしましてお礼を申し上げます。

   
 

 通常の補助事業だとこれできれいなパンフレットを作成して終わりなのですが、この事業は、次を狙います。グッドデザイン賞です。詳しい話は、ナグモデザインの若きエース出水さんの章にお任せしますが、南雲さんは、ここでも指令を出します。「グッドデザイン賞のパネルは、やっぱ!軽トラ市の写真だよね!!」
そうなんです。その狙いは、十分理解できるのですが、軽トラ市の開催日(第4日曜日)は、月一なのです。1次選考を通過して2次審査会は、東京ビックサイトで審査員と直接、面談なのです。作品がどのように使うのか、使われているのか。とても重要なパネルとなります。

   
 
   
 
   
 

締め切りの2日前が軽トラ市でしたから、綱渡り状態です。写真は、高校の同級生に頼んで撮ってもらいました。これも感謝です。と言うのも、出店するはずだった「へべす」農家の方が急に出店できないと言うことになり、素人の私が、妻と出店することになったのです。いや、驚きました。へべすの売れ行きに!!約3時間の販売時間でしたが、ほとんど売れてしまいました。恐るべし「軽トラ屋台」、「ひゅうがへべす」でした。日ごろのへべすパフォーマンスが活きた!と実感できる3時間でした。

 あとで感じたことですが、何も予備知識のない審査員に信用あるインパクトを与えるには、写真は、一番的適切であると言うことでした。この2つの撮影のために妻が、協力してくれたこともありがたいことです。

   
   グッドデザイン賞をいただけるだけでも名誉なことなのにベスト100に選ばれたのです。2つの撮影会がなければ、到底、届かないと思っています。聞くとことによるとベスト100は、プレゼンをしなければならないそうです。写真、写真と思っていたら、プレゼンですよ!それも、東京ミッドタウンという、ハイカラな場所で・・・。
   
 
   
  この件は、ユウチューブに動画が出ているので何も申しません。ただ、私の前は、マツダのデミオ、あとは、三菱フォークリフト。とても、太刀打ちできる企業ではないのです。
   
 
   
   ところが、なんと!!特別賞を頂きました。これは本当にうれしかったです。予想していない賞が、いただけるなんて!!
   
 
   
 

南雲さん!出水さん!!本当にありがとうございました。そして、いろいろ応援してくれた県の方、木材の仲間、杉ダラの仲間、職人さんや仕事もせずにこんなことをやらせてくれた会社の方に感謝感謝です。

   
   
   
   
  ●<うみの・ひろみつ>木材コンシェルジュ
ほぼ、毎日更新しています。ブログ「海杉 木材コンシェルジュ」 http://blog.goo.ne.jp/umisugi/
2009年3月31日をもって、日向木の芽会 を卒業しました。
海野建設株式会社 代表取締役 / HN :海杉
月刊杉web単行本『杉で仕掛ける』:http://www.m-sugi.com/books/books_umi.htm
月刊杉web単行本『杉で仕掛ける2』:http://www.m-sugi.com/books/books_umi2.htm
   
 
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