しかし製品化されなくて良かった。その間、いろいろな事を学んだ。
千代田と一緒に自分たちで売り歩くのであるが、これがクレームになる。割れた、反った、汚くなった等……。そのたびに、対処と説明に伺う、しまいには交換、大赤字である。そうなのである。製品の特性、美しい、ほっとする、「しかしメンテが必要。反る、狂う事だってある。だけどスギなんだもん」という関係がお客様との間に必要となる。つまり製品を取り囲むコミュニティーが必要なのである。
「スギを理解し、スギを使って作り、そして使うこと、メンテしていくこと」
その当たり前のことを省いてはいけないのである。この事に気づくのに2年もかかった。全くボンクラには時間がかかる。
スギは懐かしくて美しい。しかしそれをもう一度我々の生活に戻すには、僕ら自身のスギとの関わりや理解、そして様々な人とのつながり無しでは成立しないのである。便利さだけではだめなのである。スギダラの活動は、「スギを自ら楽しむ、そしてスギだけのことを考えない、新しいスギとの関わり方、楽しみ方を実践していこう」ということに始まる。
「いつか、全国のスギダラ仲間と東京ドームでスギダラデザイン展をやろう! 全国の産地から集まった人たちと仲間でスギの未来を見せあおう! なぁ若ちゃん!!」 居酒屋での出来事から全てが始まった。
次号は、スギダラ家にいたるまでのインテリア実践の今、スギダラインテリアをお送りする予定です(スギダラ家の進展はその後の予定)
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