隔月連載
  杉で仕掛ける /第52回 「鳥居を通して」
文/ 海野洋光
   
 
 
 
   
  木材屋さんとお付き合いを始めて何年になるだろうか?と思い数えてみた。20年だろうか?
20年前の宮崎の材木屋さんは、本当に元気でした。(今も元気ですが・・・)でも、木材屋さんは「木材が売れない、売れない」と嘆いて、私のところに話に来ます。「なぜうれないのだろう?」と。木材屋さんの視線の先は、ほとんど住宅建築用材(柱、梁、間柱、根太など)でした。売れないのは、柱や梁なのです。
海野建設は、不思議にも木製の鳥居を製作販売しています。なぜ、ウミノが鳥居なのか?日本のシンボルマークでもある鳥居は、かつて、その殆どが、木製でした。しかし、その当時、インターネットで鳥居を検索すると・・・。
出てくるのは、塩ビパイプの鳥居でした。
なんで???
本当に不思議な鳥居です。軽くて、長持ち。
違うだろう!!!
   
 
  それは、山頂にある鳥居は、運ぶにもメンテナンスをするにも大変です。しかし、信仰の対象である鳥居が、塩ビパイプで良いわけありません。そして、私は、8年前に鳥居のHPを立ち上げたのです。
すると・・・。
これが、やけに反応が良いのです。「鳥居専門店
   
  はじめのHPは、鳥居に関する知識をもってもらおうとするホームページにしていたのですが、「鳥居をつくってくれませんか?」「鳥居はおいくらですか」と言う問い合わせが次々にくるんです。
それではとHPを変更しました「山里に住むお年寄りで、村の鳥居が腐って取り替えないとならないが、取り替えるにも、人が少なくなり、どうしようもない・・・」という場面を販売の想定だったのです。どうも違っていました。メールや問い合わせが来るのは、会社の総務の方や営繕の方、自社ビルのオーナーなどでした。
「鳥居を製作して全国に発送する」こんなことを発想したのは、この頃です。
考えてみれば、お年寄りが、インターネットで鳥居を検索する場面は、少ないと思います。最近は、多くなりましたが・・・。
   
 
   
 

玉垣に「鳥居専門店」の焼印を打っています。ひとつ、ひとつ、心をこめて。
この写真もスキー場の会社の方からの依頼の鳥居でした。長野県の車山山頂神社様です。はじめの依頼は、もちろん、鳥居です。木製鳥居の製作販売。いまでは、海野建設の主力商品のひとつに成長しました。

   
 
 

とても立派な鳥居ができて喜んで頂きました。写真には、遠くに富士山も写っています。立派な鳥居の写真を送っていただき、喜んでいると神社の祠を囲っている玉垣も製作して欲しいというメールが入り、早速、製作に取り掛かりました。

   
 
   
  写真は、部材1種類ごとに撮影したものです。これに玉垣の組み立ての手順のマニュアルを添付して送りました。
   
 
     
     
     
     
   
 

このHPを作って思ったのですが、木材を愛する日本人は、たくさんいます。木材の良さを知ってもらうためには、「インターネットもあり」だなぁ!!って、大工さんで無くても木材でここまで作れるんだぁって思っていただければ、木材もたくさん使われることだと思います。

   
   
   
   
  ●<うみの・ひろみつ>木材コンシェルジュ
ほぼ、毎日更新しています。ブログ「海杉 木材コンシェルジュ」 http://blog.goo.ne.jp/umisugi/
2009年3月31日をもって、日向木の芽会 を卒業しました。
海野建設株式会社 代表取締役 / HN :海杉
月刊杉web単行本『杉で仕掛ける』:http://www.m-sugi.com/books/books_umi.htm
月刊杉web単行本『杉で仕掛ける2』:http://www.m-sugi.com/books/books_umi2.htm
   
 
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