特集 月刊『杉』10周年記念特集
  スギダラな一生/第78笑 「月刊杉10年」

文/写真 若杉浩一

   
 
 
 

月刊杉10周年? あれ去年やった? 間違った? もう何年?
だんだん解らなくなって来た。
もう、会員も1900名近くなっている。
さりとて、ずっと変わらない。ダラダラしている。
呼ばれりゃ行くが、さしたる目標が有る訳でもない。
仕事より、何より、飲みごとが大半。 大きな意味が有る訳でもない。
世の中への使命感? イノベーション? 影響? 意義?
デザインの役割? 意味?
そんな事を問われ、議論し、夢は、希望は、未来はと突き詰めてみたものの、自信や確からしさも見当たらない。
ただ、自分は一人ではない事、一人では生きられない事、実は小さい存在であったこと、大した事は出来ずとも、共にいるというコトの喜び、慈しみ。
最近良く言うが「沢山の親戚のようなつながり」が有る事だけは解ったような気がする。
時間の経過が著しい世の中で、次へ次へと生きる、より新しいものを求め、消費する。デザインとメディアは、その片棒を担いで来た。

しかし、地域や、まちはもっと長い時間で生きている。
人がコトを興し、モノが価値を生み、経済や、文化になるまでは平気で2,30年もかかる、そして森は100年後を観て、育てていく。
何が私達を、地域を、スギを変えたか?
それは圧倒的な時間の差、この圧倒的な時間に地域や自然が蝕まれて来たのだ。
僕は、自然保護派でもないし、環境問題や地域問題を問うている訳でもない。
ただ、受け継いだ時間や空間を、どのようにして次に渡すかという使命があるような気がしてならないのだ。
そして、そこに、人として生きる、意味らしきものが有るような気がするのだ。
「たった一つの家族も幸せにできない奴が何を言う!!」と良く言われる。
確かに世間並みの幸せを創れなかったどころか、迷惑ばかり掛けて来た。
しかし、何か、体が震えるほどの真実を手に入れたかった。
そのことだけは、家族に伝えて来た。
「それで? それは、手に入ったの?」
「そんな、簡単にいくものか!!まだ、向こうに光が見えるだけだ!!」
「永いね〜〜」
「あと20年はかかる!!」
最近、スギダラで得た、答え。

こういち。

   
   
   
   
  ●<わかすぎ・こういち> インハウス・プロダクトデザイナー
株式会社内田洋行 所属。
2012年7月より、内田洋行の関連デザイン会社であるパワープレイス株式会社 シニアデザインマネージャー。
企業の枠やジャンルの枠にこだわらない活動を行う。
日本全国スギダラケ倶楽部 本部デザイン部長 
月刊杉web単行本『スギダラ家奮闘記』:http://www.m-sugi.com/books/books_waka.htm 
月刊杉web単行本『スギダラな一生』:http://www.m-sugi.com/books/books_waka2.htm
月刊杉web単行本『スギダラな一生 2』:http://www.m-sugi.com/books/books_waka3.htm
   
 
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