連載

 
小さな杉暦 5〜6月 おまけもあります。)
文/写真 石田紀佳
あのスギぼっくりからとびだしたスギの種が、再びスギぼっくりを鈴生りに するまでのほんの歩みはじめの記録。
 
 
 

●5月9
気になりつつ後回しにしてきた種まきを発作的にとうとう行なう。
神奈川県の里山(定点観測地→総集編にとぶ)で1月〜2月に集めたスギの種とヒノキの種。
渋谷区西原の庭の小さな素焼きの植木鉢に蒔きました。
スギの種はヒノキよりも3倍くらい多く採取していたので(かなりアバウトですな)、ほぼ同じ大きさの鉢ですけど、スギのほうが種がたくさん入っています。
ひとつでいいから育っておくれ!

実は杉ぼっくりが種をはらみだしてから、この鉢植え育成計画を決めていたのでした。えへへ。
そして、同じこと考えている人もあるかもなーと、ちょっと牽制しながら、来年の杉暦はこれでやらせてもらいたいと思っていたのでした。でも4コママンガのこともあるし、もしかしたら却下されるかも、と心配しています、これを書いている今も。ともかく芽が出ないことにはこれを掲載してもらえるかどうか、提案することもできませんものね。
早く芽を出せ、スギの種〜♪

 
 
 
   
  種蒔き (左がスギ、右がヒノキ)

 
 

●5/19
今年はなかなか気温があがりません。そのせいか一週間たっても発芽のかけらもみあたらなくて、蒔く時期が遅かったのか、都会では珍しい杉の種をありんこが運び去ったのか、などと気をもんでいましたが、今朝、見たら、ヒノキの方の種の一ケ所からプクッと白い芽の芽のようなものが見えていました。「ひゃ、ヒノキに先を越されたか」とやはり杉贔屓のところがある私は、少しあせりをおぼえましたが、よーくスギの鉢を観察すると、被せた土の薄かったところなのか、土のつぶつぶの間からスギの種が少し見えて、そいつからプクッと白い突起が見えました。

 
 
 
 

●5月23日
スギの種の帽子をかぶって、スギがピンとたちあがりました。ひのきはまだまがっています。茎の色がちがいます。スギは赤くて、ヒノキは緑。

 
 
 
   
  杉芽1

 
 

●5月26日
ぴんとぐいっとたちあがり、種皮のぼうしを脱ごうとしています。

 
 
 
   
  杉芽2

 
   
  杉芽3

 
 

●5月30日
杉の双葉は三つ葉、ひのきは二葉!

 
 
 
   
  杉芽4

 
   
  ひのき芽1

 
   
  杉芽三つ葉真上

 
 

●6月7日 
本葉も三つ葉?

 
 
 
   
  杉芽三つ葉真上

 
  ●6月15日 
重なっている芽を植え替えしました。出てきた葉がとても杉らしくなってきました。
 
 
 
   
  杉本葉杉らしく
 
 
 
 
 →おまけ
 
 
 
 
●<いしだ・のりか>フリーランスキュレ−タ−
1965年京都生まれ、金沢にて小学2年時まで杉の校舎で杉の机と椅子に触れる。
「人と自然とものづくり」をキーワードに「手仕事」を執筆や展覧会企画などで紹介。
 
 
 


 
   
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