日南市子育て支援センター「ことこと」のオープン、おめでとうございます。日南市の子育て支援の役割はもちろん、周辺市町村からもたくさんの人が訪れる油津商店街の新名所の施設になることをお祈りしています。
2015年夏、日南市こども課長嶋原さんと森山さんが東京おもちゃ美術館を訪れて、「日南市にも木育の子育て支援施設を作りたいのです」と森山さんが目にぽっと涙が浮かぶほど真剣な表情で話されたことを今でも忘れられません。
私どものNPOは、東京四谷の廃校を活用して「東京おもちゃ美術館」を運営、「木」を真ん中にした子育て活動を推進しています。そのシンボルとなる「赤ちゃん木育ひろば」は、2011年10 月、東京おもちゃ美術館内にオープンしました。内装に国産のスギ材をふんだんに使った子育て広場ということで、年間15万人の親子が訪れるようになり、町に子どもたちの声が戻ってきました。
森山さんやこども課の皆さんの情熱にほだされて、木のおもちゃの監修をお引き受けしました。赤ちゃんにもパパ・ママにとっても森の恵みを五感で心地よく感じることができ、子育てが楽しいと思える「赤ちゃん木育ひろば」が、全国に広がっていくことは、私どもにとってもとても嬉しいことでした。
パワープレイスの奥さんと何度も作戦会議をして、「日南にしかないおもちゃを飫肥杉で作ろう」「こどもたちが日南を大好きになるような遊び場にしよう」と知恵を絞りました。そこで生まれたのが、他にはない日南市ならではのユニークなおもちゃと遊びのコーナーです。

油津港で水揚げされるカツオ、マグロ、シイラ、とびうお、 伊勢エビ、ヒラメ、コウイカなどのマグネットおもちゃ。壁面ボードに、日南の海の中の情景を作ったり、お店ごっこのお買いものでも遊べます。油津港で魚釣りをするイメージのおもちゃも作りました。

ままごと遊びコーナーには、日南の山並み・田園風景の壁面マグネット遊具を作りつけていただき、日南で収穫される、なす、かぼちゃ、ズッキーニ、ピーマン、トマト、しいたけなどの野菜が収穫できます。広いおままごとキッチンにみんな並んでお料理ごっこ、おうちごっこが楽しめます。

日向夏ときんかんの木も登場。果物がりごっこができます。 ワークショップでみんなが作った「かご」に収穫して、隣のお店屋さんで「いらっしゃい、おいしいよ！」

宮崎名物さつまいも掘りの畑もあります。時々、モグラが現れるので気を付けて。

「赤ちゃん広場」には、有馬晋平さん作の飫肥杉のスギコダマに、しっとり温かい30mmの飫肥スギの床。安心して赤ちゃんを寝せることができますし、ハイハイやよちよち歩きで動き回る赤ちゃんの傍らで、パパ、ママたちもどっしり 座って赤ちゃんと向き合って遊べることでしょう。

「赤ちゃんもお年寄りも中高生もみんなが集まる場所」これは2015年8月の第1回目の市民向けワークショップのディスカッションで出された意見のひとつで、今も心に残っています。社会全体や家庭での子育て環境が大きく変化したいま、日南市で長年保育士としてキャリアを重ねてきたスタッフの皆さんが、「ことこと」を拠点として、子育てをする若いパパやママ一人一人に寄り添い、多世代の市民の方々と一緒になって子どもたちの成長を喜び合える、そんなキャリアを生かせる場所ができたことが何より嬉しいです。消費することやお金を使ってテーマパークに行くことが「遊ぶこと」と思われがちな時代ですが、「ことこと」に多世代の方々が集まり、みんなで子育て、「一緒に遊んで楽しい」という子どもたちにとって生涯大切な宝物が、たくさん増えてほしいと思います。日南市で生まれた赤ちゃんと一緒に、「ことこと」も一歩一歩大きく育ててくださいね。