やがて風景になるものづくり。ようび再始動!
  私たちはできた!

文 / 大島奈緒子

   
 
   
 

ツギテプロジェクトの後編を、月刊杉で出しませんか、という嬉しいお声がけを頂いて、いったいどれだけの時間がたっただろう。私は、いまだ、このプロジェクトのことを言葉にできないでいる。

振り返ると、まだ1年も経っていない。
去年の今頃は、と時々話すのだけれど、12月はずっと建て方だった、日が経つのが恐ろしくて仕方なかった、ということは思い出せるし、心強かったツギテノミカタの顔は思い出せるのだけれど、なんだか、遠い昔のようで、記憶はおぼろげだ。

「自分自身にとっての」プロジェクトを振り返ると、悔しくて情けないことばかりだ。もっと、こうしたらよかったんじゃないか、そうすれば、、、とか、もっと、こうできたんじゃないか、とか。自分自身の至らなさで、叶わなかったことも、沢山ある。離れてしまった人もいて、ありとあらゆる人に謝って回りたいと思って吐き気がする。いつも、それが、自分の現実だし、その時の私にそれ以上の力はなかった、と思う。

でも、ツギテプロジェクトを振り返ると、そこには、暖かくて、心強いそんな思い出ばかりがよみがえる。材料の加工が始まってから、家に、家族だけの日、というのは本当に数えるほどしかなかった。2か月近く泊まりこんで助けて下さった学生さんや、チームで駆けつけてくれた各地の大好きで尊敬する、皆さん。大工さん、、、出張から帰ると、知らない人が家で寝ている、ということもあった。娘がまだ小さかったこともあって、実際に建築をまとめたのは、ほぼ与語くんだ。そして、作り上げたのは、ようびのみんなと、たくさんの職人さんと、ツギテノミカタの皆さん。娘が小さかったから、夜、皆と同じように動けなかったことは申し訳なかったのだけど、だからこそ、泊りで来てくださる方に、夜ご飯をつくるのは、嬉しかったように思う。私にとっても娘にとっても、沢山で囲む食卓は幸せなものだった。夏は暑くて、冬は寒くて、あんなに乱暴なワークショップ運営はない、というぐらいのハードな作業。それでも遠くから来てくださった方がいて、繰り返し来てくださる方がいて、そこには笑いがあった。

そうして迎えた、2018.05.05 のオープニングレセプション。本当にたくさんの方が、来てくださって、夢の中にいるようだった。ツギテプロジェクトに来てくださった方が、口をそろえておっしゃったのが、「私は本当に何もできなかったから」というセリフ。そんなわけはない。あの日、あの人がいなかったら、できなかった、そんな毎日毎日毎日が続いたのだった。

あの日、火事に駆けつけてくださった方ーーー! 「いぇーぃ!」 ありがとー
あの日、スギの柱を加工してくれた人!  「いぇーぃ!」 ありがとー
あの日、一緒に断熱材を分別してくれた人!「いぇーぃ!」 ありがとー
あの日、一緒に合板を切ってくれた人!「いぇーぃ!」 ありがとー
あの日、一緒に材料を洗ってくださった人!「いぇーぃ!」 ありがとー
あの日、一緒にペンキを塗った人!「いぇーぃ!」 ありがとー
あの日、一緒に組立たひと!「いぇーぃ!」 ありがとー
あの日、一緒にビスをもんだ人!「いぇーぃ!」 ありがとー
一緒に考えて下さった、皆さん!「いぇーぃ!」 ありがとー
材料を支援してくださった、皆さん!「いぇーぃ!」 ありがとー
専門知識をやスキルを貸してくださった、皆さん!「いぇーぃ!」 ありがとー
無理を聞いてくださった、大工さん「いぇーぃ!」 ありがとー
地域の皆さん「いぇーぃ!」 ありがとー

誰が欠けても、できなかったんです。
みんながいれば、こんなことができたんです。

全員と話せなかったこととか、もっとこうしたら、とか思うことはもちろんここにもあるのだけれど、プロジェクトを通じて、1番くらいに後悔しているのは、みんなで円陣を組んで、または、写真を見ながら、いぇーーーい!と、やらなかったこと。

だから、この場を借りてやりました。
ようび、がやったんじゃないです。
みんなで、やったんです。

どうか、心の中で「いぇーい」を、ツギテノミカタの皆さんに、そして、来てくださった皆さん自身に、そして、人の可能性に、「いぇーい」を。

わたしたちは、できたよねーーー!
「いぇーーーーーい!!」

 

 

※ こればかりがどうしても心残りで、忘年会で忘れてしまう訳にはいかないと、新年会を企画しました。写真を見ながら、称えあう、そして、楽しく過ごす。企画も用意してますが、この、いぇーい、をやりたいのです。お忙しいと思うのです、でも、一人で円陣組めないので、よかったら遊びに来てください!!いつ行くか、タイミングがないよ、という方にもおすすめ。こちらは、自由参加なので、今、ツギテプロジェクトを知ったという方でもご参加いただけます。お待ちしております!

最後に、本当に本当に本当に
ありがとうございました。
このプロジェクトは、ようび のプロジェクトでなくて
人の可能性を信じて下さった、みんなのプロジェクトだと思っています。
心から感謝しているのだけど、一方通行なありがとうではない感覚があります。
何より、寄り添ってくださったこと、に救われたのかもしれません。
本当に、本当に、ありがとうございました。
また、来てくださいね!

   
 
  出来たよ。
   
   
   
   
  ●<おおしま・なおこ> ようび建築室室長
   
 
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