ATELIER MUJI有楽町『木を見て森を見る!』展 (ワークショップ特集)
  九州_ヒノキの端材がステキに生まれ変わる

 

   
 
   
  「木を見て森を見る!」展に参加して
  八木美紀
   
   昨年に引き続き、今回も色んなご縁があって無印良品のワークショップに参加させて頂きました。今回の企画「木を見て森を見る!」展は昨年参加したイベントとは違い10月12日(金)〜11月25日(日)の長期にわたる企画。しかも展示物が何もないところからのスタートで、一番最初のワークショップを宮崎チームが担当することとなり、上手くいくかなと心配でした。  ワークショップ当日の移動では空港で大事件!一緒に行くはずだったアートセンターの緒方さんの航空券の手配ミスが発覚し、空港でそのままお別れ  会場に到着すると、宮崎チームの川上社長、中川さん、川添さんがギリギリまで床張りワークショップの事前作業。
   
 
   
ワークショップ前の会場風景        
   
   そんなドタバタ状況の中でワークショップが始まりましたが、参加者はそんな周りの状況を気にすることもなくウッドフラワー作りを楽しんでくださいました。参加者の中には、昨年の池袋ワークショップに参加してまた作りたいとわざわざお越しになった方もいて、久しぶりの再開を果たすこともでき、私自身も楽しむことが出来ました。
   
 
 
     
 
  参加者がカンナ屑詰め放題をしている様
   
  また、ウッドフラワー作りの終了時にはカンナ屑を大量に持ってきていたので、参加された方に「自由に持って帰っていいですよ!」と案内すると、ここぞとばかりに皆さんカンナ屑を持って帰っていました。このような状況を見ると、やっぱり使い方を提案すれば廃棄寸前のカンナ屑でも喜んで使ってくれるんだな〜と実感しました。
   
 
  参加者がカンナ屑詰め放題をしている様子
   
  続いて13日のお昼からは、床張りワークショップ。12時半〜と14時半〜の計2回開催。私はあまりお手伝い出来ませんでしたが、これがとても大変でした。多分、参加した方全てが初めての経験で、夕方までには完成させないといけない状況の中、参加者、スタッフみんなが一体となって必死に作り上げたワークショップだったので、忘れられないとても貴重な体験をすることができました。
   
 
   
床張りワークショップ風景        
   
 

 私たちはこれまで木と共に暮らし、木に関する知恵は、暮らしの中または遊びの中で引き継がれてきたのですが、それがこの数年にわたりなくなりつつあります。
 木との関わりは手間がかかります。しかし、手間暇かけて手入れをしながら使うと長く持ちますし、大切に使う心を育むことが出来ます。木も人間も与えられた命。その命を頂き、暮らしを作ること、そしてそれを大切に用いる心を育むことが重要だと思っています。
 コイヤはそんな情熱をもった人たちの集まりで、そんな仲間が集まって今回の企画が出来たわけですよね。私もそのような取り組みに共感するので、またこのような機会があれば誘って下さい。
 最後に。今回のワークショップを無事終えることができたのも宮崎チームの皆さん、パワープレイスの皆さん、良品計画の皆さんのご協力のお陰です。本当にありがとうございました。
 皆さん、お疲れさまでした

   
 
   
 

●<やぎ・みき> 宮崎県

 
   
  やりすぎたハザイガン
  倉内慎介
  ●天草ヒノキでできたハザイガン
  天草にあるかしの木学園で出る面白い形の端材(ハザイ)を見た時に、これはなんか使えそうだ! と直感的に感じた2年前。なんだか面白いこの形は、木の板からしゃもじや木ベラを切り抜いたときに出るハザイ。
1年前のOPEN MUJIで試験的にそのハザイをヤスってバターナイフやマドラーをつくるワークショップを開いてみた。それなりに盛り上がったが、何か物足りなさを感じていた。このハザイの特徴を活かしきれていないんじゃないかと。。
今回、「木を見て森を見る展」でワークショップを担当してほしいと言われた時に、このハザイを使ってもっと子供が喜ぶワークショップは何だろうと考える。 答えは意外と近くにあった。それは二人の息子たち。小3と小1の息子たちが興奮するもの。

「武器」 「でかい」 「強い」

そんなキーワードを頭におきながら、ハザイをいじっていると。ハザイの重なった曲線が、火縄銃みたいに見えて来た。
「これだ!」
すぐに輪ゴムでハザイを結わいてくっつけ、ハザイガンの原型は完成した。 でも、ふつうの輪ゴムを飛ばすのでは面白くない。太くてでかい輪ゴムを飛ばすことに決め、キーワードの「強力」もクリアしたハザイガンのベースができた。
   
 
 
プロトタイプ1号   プロトタイプ2号(品質管理にはこれで申請)
   
  ●MUJIでワークショップをやるということ。
  まぁ。デカいとは言っても輪ゴムだし。安全面はどうにかなるだろうと甘く考えていた。しかしMUJIの品質管理は厳しかった。大きさや安全性、尖ったところがないかや怪我をする要素はないか。時間内に完成させられるのか。完成度は高いかどうか。様々な視点で審査された。
このハザイガンは特に大きさの面で問題視されていたらしい。
でもよくよく考えるとそれもそのはず、MUJIでワークショップを行うということは、お客さんにとってはMUJIの製品を購入することと変わらないのだから。
もちろん何かあったらそれはMUJIに対するクレームとなる。
   
  ●ワークショップ当日
  当日がやって来た。品質管理の面でGOがでるかギリギリまでわからなかったハザイガンのワークショップ。みんなの協力があり無事に当日の朝を迎えることができた。
厳しい品質管理の審査をなんとか通してくれた、小山さん、小嶋さんに感謝感謝。(詳しくは小山さんの記事へ)
しかし、僕たちパワープレイスチームがそこに持ち込んだものは、品質管理に出したものよりさらにパワーアップしたハザイガン第3形態!
   
 
 

第3形態

   
  おもむろに袋から見本を取り出すと、AtelierMUJIのみなさんの表情が変わった。。

「倉内さん、なんか大きくなってませんか?」
「はいっ!大きい方が子供達が喜びます!」
「は…はぁ。」

「倉内さん、なんかこれ金具ついてませんか?」
「はいっ!そっちのほうが、輪ゴムが飛ばしやすいと思いまして」
「そ、そうですか。。」

こうなればもう、品質管理部に見つからないように祈るしかない。
Atelier MUJI内に、ヤバイ。本当に大丈夫だろうか。という空気が流れた。

それでもスタートしてしまったらこっちのもの。
まずは木育の観点もはずさないように、ハザイとはなんなのか。使うとどういいことがあるのかということを子供でも理解しやすいように紙芝居にして上演。
   
 
 
ヒノキのハザイの紙芝居  

作.イソウディー 絵.もち

   
  その後、ハザイガンキットで製作開始。
ギリギリまでパワープレイスの奥さんと一緒にどうやったら説明しやすいか、わかりやすいかを検討しながらワークショップの詳細を決めていったハザイガンキット。
   
 
  ハザイガンのキット内容
   
  キット化されてはいるものの、中に入っているハザイは1つとして同じ形はない。どんな形状の素材が入っているかを選ぶのも醍醐味。作り始めたら子供達は夢中になって作り始めた。

早く完成させて的当てをしたい子。形状にこだわりを持ちすぎてなかなか進まない子。鉛筆でヒノキを全部黒く塗って銃感にこだわる子。いろんな子がいて面白い。
結果としては、完全予約制にも関わらず飛び入りで作りたい!というご家族も何組も現れ、大盛況に終わった。そして嬉しいことにハザイガンのワークショップを他でもやりたいという声をいただいた。回数を重ね、いずれこのワークショップのキットやノウハウを天草に返せたらと思っている。ハザイガンワークショップ、いつでもどこでもやりまっせ!
   
 
  強力なハザイガンで、ドキドキの的当てゲーム
   
  僕は、
太い輪ゴムにビビりながらも、期待にドキドキした表情を忘れない。
すごい威力で的を倒した時の喜びようを忘れない。
完成したハザイガンを持ち、自信に満ち溢れた姿を忘れない。
子供以上に形状こだわるお父さんを忘れない。
ものづくりの魂に火がついてしまった木材デザイナーを忘れない。
「これはヒノキ、こちらはイノキ」というギャグが滑ったことを忘れない。 (そもそも猪木を知らない。)
ひのきの香りに包まれた、素敵なひとときをわすれない。

素敵な思い出をありがとう。MUJI有楽町店。さようなら。
   
 

●<くらうち・しんすけ> パワープレイス株式会社

   
 
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