連載

 
小さな杉暦 10月 おまけもあります。)
文/写真 石田紀佳
あのスギぼっくりからとびだしたスギの種が、再びスギぼっくりを鈴生りに するまでのほんの歩みはじめの記録。
 
 

草木と過ごすにはもってこいの季節というのに、人間の私は慌ただしくしていて、杉苗をかえりみることなく庭におきっぱなしにしていたのでした。一度は寒くなりましたが、平年より暖かい秋のはじまりです。そのせいもあるのでしょうか、ある日、ひさしぶりに杉苗ちゃんをゆっくり見たら、なんと虫に喰われたように葉っぱ(針葉ですね)が一部なくなっているのです。
たくさん苗が育って、育ちすぎたらどうしよう、などとお気楽な心配をしていたのに、もう育てていくことができないかもしれない・・・。こんなことなら読者プレゼントで二苗ずつなんて渡さなかったらよかった、サイレントオフィスにもいくらでもあげるよ、なんていったけど...、などとさもしいことが頭をよぎります。
でも、虫なんでしょうか。とすると、どんな虫が食べたのでしょうか。どきどきしながら葉の裏を見ても虫はいません。もしかして、数日暖かくて乾燥していたというのに水やりもしていなかったので、そのせいもあるのかもしれません。自責の念にかられながら、水をたっぷりあげて、日陰におきました。
「お願いします、これにめげずに新しい芽を出しておくれ」
あぁ、杉苗ちゃんの行く末は如何に。

 

 

何の心配もなく育っていると思っていました。

 

 

ちょっと見た目には普通ですが。

 
 

ごめんなさい。

 

 

めだか(右)と一緒に育っています。こちらは虫喰いはありません。


  番外編:その1
     
 
 

10月8日朝、伐採練習候補地。昨夜までの強い風で、たくさんの杉の葉が道に落ちていました。

  杉落ち葉 黄、黄緑、茶の色。

 

 

杉の葉ばかりの焚火のあと。


  番外編:その2

 

 

杉トレイ
取材でうかがった京都の金工の職人さんのところには杉の道具がたくさんありました。
そのひとつが薄いトレイ。つくり途中のものを入れて重ねて使います。。

   
   
  ●<いしだ・のりか>フリーランスキュレ−タ−
1965年京都生まれ、金沢にて小学2年時まで杉の校舎で杉の机と椅子に触れる。
「人と自然とものづくり」をキーワードに「手仕事」を執筆や展覧会企画などで紹介。
 
 


   
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