私が使う桶材の約半分が杉材です。意外に少ないと思われるかもしれませんが、これは、材積の話で、風呂桶等大きな桶にはヒバ材を使う為です。点数から言えば、八割以上が杉材ということになります。それだけたくさんの、杉の生活道具を作っていることになります。
おひつや寿司桶、味噌桶に漬物桶と、食に関する桶にはほとんど杉を使います。匂いがおとなしくて、軽いからというのが理由ですが、桶屋の立場から言えば、素直に割れると言うのが杉材を使う最大の理由です。六尺の原木を四つ割りにする時も、くさびを使えば思いのほか簡単に割ることが出来ます。木口に割金を当てて、軽く小槌でたたいただけで、自然と通直に割れていくような良材に出会った時などは、正に胸のすく思いです。 |