連載

 
東京の杉を考える/第17話 「多摩の山の中で見たもの」

文/ 萩原 修

あの9坪ハウスの住人がスギダラ東京支部長に。東京から発する杉ものがたり。
 
 
 

あれから2週間しかたっていないというのに、なんだか遠い昔のことのように思い出す。
2007年10月13日(土)は、『スギダラトーキョー』にとって、記念すべき日になるだろう。はじめて見る多摩の山林伐採現場と、製材工場見学、そして、中嶋材木店の中嶋さんを交えての意見交換と懇親会は、刺激と可能性にあふれていた。

「東京にも山林があり、それをなりわいとして日々暮らしをしている人たちがいる」という事実を目の当たりにして、頭ではわかっていたはずなのに、身体で感じていなかったということを思い知らされた。近くて遠い東京の山。自分たちの暮らしと山とのつながりがあまりにも希薄になっていることをあらためて実感した。

実は、この日の多摩産材見学ツアー、なぜか予想に反して、参加人数が少なかった。ぼくをいれて総勢8名。なんでこんなに反応がなかったのだろう。600名以上いるというスギダラの会員の中で、東京の杉に関心のある人は、あまりいないのだろうか。ちょっと心配になってくる。

それでも、集まったのが、スギダラ本部の千代田さんをはじめとする強力な人たちだったこともあり、今回のツアーを通じて、今後の『スギダラトーキョー』の活動のヒントをたくさん得ることができた。すぐにでもはじめたいこともあるし、時間をかけてじっくりと取り組みたいこともある。

まずは、ぼく自身が定期的に山に通う必要性を感じている。現在、ぼくの住んでいる武蔵境から武蔵五日市は、電車で1時間ちょっと。たった1時間なのに、環境は大きく違う。高層ビルが近くにある暮らしと、山が近くにある暮らし。しばらくは、その間をいったりきたりしながら、自分の身体で感じて、自分の頭で考え、いろんな人とつながりながら、日常のこととして活動していきたいと思う。

※試験的にですが、『スギダラトーキョー』のブログがスタートしました。多摩産材見学ツアーのレポートもあります。覗いてみてください。
http://nagaresugi.exblog.jp/

 
 

●<はぎわら・しゅう> 9坪ハウス/スミレアオイハウス住人。

 



   
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