特集 油津 [後編] 夢見橋の使い方

 
子どもたちの目・心・願い・夢
文・写真/ 安波 圭
 
 
 

「何ができるっちゃろか。」「いつ完成すると?」
堀川の工事が始まると,子供たちは何がそこに誕生するのか,あれこれ想像していました。
5月に入ったある日,「込み栓にメッセージを書きます。」と教頭先生からお話を聞いた子供たち。
「コミセンって何?」「どんなこと書こうかなぁ。」「将来の夢,何にしよう。」
と,ドキドキワクワク感はレベルアップ!
商工観光課の河野さんに来ていただき,飫肥杉の歴史や木橋に関する紙芝居,模型を興味津々と見させていただきました。そして,自分たちの夢が,このふるさと油津にずっと残っていくことを,とてもうれしく,誇りに思いました。
そこから,6年生の木橋についての学習がスタートしました。
木橋や飫肥杉の歴史について,資料を使ってさらに詳しく調べたり,実際に見学に行って熊田原さんや河野さんのお話を聞いたりしました。また,森林組合の方に飫肥杉を少し分けていただき,油津小学校の看板を作る材料にしたりもしました。
快く協力していただいた方々に,心から感謝しています。
休日には,上棟式や完成式に参加し,夢見橋のできあがりを喜ぶ子供たちばかりでした。

   
 
   
   
   
   
   
   
   
  子供たちに,夢見橋についていくつかアンケートしてみました。それでは,子供たちの思いや願いを紹介していきたいと思います。
   
 
   
 

Q.1 夢見橋が完成して,どんな気持ちですか?
○ うれしい!!! (大多数意見)
○ 夢が叶いそうな名前だなぁ。(S.K.さん)
○ 釘も鉄も使っていない橋は滅多にないから,とても誇らしい。(K.W.さん)
○ 木橋復活!うれしいです!(C.T.さん)
○ いい橋だ。観光客が増えそうでうれしい。(K.T.さん)

Q.2 これから夢見橋をどんなことに活用したいですか?
○ ストレス解消。ゆっくりできる場所にしたい。(C.T.さん)
○ 遊び場所や待ち合わせ場所,休憩所にしたい。(Y.I.さん)
○ 観光名所。みんなの憩いの場。(Y.S.さん)
○ 渡るのはもちろんだけど,一番に利用したいのはちょっとした座るところで涼むこと。川も見えるし,涼しいからとても気持ちよいと思う。(R.N.さん)
○ 雨宿り。暑い日に涼む場所。(多数意見) 

Q.3 将来,夢見橋を利用する人々にメッセージ
○ ちょうど私たちが6年生の時に夢見橋が完成しました。私たちは,とてもきれいに使っているので,みんなも大切に使ってください。(N.N.さん)
○ 風がとっても気持ちよいよ!(T.K.さん)
○ これから,日南市・宮崎県の名所として,もっと有名にしてね。(H.S.さん)
○ 油津は良い所です。夢見橋は釘一つ使っていません。鉄も使っていません。すごいです!(E.A.さん)
○ ぼくがおじいちゃんになっても残っていてほしいです。夢見橋は涼しいので,ぜひ来てください(S.M.さん)
○ この橋を伝統ある橋にしてください。(S.S.さん)

Q.4 夢見橋について思うこと・考えること 何でも書いてね。
○ 夢見橋を調べてみて,橋の作り方や特徴がよく分かり,勉強になりました。(C.T.さん)
○ 99.9%杉でできているというのに,とても丈夫なのは不思議に思う。(R.M.さん)
○ 調べてみて,まだ知らなかったことがいろいろ分かったので良かったです。99.9%飫肥杉でできているので,その特徴をよく生かせていると思います。(T.T.さん)
○ 川もきれいにしないといけないなと思った。(R.G.さん)
○ 川をきれいにしたらもっと景色が良くなる。だから,川をきれいにする活動をしたい。(M.T.さん)
○ 二百年以上もってほしいです。落書きは避けてもらいたい。夢見橋がたくさんの人に利用してもらえると,とてもうれしいです。夢見橋の工事を見ていると,いつ完成するのかなと,ドキドキしていました。だから,完成した時は,とってもうれしかったです。夢見橋を調べて,飫肥杉99.9%ということや,釘や金属を一切使わない橋と知って,すごいなと感激しました。(A.N.さん)
○ 夢見橋は,私にとってとても落ち着く場所です。最初に,夢見橋を知ったとき,いつ完成するのかが楽しみで,ドキドキでした。とても完成してうれしいです。(N.N.さん)
○ 夢見橋は,みんなの場所なので,落書きや乱暴に使わないようにしてほしい。大切に使ってほしい。(M.Y.さん)

   
 
   
 

今回、「油津」のまちづくりを見つめ,見直すというテーマで,油津を代表する「チョロ船」と「夢見橋」に焦点を当てて,それぞれ学習してきました。どちらも油津の歴史を物語り,受け継ごうとするすばらしい文化です。
流行ばかりを目的にしがちな発達段階の子供達。だから,歴史の学習が「分からない」と,苦手に思っている子がたくさんいます。しかし,この流行に至るまでには必ず歴史があるものです。油津には,その歴史を学ばせてくれる文化財がしっかりと残っています。その中でも,一番生活に密着したところにある「夢見橋」は,とても子供達の興味をそそり,関心と感動を高めるよい素材であったと思います。
夢見橋に残る自分の夢,そして油津の歴史を、この子供達が永遠に守り続けていってくれることを,心から期待しています。

子供たちの夢や願いが,永遠に続きますように。
私は,これからもずっとずっと見守っていきたいと思います。

   
 
   
   
   
   
   
 
 
 

●<やすなみ・けい> 油津小学校・6年生担任

   
   
   
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