特集 杉コレ in 都城

 
作品名「ぐるりん」
文・写真/平井 充
杉の切り株のようにダイナミックな、子供のための場所をつくりたい
 

 

 「ぐるりん」は、杉の切り株をモチーフに大地から生えあがるダイナミックな生命力の表現と、そこに子供たちが集まり、体全体で杉の肌触りや香りを感じながら、子供たちのいきいきとした元気な姿が見られるような場所をつくりたいという想いから生まれました。

 設置場所は、公園や広場など、やわらかい芝生の上に置こうと考えており、今回の設置場所は最初のイメージ通りに私たちが望んでいた場所でした。用途は、ベンチとステージです。地面をステージにした場合は座席というような使い方が考えられますが、それよりも特に想像力豊かな子供たちが自分たちでいろんな遊び方を発見して、それぞれの発想を展開できるようなものにしたいと考えていました。「ぐるりん」は、たった一つの部材規格を組み合わせだけで制作しています。それは、デザインされたものがシンプルであればあるほど、子供たちの想像力を限定させないで、より自由な発想が得られるのではないかと考えたからです。

 

鉄結

 

イメージイラスト。

 

  実際に制作するにあたって、審査側から初期の「ぐるりん」の高さが高かったことから、安全性などを考慮したデザインを検討してくださいとの連絡があり、高さを抑えた結果、幅を広げることができ、それまでの「ぐるりん」になかったのびやかさを得ることができました。

 

鉄結

 

大勢の子供たちが自由に勝手に、思い思いに遊ぶ。

 

鉄結

 


 

 

 


 

  最終審査の当日に、私たちは初めて実物を見ることができたのですが、予想以上の作品の丁寧さにとても驚き、感動をしました。当日、制作して下さった桑畑さんにお話を伺うことができ、そのおだやかなで気さくな人柄と素晴らしい技術に、私たちは感動と感謝の気持ちでいっぱいです。結果として、上位に入ることは出来ませんでしたが、他の作品に比べ子供たちの人気があり、一日中元気な子供たちが「ぐるりん」の周りに集まっていたことにとても満足しました。わたしたちが、イメージしていた通りに使われていたので、モノを作るために必要な何か大切なものを掴み取った気がしています。そして、今後またどこかで「ぐるりん」が子供たちの恰好の遊び場となって賑わっている風景を目にする日が来ることを待ち望んでいます。

 

鉄結
 

杉の圧倒的なボリュームが安心感を与える。


 

ぐるりん設計チーム平井 充、山口紗由、安島裕香



   
●<ひらい・みつる>
工学院大学大学院工学研究科建築学専攻博士後期課程2年 
初田研究室
  ●<やまぐち・さゆ>
日本女子大学家政学部住居学科建築環境デザイン専攻4年 
篠原研究室
  ●<あじま・ゆか>
工学院大学工学部建築学科建築学コース4年
初田研究室



   
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