連載

 
あきた杉歳時記/第21回
文/写真 菅原香織
すぎっち@秋田支部長から、旬の秋田の杉直(さんちょく)だよりをお届けします ・・・・
 
 

2008年の冬は昨年の暖冬と違って、暦どおりに「大寒」に震える冬日が続いています。雪も平年並みに降り,スキー場や冬まつりの開催地ではほっとしていることでしょう。

   
 
  秋田の冬
   
 

ところで、一般的に秋田の冬は「寒い、暗い、何もない」というネガティブなイメージが定着しています。確かに日照時間も少ないしアウトドアで何かするには半端なく寒い。でもそれを逆手に取って「何もないならば自分達で生み出せばいい!」と、秋田にある大学の学生たちが中心となって昨年末にクリスマスイベント「秋田ほっとHOTクリスマスフェスタ」を開催しました。ホームページには以下のようなメッセージが書いてあります。

「今回このイベントを通じて、何もないところから最高のものが生み出されるということを、秋田に住む子供たち、学生たち、大人たちに伝えたい。秋田を光に満ちた明るく活気ある街にしたい。・・・(中略)・・・・・秋田の大学生と街の人とが手をつなぎ、心もからだも温まるイベントを開催し、秋田の冬の イメージを変え活性化の一助となればと思っております。」

いまは結構どの地方都市でもそうだと思いますが、郊外に大型店舗が出店したり、広い駐車場が確保できるところに移転するなど、既存の商店街や中央街区の空洞化が深刻になっています。秋田市でも秋田駅西口前の中央街区にかつて日赤病院や秋田婦人会館などの公共施設があったのですが、郊外への移転に伴い、空洞化が加速度を増して人通りもまばらになってしまいました。いろいろな計画が建てられてきましたが浮かんでは消えて、一向に再開発が進んでいないのが現状です。

   
  そんな沈滞ムードを払拭して,まずは人が元気になるように、心も体も温まるイベントをやろう!と大学生たちが実行委員会を組織して、それにたくさんの大人たちが協力してくれましたが、その仕掛人とも言えるのが、秋田公立美術工芸短大の卒業生で、現在株式会社アルテを経営している時田和幸さんです。

これまで、大学生のバーチャルカンパニー(仮想で会社を設立,事業計画を作る)のセミナーや,中央街区にある仲小路商店街でまちづくりワークショップを行ってきたネットワークを活かして、今回は「人間接着剤」となってあちこち駆け回って協賛を集め、地元警察や消防など関係機関との調整、連日午前様まで打ち合わせをするなど裏方に徹して学生たちを力強くサポートしました。

 
  「秋田ほっとHOTクリスマスフェスタ」の仕掛人・株式会社アルテの時田和幸さん
   
 

さて私は今回のイベントで秋田杉屋台の製作協力をしました。そもそものはじまりは11月5日、時田さんからの協力要請メールでした。計画では日赤跡地の空き地に15台の秋田杉屋台をおいて、世界の料理や秋田の郷土料理屋台などを開催することに。しかも、1台3万+消費税ぐらいで(!)とのこと。以前能代で作ってもらったときは、一台10万で作ってもらったので、こりゃ厳しいぞーということで、できるだけ簡単な作りにしてあちこち協力を仰いだのですが、納期が短く、なかなか受けてくれるところが見つかりません。それでも、宣伝期間の関係で、計画は各種メディアにプレス発表されるし、もうあとには引けない状態です。

そこで「学生たちみんなで作ればいいじゃないか!」という方向転換をして、完成品を納品してもらうのではなく、実行委員の大学生たちでも組み立てられるように、組み立てキットで納品してくれるところを探すことにしました。早速製材業者さんに詳しいスギダラ会員で秋田県庁職員の宮崎さんから、潟上市でガーデニングやエクステリアなどの屋外設置物の製造販売をしている株式会社ゴショノさんを紹介してもらいました。

   
  早速図面を引いて模型を作り、ゴショノさんにいって打ち合わせをしたのが12月11日。節があっても色が合わなくても構わないので、何とか価格を抑えられるようにと、製材から金物含めて一式を、何とか予算内でご協力いただくことになりました。でもなにしろ会場設営が12月22日だったので、12月製材して乾燥させて組み立て期間を2日間とって...とかなりタイトなスケジュールでしたが、12月19日には、組み立て作業場に納品していただくことができました。
   
   
  秋田杉屋台の模型。表から。   秋田杉屋台の模型。裏
   
  組み立てキット到着!   県庁職員でスギダラ会員の宮崎さん
   
 

ところが、思わぬピンチ!肝心の大学生たちが組み立て予定の期間と試験期間が重なってしまい、日中の人手が確保できないという連絡が。でも時田さんの呼びかけで、秋田市役所の都市整備部の方々が助っ人として、電動ドリル持参で駆けつけてくれました。わたしも仕事の合間に金槌をふるって丸2日間,組み立て作業を手伝いました。最終的には、時田さんの友人や卒業生、いろいろな人にお手伝いをおねがいして、納品締め切りの12月22日の朝までかかって組み立て、会場に設営できました。

さていよいよクリスマスフェスタ当日。晴れ間も見えるまずまずのお天気。思い思いにクリスマスらしくディスプレイされた15台の秋田杉屋台が立ち並びました。まさに感無量です。(涙)結果は2日間で延べ3000人の来場者があり、大成功だったと思います。屋台の製作にご協力いただいた皆様にこの場を借りてこころから感謝申し上げます。ありがとうございました。

   
   
  屋台村の看板   組み立てた杉屋台15台が並ぶ
   
      「仲小路セット」
   
  「キムチ鍋/ココナッツミルク」   「ホルモン」
   
  「Xmasタンブラー/稲わらリース」  

「タコス」

   
  「ドレミグラス」   「お好み焼き」
   
  秋田屋台   「世界のスープ」
   
  「だまこ汁」   「モンゴル茶」
   
  「とん汁」   「カレー」「きりたんぽ鍋/しょう油おにぎり」
   
   
   
 
   
   
   
   
   
 
 
  ●<すがわら かおり> 教員
秋田公立美術工芸短期大学 産業デザイン学科 勤務 http://www.amcac.ac.jp/
日本全国スギダラケ倶楽部 秋田支部長 北のスギダラ http://sgicci.exblog.jp/
   
   
 
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