連載

 
吉野杉をハラオシしよう!〜“駆け出し”専務の修行日記〜第21回
文/写真 石橋 輝一
鍛え系杉連載。さぁ、吉野中央3代目と一緒に勉強だ!
 
 

こんにちは。連載21回目です。今月も奈良県吉野から元気いっぱいでお贈りします!

今年は雪が多いです。
僕達の製材所がある位置は、吉野でも山の麓の方なので、例年それほど雪は降らないのですが、今年は何度も積もりました。山の方では根雪になってしまった所もあるようで、原木が出材できず、原木市が延期になるなどの影響が出てきました。去年は一度も雪が積もらず、車のタイヤをスタッドレスにして意味が無かったのに、今年は一変しました。

さて、今月は冬の製材所の様子を覗いてみましょう。

工場内は結構、冷え込みます。原木を製材する台車(送材車付帯ノコ盤)を操作するハラオシさんは、どんな製品を取るか…丸太を無駄なく製材するにはどうするか…と頭の中はフル回転で思考をめぐらすのですが、実際、あまり動かない仕事でもあります。送材車の運転席の1m四方の中にいるので、体があまり動かず、足元がかなり冷えてきます。
そんな時に秘密兵器が、電気ストーブ。足元あったかで、仕事がはかどります。まさに「頭寒足熱」です。

     
送材車に原木を載せて、木取りを考えている間、足元を暖めてくれます。

 
 

寒い時期に木に起こる現象も一つご紹介しましょう。

それは「目割れ」と呼ばれる現象です。写真を見て頂くと一目瞭然ですが、年輪に沿って割れてしまっています。これは、水道管の凍結による破裂と同じ現象で、木内部に残った水分が寒さの為に凍結、膨張した為に、割れてしまった状態です。標高の高い山などの気温の低い地域の木によく見られる現象で、その割れがずっと続いている事もあり、製材しても製品が取れない場合もあります。目割れは地面に近い部分に起こりやすいです。人間と一緒で足元が冷えるのかもしれませんね。

     
かなり極端な目割れです。年輪に沿って、スッポリと割れて、抜けてしまいました。まるで人工的に加工したかのようです。


 
 

今回は寒い冬の製材所の様子をお届けしました。もうすぐ3月。春の足音が聞こえてきます。春になれば、吉野は桜の季節。次回は桜の開花をご報告できるかもしれません!。お楽しみに!!

つづく

 

 
  ●<いしばし・てるいち> 吉野杉・吉野桧の製造加工販売「吉野中央木材」3代目(いちおう専務)。杉歴まもなく2年。杉マスターを目指し奮闘中!
吉野中央木材ホームページ http://www.homarewood.co.jp
ブログ「吉野木材修行日記」http://blogs.yahoo.co.jp/teruhomarewoodもよろしく!ほぼ毎日更新中です。
   
   
 
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