連載  
  あきた杉歳時記/第27回
文/写真 菅原香織
  すぎっち@秋田支部長から、旬の秋田の杉直(さんちょく)だよりをお届けします ・・・・
 

8月22日の午後、来る10月11〜13日に開催する窓山デザイン会議&WSの打ち合わせで、温だらとともに北のスギダラ二ツ井支所へ向かいました。ここしばらくの間、二人とも多忙だったので久しぶりの窓山に気分はウキウキ。きみまち塾からカトさんのワゴン車で窓山に行く途中、野生のサルの群れに遭遇!居るとは聞いていたけど、温だらとキャーキャーいってこっちがサル?
ともあれ、窓山の手前にある小滝の集落を抜け、激しいでこぼこ道(トラックの運ちゃんが「勘弁してくださいよ〜」と泣かされた山道)を登って窓山に到着しました。

   
  白神山地
 

窓山事務所の窓から白神山地を望む。いつ来ても気持ちいい眺め。

   
 

写真でしかみていなかった窓山の事務所は、モクネットの材を使って伝統工法で立てられた、小屋と呼ぶには立派なものです。地主さんは地元の消防士の畠山明さん。今回、畠山さんから多大なご協力を得て小屋を設置させていただいております。窓山デザイン会議のときにはこの前に、遠大な縁台を設置する予定です。

   
  窓山事務所
 

「アネコ虫(カメムシ)居たかな〜?」とおそるおそる開けるカトさん。温だらは後方で様子見。

  窓山事務所2   窓山事務所3
 

秋田杉の窓山事務所。「さすが、伝統工法だけあって虫一匹はいてないね」

   
 

窓山には、水道はありません。山のわき水を引っ張ってきて飲み水、生活用水、農業用水に使っています。そこで今日は水場の確保をどこにするか、現地で確認しました。窓山事務所の敷地の角に野呂さんが引いている農業用水があるので、そこからパイプをのばしてお裾分けしてもらうことになりました。ここ数日間、ずっと雨だったせいか、水は勢いよく流れていました。

   
  事務所裏   用水路
 

事務所の裏手はまだ草刈りをしていないので雑草が生い茂る。右は敷地の角の山から引いた用水路。

   
 

事務所の裏手の野呂さんの田んぼにはまだ青々とした稲が光っていました。今年は梅雨の時期雨が非常に少なく、野呂さんも水の管理には苦労したそうです。でも窓山の土は保水力があり非常に米作りに向いているいい土なのだとか。触ってみると確かに高級な泥パックのような滑らかさでした。

   
  野呂さんの田んぼ
 

窓山の田植えは野呂さんの田をお借りした。奥に野呂さんのお宅が見える。

   
 

実は一番上の田んぼは、苗代を田植機で植えたので既に出穂していますが、その下の段から3枚は、種もみ直播きをしたあと野鴨に食べられてしまったらしく、6月にもう一度蒔き直したので、1ヶ月は成長が遅れているのです。このままできるだけ夏が続いて無事実ってくれるといいなあと思います。

   
  田んぼ   花
 

一番上の田は普通に苗代を植えて育てたもので、ちょうど出穂して花が咲いているところ。

  一株
 

二段目の田は種もみを直播きした。一株はたった一粒の種もみから育ったもの。すごいなー!

   
 

この日は田んぼの出来具合もチェックするため、直播きをご指導いただいた菊池さんにもきていただきました。水田は水平に作らないと、育ち方にムラができて、アワやヒエなどの雑穀が生えてきてしまうそうです。この話を聞いて、水平・垂直が出ていないとなんとなく嫌な感じになるのは、稲作文化の国に生まれたという日本人の記憶に刷り込まれたDNAのせいなのかもしれない、と思いました。

   
  田を見る二人
 

三番目の田を見る、左は直播きの第1人者の菊池さん。浮かない顔のカトさん。なぜなら、、、

  ヒエ〜
 

ヒエが生えてしまったのだ。ヒエ〜!

  出穂
 

一度野鴨に蒔いた種もみをすべて食べられたため、まだ出穂していない。でも……

  稲穂のあかちゃん
 

ひと茎手折って剥いてみると、なかには、稲穂のあかちゃんが。がんばれ!

  夕映え
 

窓山の夕映え

   
 

日も沈んできたので、窓山からおり、夜はきみまち塾に集まった地元の有志の皆さんに、窓山デザイン会議&ワークショップのご説明と、ご協力いただけるようお願いをしました。現地スタッフとしていろいろご協力いただけることになり、感謝感激!
みなさん、美しい紅葉に燃える時期に、窓山で、ともに心を燃やそうではありませんか!たくさんの皆様のご参加をおまちしております。

   
  窓山デザイン会議&WS→http://www.madoyama.jp/index.html
   
 
 
   
 
   
   
 

窓山再生WS&デザイン会議
窓の青が消えゆく前に

   
 

開催趣旨

人が自然に働きかけ拓いた窓が、窓山集落である。森に手を入れ、水を溜め、畦を積み、人は水田をつくった。それは空から見つめる鳥にとっては、森の中に拓かれた鏡のように、空の青を映し出しているに違いない。
窓山再生WS&デザイン会議は、限界集落を超えて今や消滅寸前の窓山をケーススタディとして、領域を超えた専門家と、白神山麓の里山文化を次世代に継承する場として窓山の再生を願う有志が現地に集い、地方の農山村で生き残っていくための「デザイン」とは何か、地域が持続していくためのデザインを共に考え、実践する。

開催期間 平成20年10月11日(土)・12日(日)・13日(月)
開催場所 能代市二ツ井町梅内字窓山
主催 窓山再生WS&デザイン会議実行委員会
 

●秋田事務局
日本全国スギダラケ倶楽部秋田支部 北のスギダラ(担当:菅原香織)
〒010-1632秋田市新屋大川町12-3 秋田公立美術工芸短期大学 研究室210
T/F:018-888-8120
e-mail:kaori@amcac.ac.jp

 

●窓山事務局
北のスギダラ 二ツ井支所(担当:加藤長光)
〒018-3143 秋田県山本郡二ッ井町字太田面12番地3
T/F:0185-73-5856
e-mail:mokunet@shirakami.or.jp

後援

GSデザイン会議(GSデザイン会議活動支援助成金事業)
秋田県能代市 秋田公立美術工芸短期大学(予定)

協力 日本全国スギダラケ倶楽部
   
   
 
日程
プログラム(天候等により変更する場合もあります)
10月11日(土)
第1部
10:00
●第1陣 窓山到着
10:00〜12:00
●本部設営 会場設営・エコトイレ設置(穴ほり、建て方) 昼食準備
12:00〜13:30
●昼食  窓山散策  第2陣到着
13:30〜14:00
●開会行事 主催者あいさつ
・活動報告 白神山麓窓山デザインコンテストその後
・スケジュール説明
14:00〜16:30
●ワークショップ(おこぜまつり)
・草刈り、おこぜの組み立て
16:00〜22:00
●前夜祭(交流会)  第3陣到着
・湯の沢温泉で汗流し
・きみまち塾舎で懇親会
・きみまち塾舎で合宿
10月12日(日)
第2部
7:00
●起床、朝食
8:30〜10:00
●塾舎〜窓山散策
(二ツ井駅〜米代川〜天神荘〜種梅小学校〜馬子岱学習林〜窓山)
10:00〜11:30
●デザイン会議
講演「今、地域が生き延びるために(仮題)」
講師 篠原修(土木設計家・政策研究大学院大学教授)
11:30〜12:30
●昼食
12:30〜14:00
●パネルディスカッション
「窓山から拓く、生きるためのデザイン(仮)」
パネリスト:
(予定)
武田光史(建築家
小野寺康(都市設計家)
南雲勝志(デザイナー)
若杉浩一(内田洋行デザイナー)
加藤長光(きみまち塾主宰)
ほか多数予定
司会進行: 菅原香織(北のスギダラ、秋田公立美術工芸短期大学)
14:00〜15:00
●参加者全員による自由討議 デザイン会議 総括
15:00〜17:00
●ワークショップ(おこぜまつり)
・おこぜ 点火 収穫祭準備 キャンプテント設営
17:00〜19:00
●収穫祭(なべっこ、炭火焼等)
・天候が良ければ窓山でキャンプ
10月13日(月)
オプショナルツアー
10:00〜15:00
●世界自然遺産白神山地体験ツアー
   
   
   
   
  ●<すがわら かおり> 教員
秋田公立美術工芸短期大学 産業デザイン学科 勤務 http://www.amcac.ac.jp/
日本全国スギダラケ倶楽部 秋田支部長 北のスギダラ http://sgicci.exblog.jp/
   
 
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