連載
  スギダラな一生/第16笑 「この秋は凄い!!杉コレ一次審査開催間近」
文/    若杉浩一
  「日向本」、全てがここから始まっていて、素敵な未来につながっている
 

辻さんから、送られて来た「日向本」の原稿を読み、新ためて日向市のプロジェクトの凄さを感じた。様々な劇的空間の到来と、鋭くも熱い人達の掛け合い、動きに魅了された。よくもまあ、こんなに凄いことを、さらりとやれるもんだ。人が人を呼び、また大きなうねりになる。どんどんパスが渡されゴールを決める。一人一人が自分のことのように喜ぶ。チームとともに人が磨かれていく様を本当にドキドキしながら読んだ。そして何よりそのチームに少しでも関わっていれることが何よりも誇らしい。

昨日、南雲さんと千代ちゃんと新宿の「ぼるが」という焼鳥屋で飲んだ。僕はミーティングが長引いたので遅れて会場に登場したのだが、カウンターに見たことがある2人がいるのだ。よく見たら会社の同期入社でもう10年ぐらい前に会社をやめた仲間だった。僕は久々の出会いだったので実に懐かしかったのだが、2人はもっと驚いていた。「若杉〜、今お前の話しをしていたところなんだよ、ビックリさせんなよ〜」である。

実はこの二人とは事業部も仕事も違う、そして研修も一度も重なっていないので仕事としては縁はないのだが、デザインを首になったとき、彼らと暑苦しく、未来のことやデザインのこと等語り合った仲間だ。そして彼らがやっていた仕事を知り、手伝ったり、助けてもらったりしていた。この二人は情報システム分野なのでまるで言語は違うのだが、僕に色々なことを語り教えてくれた。

「若杉、これからパソコン一つでビルの空調や照明そして画像のやりとりが、無線で出来る時代になるぜ。そうあるべきだし、そうなる。おもしろいぞ〜」
「お前、情報技術ってこれからはコミュニケーションの技術になるんだ。人と人とがもっとダイナミックなコミュニケーションをとれるようになる、そうしたら空間のデザインが大切なんだ」

そう言った彼は畑違いの空間づくりを自らやっていたのだ。IT系の人間がデザインを語る、そんな新しい空気を彼らから感じた。この二人は会社をやめて今や自分の会社を持っていたり、有名会社のN0.2であったり、随分立派な人になっている。

そんな二人が、僕らがつくったショウルームをみて感激したと言ってくれた。
実は僕も彼らに一言いいたいことがあったのだ。
「なあ、二人に一度、話したいと思ってたことがあるんだ。あのショウルームのデザインや技術、二人が前に話していたことがずっと、記憶に残っていて、色々なメンバーと作り上げたんだ。お前達との話しから始まってるんだよ。ずっと、その世界を見てみたいと思ってたんだ。」
二人は、目を輝かせてこういった「俺、始めてみたとき、絶対若杉がやったと思った。なぜか懐かしく、新しく、もうとても嬉しかった。お〜〜、あいつ、ついに形にしたなって、誇らしかったぜ。」
「俺も俺も、あの時の情景が戻って来た感じがした。随分時間が経ったけど、若杉、ずっと忘れてなかったんだと思って。嬉しかった。」
「若杉はうまく喋れないし、不器用で、俺たち心配したけど、波に流されないでよかった。今、お前が一番、元気だ。そしていいチームを作っているよ。それこそ俺たちがこの会社から教えてもらった大切なことだもんな。絶対あきらめんなよ」
「もちろん、ぜってーやめねーよ。これしか取り得ないから」

何だか3人で感動してしまった。僕たちのやったことをこんなにも自分ごととして喜んでくれる。そして人に紹介してくれる仲間がいる。また色々な人に支えられていることに感謝した。
そして、思った。多くの仲間に色々なことを教えてもらい、そして感動し、それが体の中に入っていった。それがあるとき、ただただ、出ただけのことだったんだと。だから皆が喜んでくれたんだと。そしてこれは、やっぱり日向から学んだのではないかと。
そう思うと何だかとても嬉しかった。やっぱりすげ〜〜〜。何かが潜んでいる。

今年の杉コレは、内田洋行がオフィシャルスポンサーになった。いやなってくれた。そして9月17日(水)に東京の新川オフィスで1次審査の発表と杉コレのPRを兼ねてイベントを行う。同時に内藤廣氏のセミナー『内藤廣のおもしろスギる話』を開催する。宮崎で海野さんと南雲さんが結託して始めたこのイベントが企業を巻き込み全国区へと広がっていく。その片棒を僕も担げることがうれしい。そして、そのことが、すっかり自分のこととなっている。

それだけではなく今年は、南雲さんとずっと暖めていた杉家具「友立ち −TOMODACHI−」シリーズがリリースされる。始めての杉の家具が公式に製品になるのだ。随分時間が経ったが、これも海野さんを始め木青連の皆さんとの出会い、そして繋がりがあったからこそ生まれることになったのだ。
(この製品は市場に先駆け北部九州のイベントで皆さんにお披露目します)
内田洋行と宮崎県そして全国の木青連が連携して一つの製品が出来上がる。中央と地域、杉とスチール、プロダクトと地場・・・今までは関連がなかったものが繋がりそして新しい価値を生んでいく。そして関係がなかった仲間と自分ごとのように喜び、盛り上がる。言葉にすると当たり前だが、とても素敵なことが起ころうとしている。

この秋は杉コレクションから始まり秋田のイベント、そして、北部九州。そして杉ダラ家具の製品化・・・・・起こり始めていることを揚げるともっと、もっとある。これはきっと何かが起こる。「日向本」の原稿を読んで全てがここから始まっていて、全てが繋がっていて、そして皆が自分ごとと思い、誇りに思っているのだ。
もう何かが起こらないはずが無い。それはきっと素敵な未来につながっている。

 

突然ですが最後に一句「スギつぎに、伸びる若木は、ひむかさん」 
若杉です。いまいち。

   
   
  内田洋行 新川オフィスにおいて開催される、杉コレクション2008 第一次審査へはこちらをご覧ください。→http://sugidarake.exblog.jp/9411513/
  事前申し込みが必要となっておりますので、HP上の申し込み用紙をA4用紙に印刷、必要事項をお書き込みの上FAXにてご応募ください。
   
   
   
  ●<わかすぎ・こういち> インハウス・プロダクトデザイナー
株式会社内田洋行 テクニカルデザインセンターに所属するが、 企業の枠やジャンルの枠にこだわらない
活動を行う。 日本全国スギダラケ倶楽部 本部デザイン部長
   
 
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