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宮崎空港で飫肥杉大作戦の搬入展示会を終えた翌日、長岡市の摂田屋地区に向かった。以前『杉のある風景-越後杉vol1
「摂田屋」』と言う記事で一度紹介しているが、古い酒蔵、醤油蔵、味噌蔵などがそのまま残る醸造のまちである。 |
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最寄りの駅は宮内駅。ここから10分ほど歩く。アプローチはよくある地方の商店街と一見変わらないように見えるが、古い雁木の商店も結構残っていて雪国の地域性を感じさせる。 しばらく歩くと左手にピカピカの蔵が見えて来る。長岡の出身者、グラフィックデザイナー秋山孝さんが自分の作品を展示するために古い蔵を改造し、ギャラリーにしたもので「秋山孝ポスター美術館長岡」という。以前訪れたときは工事中であったが、この7月にオープンした。中に入ると真っ白に仕上げられた吹き抜け空間に綺麗なポスターが並んでいた。素晴らしい文化施設が摂田屋にひとつ誕生した。 さらに5分ほど進むと突然摂田屋醸造蔵エリアに入る。「吉乃川酒造」はツタの絡まった蔵が目印だ。そこを過ぎると「伊那サフラン酒造」、震災で傷んだ蔵と鏝絵(こてえ)の修復がすっかり終わりとてもきれいになった。横の駐車場では造形大生による鏝絵のワークショップが行われ、たくさんの人で賑わっていた。一度やると病みつきになり、こてえ客になるらしい。 |
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秋山孝ポスター美術館長岡 | ||||||||||||||||
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吉乃川酒造のつたに囲まれた蔵 | |||||||||||||||
学生達による鏝絵ワークショップ | 修復が完了した鏝絵蔵 | |||||||||||||||
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その向かいが吉乃川酒造敷地内部につくられた、おっここ祭りのメイン会場。農大生らによる野菜の即売会などをやっていた。さらに進むと燦然と輝く一台の屋台が立っている(建具兼嗣プロジェクト)。すぐに学生がやって来てくれ、甘酒をふるまってくれた。自分達で屋台をつくりたいと言うことになり、日向の屋台をベースに少し相談に乗っていたのだった。その出来は驚くほど素晴らしい。仕口も仕上もとてもきれいだ。また格子や屋根や天版の開閉システムもとてもきれいに出来ている。それもそのはず、大学の工房職員の三井健さんを中心に丹念に制作したものだ。彼は来年木工を本業として独立する予定だという。屋台連合の仲間が増えたようで嬉しかった、どんどん屋台の注文が入ることを願っている。 |
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今回は甘酒店。内部の収まりも素晴らしい。向こうはメイン会場 | ||||||||||||||||
作者の三井健さん | ||||||||||||||||
そこでちょっとお酒の試飲などしながら酒造「星野本店」に向かう。ここでは樽を利用したプランターの設置(やったるでプロジェクト)やお菓子などの売店を行っていた。古い酒造蔵にとてもよく似合う。 |
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星野本店前のコーナー | 長谷川酒造玄関の「やっ樽で」 | |||||||||||||||
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次に醤油蔵「越のむらさき」へ。ここでは蔵の見学会を行っていたので、醤油の行程を一通り案内して貰う。気さくな女性が元気に説明してくれ、とても分かりやすかった。震災で傷んだ建物もそうであるが、古い道具や機械をだましだまし大事に使いながら、つくる人の感覚を大事にしながらつくっている姿勢にある種今失われつつあるものづくりの本質を感じた。 米や大豆や麦などを原料を発酵させ、出来て来るものは酒や味噌や醤油とさまざまだ。それぞれの蔵がスケールや個性が違うものの、地区に漂う独特の臭いや、麹菌で黒くなった外壁などが微妙に相互に絡み合い、この地独特の雰囲気を漂わせている。とても魅力的な場所だ。 だが、建物の老朽化や世代交代も問題も含め、岐路に立たされている。 |
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大豆にスチームを送り込む煉瓦で出来た窯 | ||||||||||||||||
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渡邊研究室は地元と協力し、地域の保存や活性化に対して長期的に丁寧な対応を行っている。大学ともほど近く研究材料としてはもってこいであるが、それは研究を越え、どっぷり地域につかり、住民と一緒に未来を悩み考えて頑張っている。住民の皆さんの対応を見ていると彼らの頑張りは伝わるし、何よりそういう若者がここに交わることで互いに勇気を与えていることも分かる。これからはそんな相互関係が欠かせないものになってきている。 慰労会ではサフラン酒の吉澤さんも駆けつけてくれ盛り上がった。疲れながらも満足そうな学生達を見て、こういった若者がいれば、これからの未来は明るいかも・・・と結構単純に思え、少し嬉しくなった。 |
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祭りのせいもあり、旧三国街道は人が多かった | ||||||||||||||||
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