連載  
  あきた杉歳時記/第46回 「おくりぶね okuri-bune」
文/ 菅原香織
  すぎっち@秋田支部長から、旬の秋田の杉直(さんちょく)だよりをお届けします ・・・・
 
    

3月11日の朝。おくりばこプロジェクトのリーダー芳賀洋介さんから、プロジェクト第1弾、「おくりぶね」の第1次試作が完成したとの連絡がありました。その日はあいにく卒業制作展の会場当番で、能代までチェックに行けないためたまたま能代に用事があるという二ツ井の加藤さんに確認してもらうようお願いしていました。お昼過ぎ加藤さんから「なかなかいい出来だったよ、このまま納品でいいぐらいだった」との連絡をもらい、一安心。実はかなりタイトなスケジュールだったので、一発でうまくいくか心配だったのです。

   
 
  2月末、型枠のチェックをする職人さんと加藤さん。
   
 

会場当番を終え、専攻科の修了生でスギダラ会員でもあるasugiさんを誘って2時過ぎから遅めのランチ。お腹いっぱい食べ地下の店から階段を上って出た路上で、これまでに経験したことのない地面の揺れを感じました。ビルの一階の時計店から店員さんやお客さんが飛び出してきて、指差す方向を見上げると、まるでコンニャクのようにビルが揺れていました。ガラスのウインドーが大きく波打ち、まるで回転するレコード盤のうえに立っているかのような横揺れが続き、何かに捕まらないでは立っていられない程でした。ほどなく停電し揺れも収まってきたので、ケータイでワンセグを観ると、岩手と茨城沖で大地震のニュース速報。これが未曾有の大震災となるなんて、誰が予想したでしょうか。

   
  おくりばこのプロジェクトは県の補助金事業でしたので、3月31日までで一度区切りを付け、4月以降仕切りなおして実現化に向けて現在調整中ですが、こんなタイミングに、なんと言ったらいいか・・・本当に言葉が見当たりません。東日本大震災でなくなられた方のご冥福をお祈りするとともに、被災地の方々が一日も早く心穏やかな日常を取り戻せることを願うばかりです。
   
 
  南雲さんデザインの模型のおくりぶね。
 
   
  こちらは完成モデルのおくりぶね。
   
   
   
   
   
  ●<すがわら かおり> 教員
秋田公立美術工芸短期大学 産業デザイン学科 勤務 http://www.amcac.ac.jp/
日本全国スギダラケ倶楽部 秋田支部長 北のスギダラ http://sgicci.exblog.jp/
『あきた杉歳時記』web単行本 http://www.m-sugi.com/books/books_sugicchi.htm
   
 
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