連載
  スギダラな年明け
文・写真 / 南雲勝志
 

 

 
 

2012年がスタートした。改めて今年もよろしくお願いします。
さて、昨年から続いたバタバタは年が明けてもそう変わることなく、あっちへ行ったりこっちへ行ったりしている。特に一月はスギダラ関係の動きも活発であったように思う。

   
  南魚沼八海神社の杉並木    
 

杉恋
何度か聞いているうちに、だんだんと「す・ぎ・こ・い」という音が、す〜と入ってくるようになってきた。いい響きだ。昨年の五城目も年明け早々であったが、今年も秋田で始まった。詳細は菅原さん始め、今月号の特集に譲るが、最終的には開催の方向で決まったものの、昨年の暮れは、やれそうだ!とか、やっぱり無理だ〜とかの繰り返しだった。しかし仮に5月を逃し秋になると杉コレとバッティング、来年度以降になればせっかくの意気も消沈する。菅原香織が一度やろうと思ったことをとにかくやりきるべきだと思った。完璧でなくていい、今後のきっかけになればいい。秋田の仲間を増やし全国につなげる。それだけで十分意義があると思う。宮崎の杉コレを見れば全国イベントがどれだけ大変か解る。それをスギッチが一人でやろうとするんだから無理がある。出来る範囲でいい。協力する人を頼ればいい。お金も無理しなくていい。そんなやり方の前例をつくればいい。といいつつ本人はかなり苦労したはずだ。お金をかけない分、ネットワークが必要だし、足を使わなければならない。頼りになるのは信頼関係。そういう意味で菅原さんは随分走りまわり、大変だったと思う。が、おかげで素晴らしい企画と津高さんによる大きな一歩が開催された。この「杉恋」をきっかけに今後の秋田の杉とそれをなんとか秋田の発展に繋げようと思っている人々にとって、大きなターニングポイントになる事を願っている。

谷町う木う木まつり
空庭さんが中心となり、内田洋行大阪支店でスギ関と共に大イベントが開催された。エントランスでは農業を中心としたマルシェ、2回では様々な木材関係のショップ、そしてステージでは杉や森林関係の専門家が入れ替わりセミナーを行う。まちと山を結ぼうという大イベントである。まちの人々はもっと身近に気とふれあうべき、そして山の人々はもっとまちに対し価値観を共有し、互いにより密接な関係になり、農や林業そして町の人々が共に豊かな暮らしを目指して行こうというものであった。杉コンペの審査員、円卓会議に参加しながら、その幅の広い繋がりに感心し、女性がまちづくり系のリーダーになる方が絶対にまとまりがいい、などと確信めいた事を思いつつ、長い夜を一緒に過ごさせて貰った。大阪を中心とするまち側に対し、それをしっかり受け実績を作っていこうという吉野軍団、そういった関係が徐々にはっきり見え、それを実践するというふたつの力のコラボレーションがはっきり浮かび上がってきた。
   
  内田洋行大阪支店 エントランス   2Fの展示コーナー
  住田町のこと
年明け早々、岩手県気仙郡住田町というまちを訪ねた。「日本一の林業のまち」を目指している。三陸の豊富な水産物、古くは伊達藩の鉄砲の火縄銃の産地であり、砂金やたたら製鉄などの鉱山でも盛んであったため、内陸部との重要な交通拠点として栄えた。美しい気仙川沿いに形成される町の中心部には昭和橋という風情のある橋が架かり、その脇に倉が並び繁栄を感じさせる。最近では震災に送る仮設住宅をまちの単費で一躍建設したことでも話題になった。そしてまちの自慢は大規模な製材工場、乾燥施設、集成材製造工場などがある。古い歴史と新しい大規模製材工場、そして地方都市の抱える人口現象に対し、林業でそこまで出来るか、来月再び地域の皆さんとディスカッションし、今後の可能性を考えて見る。
   
  気仙架かる昭和橋   住民の手作りの橋、松日橋
 

杉コレ2012 in Miyazaki
先日大浦さんからも連絡があり、木製連宮崎会団で今年の杉コレをスタートしたいと連絡があった。テーマを始め、場所やイベントの内容、コンペの応募要項を詰めて行く。この3月までの詰め方で大体その年の杉コレが決まる。今年で二度目となる宮崎市内開催でどんな杉コレが開催されるか?楽しみでもあり、しんどくもある。

 

だっこのイス
そして、昨年12月の「だっこのイスを東北に送るプロジェクト」は多くお皆さんの協力で大きな力を生んだ。だっこのイスを一台送るために目標額50万を掲げたが、大きくそれを上まわった。合計177万という驚異的な金額を述べ1200人以上の方に支援してただいた。この大切な支援金を元に事務局側では、生産台数を1台から3台〜4台へと増やし頑張っている。現地に行く日程も小学6年生の安田さんと親御さん、そして現地野田村の受け入れ体制を最優先に調整を重ね、2月の18-22日と決定した。内藤審査委員長、杉コレ関係者、宮崎県関係者らと共に届けに行く。この詳細は次号以降またお知らせ出来ると思います。

 

と書いてきたが、今年の抱負は、何といってもお金に苦労しないですむ事。ちゃんと稼いでじっくりデザイン活動やスギダラ活動を出来る事、これに尽きる!ね、海野さん。

   
   
  ● <なぐも・かつし>  デザイナー
ナグモデザイン事務所代表。新潟県六日町生まれ。
家具や景観プロダクトを中心に活動。最近はひとやまちづくりを通したデザインに奮闘。
著書『デザイン図鑑+ナグモノガタリ』(ラトルズ)など。 日本全国スギダラケ倶楽部 本部
facebook:https://www.facebook.com/katsushi.nagumo
   
 
Copyright(C) 2005 GEKKAN SUGI all rights reserved