短期連載
  住宅のアプローチ・構えの風景との関わり 第3回
文/写真 大坪和朗
  千葉県中山間農家のアプローチ『じょうぼ』の分析と考察
 
住宅のアプローチ・構えの風景との関わり プロローグ
 
住宅のアプローチ・構えの風景との関わり 第1回
 
住宅のアプローチ・構えの風景との関わり 第2回
   
  ●なぜ、このようなことを書いているの?
   
  次へと進む前に・・・
   
  今回は、何でまたこのような、特定の限られた地域の観察について、月刊杉に掲載させて頂いているのか、ということについてお伝えしたいと思います。
   
   
  ●特定地域の観察から、思いは全国へ
   
  ここでは、私が最初にこのような風景を知るきっかけとなった、千葉県の風景を観察していますが、日本全国それぞれの地域に、独自の風景・景観構造が形成されていると考えられるのです。
先ず、そういうハッとするような風景が存在するということ、
そして、観察してみると面白いということ、
更に言えば、風景が 気持ちいい〜!!(微笑)
ということを、“よそ者”としてお伝えしたかったからなのです。
   
  風景や景観は、人々の生活とも密接な関わりが有る、と私は思います。
人は、知らず知らずのうちに、身の回りの風景から元気をもらっていると思うのです。
   
  日本全国に住む方々が、周辺地域の隠れた魅力、特色を見つけることの面白さを見いだして欲しいと思います。そんなことを少しでも伝えられたらと、全国にネットワークを持つ月刊杉に掲載して頂いたわけなのです。
   
   
  ●地域ごとの多様な歴史・見えにくいものの良さを見つけ、磨き上げる時
   
 

本コラムでは、「建築・外構・風景」は、ワンセットとして観察しています。
建築・外構・風景の全体を一つの総合的な文化として見たとき、次のことが分かってきます。

   
 
★★ 1. 地形が違えばその数だけの、地形に合わせた工夫・風景・景観構造が存在するということです。
   
★★ 2. 地形は似ていても、交易などの歴史まで含めると、全く同じ条件は揃いようがなく、
従って、その地域にしか無い独自のものが必ず存在するということです。
   
  多様な文化の存在が、面白いのだと思います。
地域ごとの文化の違いは、財産であり、資源と言うこともできます。
その存在を意識し、現代感覚を注入し・伝統とコラボレーションして現代に活かし、持続させて欲しいと思います。
   
  これからの時代は、「保存」よりも、現代に「活かす」ことが有効であると考えています。
伝統的なものが、節度を保ちつつ、現代に違和感無く活かされるような、今までに無い、全く新しい仕組み・循環を、それぞれの地域の方に考えて頂ければと思っています。
   
  伝統とは、変化の歴史ではないでしょうか。
伝統と現代のコラボレーションが、新たな伝統をつくり出します。
ですから、伝統とは、常に現在・現代のことを表していると言えます。
   
  それぞれの文化に気づき、誇りを持ち、磨き上げれば、もっと気持ちのいい関係が生まれるのではないか〜と思っています。
   
 
   
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●<おおつぼ・かずろう> 建築家
風景を思うことがライフワークであり仕事でもある。
建築「絶景」事務所とでも言ってみると楽しい。
大坪和朗建築設計事務所HP:http://www.otsubo-archi.com/
Blog:http://otsubo-archi.cocolog-nifty.com/

   
 
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