特集 秋田「杉恋」プロジェクト  
  秋田に暮らす人におくる 杉のポジティブキャンペーン「杉恋」
文/ 沓澤優子
   
 
 
   2011年12月に秋田支部に入会させていただきました沓澤です。会の活動から色々と学びたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
   
   秋田県のみならず、成長が早いという効率を買われ、高度成長期に大量に植林された杉。期待に応えるべく、せっせと成長したのに大人になったら母国はお金持ちの国になり、輸入材のコスト効率に負けて誰にも見向きされなくなりました。さらには子孫をたくさん増やす種への品種改良と植えすぎたことが原因となって、その花粉によるアレルギーが国民病になり、春には厄介者扱いされる始末。こんなにツイてない木もそうそうありません。個人的にはそんな悲運にグレることなく、まっすぐ立つ孤高の姿が、杉を愛する理由のひとつでもあります。
   
   当地秋田県は三大美林に数えられる秋田杉の産地。しかしながら、そんな悲運な杉の慰めになるのは、ゆるキャラ選手権で優勝した国体キャラクターのスギッチと、伝統工芸の大館曲げわっぱくらいしか思い当たりません。
   
  「住宅雑誌の出版に携わる者として、ブランド杉の産地に暮らす一県民として、何かできることはないのか!」
  「人間の勝手さの被害者である杉、その運命とポテンシャルを世の中に知らしめ、この木の恩恵をもっと自分の身近に感じる術はないのか!」
   
  ちょこっと盛って言えば、そんな思いが胸を渦巻く中で出会った人がスギダラ秋田支部の菅原香織さんでした。はじめて研究室にお邪魔した日にも関わらず盛り上がること2時間半。プロジェクトの様々な可能性やプロセスについて語り合い、協力を誓いました。
   
  今回の「杉恋」は、言わば「杉よコイ!杉好きプレゼンツ、杉のポジティブキャンペーン」なのです。杉を愛する参加者の作品によって、杉の魅力と将来性を「新しい切り口」で、しかも「一度にたくさん」見せることによって、杉のイメージを明るく・未来あるものに塗り替え、「なんだか最近、杉のことが気になる」という杉に恋する状況を生み出します。秋田県民が杉を想い、そのそばに身を置きたいと願う現象「杉恋」が実現したら、素材のあたたかみに触れた県民の心の温度は上がり、その空気感で地域全体がほこっとあたたかくなることでしょう。杉が秋田の宝としての地位を取り戻す日はそう遠くありません。
   
  秋田の杉の未来をこの肩に!そんな意気込みで走り出した「杉恋」。
当方微力ながら、持てる力を尽くして支えたいと思います。
   
   
   
   
  ●<くつざわ・ゆうこ> スギダラ会員No.
住まいの提案秋田・有限会社アシスト實務工房 代表   http://www.assist-jk.jp/#open
   
 
Copyright(C) 2005 GEKKAN SUGI all rights reserved