連載
  杉という木材の建築構造への技術利用/第34回
文/写真 田原 賢
  N値計算法の中の『L』の原理となった柱カウンターウェイト検証実験 前編 3
 
*第33回 N値計算法の中の『L』の原理となった柱カウンターウェイト検証実験 前編 1
 
*第33回 N値計算法の中の『L』の原理となった柱カウンターウェイト検証実験 前編2
 
*第33回 N値計算法の中の『L』の原理となった柱カウンターウェイト検証実験 前編3
   
  2.実験概要 つづき
   
  2−4.試験加力及び変位測点
   
  柱カウンターウェイトの測定箇所として、建物隅角部で測定し易い部分を選定し、加力状況等を写真と解説文で説明する。
   
 
 
写真31 「bV測点」
写真32 「bV測点」
 

bV測点は居間の掃き出し窓コーナー柱で写真の通り、内壁は遮音シートの上ベニヤとクロス仕上げで構成されており、外壁との間には断熱材が設置されていた。
なお、外壁の下地は木ずりであり、近年に増改築されており、壁体内の蟻害腐朽は見られない。


  bV測点においては2m以上の掃き出し窓があり、2階胴差しも4m以上の長さでかかっており、そのため計測点を広くとることにした。
       
   
  写真33 「bV測点」   写真34 「bV測点」
  bVの計測対象柱にかかる胴差しは、4m以上あり、なおかつ床火打ちとかの障害物があるので、計測地点は計測対象柱より約2m程度となった。   測定する胴差しのスパンが居間の二部屋にわたってかかっており、その影響を調べるため梁の端部の近くで計測することにした。
       
   
  写真35 「bV測点」   写真36 「bV測点」
  bVの部屋にまたがってかかる胴差しに対し直交の2階床張りがかかっており、その直交梁の浮き上がりを調べるために、計測点を設けた。  

bVのモルタルつきカウンターウェイトを調べ、その状況を写した。
これは浮き上がり量が30mm程度の地点での状況で、外壁に大きなクラックが発生し、一部胴差しのあたりで剥離しているのが確認できる。

       
 
 
写真37 「bW測点」
写真38 「bW測点」
 

bW測点は居間の掃き出し開口の端部にあり、ジャッキアップのための反力点は、床の仕上げ材が取れなかったため、仕上げ材の上に構造用合板をひいた状態で計測することとした。
ここをbT等と同様に床が沈み正しいデータは得られなかった。

  bWの計測対象となる梁はX、Y各方向に影響していたので複雑な計測点となった。
       
 
 
  写真39 「bX測点」   写真40 「bX測点」
  bX測点は内壁構面の中柱を測定した。 bXの測定点の柱は2階和室の床梁を支えており直上階の柱は乗っていない。   この柱のカウンターウエイトとしての実験をするため、1階居間の床(フローリング)面に構造合板を敷きそして計測することとした。
       
 
 
写真41 「bX測点」
写真42 「bX測点」
  この計測も、床面に反力をとったため、写真のように床が陥没し、正しい計測データは得られなかった。
(既設の住宅をこのように実験する場合は、天井面のみならず床面の仕上げも取り除くできである。)
  2回目の計測は床面の仕上げを取り除き、基礎と土台があるところに反力をとるようにし、計測した。
       
 
 
  写真43 「bP1測点」   写真44 「bP1測点」
 

bP1測点はbQのところと同じで、このbP1測点の特徴としては、外壁のラスモルタルをほとんど撤去し、パラペットのモルタルをも取り除いている点にある。
また、玄関の建具と建具枠も抵抗要素として取り除いている点も特徴としていえる。

 

bP1測点の玄関脇のコーナー部分における計測状況を示す。
間口方向の玄関部分胴差し材は梁成21cmであり、この材がコーナーの柱に優先してかかり桁行の胴差し(梁成15cm)が取り付いているのでその部分は外壁のラスモルタルが、隣地との影響もあり、カッター切りしていないでこの直交材へは計測点を設けなかった。
コーナー柱のほぞが梁から抜けかかっているのが確認できる。


       
   
   
   
  ●<たはら・まさる> 「木構造建築研究所 田原」主宰 http://www4.kcn.ne.jp/~taharakn
   
 
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