連載
  祝!「針葉組合」設立
文・写真 / 南雲勝志
  いま地域が生き残るために・・・
 

 事の発端は、セミナーの最中に、「皆さんは針葉樹を信用していないんじゃないか?」みたいな事だったっと思う。針葉樹を何とか活用しよう!針葉樹で家具をつくろう!と呪文のように唱えても、心の中で「でもなあ、エゾマツ、トドマツは割れやすいしな〜、カラマツはねじれるし…」等と思っている間は何も進まず、何も起きない。北海道の針葉樹を信用し、愛してみる。すると見えて来るものが違ってくる。

 スギダラ設立の時もそうだった。とにかくダメだダメだ、花粉症の元凶、皆伐してしまえ!そんな声が飛び交う最中、杉を愛し、杉の応援団になろう!日本中を杉ダラケにしてしまおう!とめちゃくちゃな思いを誓ったのだった。日本固有の樹種であり、古来から建築や生活に於いて日本文化を創ってきた杉なのに、たかだかこの30〜40年でその価値は全く逆転し、我々にとって不必要なものになっていたのだ。本当にそうだろうか、悪いのは杉じゃない、人間の都合に振り回されただけなのである。実は最も大切にしなければならない資産である、と思った瞬間、日本中の杉山が愛おしく、懐かしく、親しみを持って見られるようになった。実に不思議だが、大切な事は気持ちの持ちようなのだ。するとあばたもえくぼ、節があっても良いじゃない、柔らかければ使い方を考えれば良いじゃないという気持ちに変化してくる。

 多分今回、針葉組合の設立された面々は、もう北海道の針葉樹の欠点をいうことは無いだろう。長所は何か?広葉樹より勝るものは何か?そこから次々と新しい使い方、関わり方が見えて来る。針葉組合が力を合わせ、資金繰りに困ったら針葉金庫へ行き、針葉手形をつくる。これを本当に実行して見ることに実はものすごく大事な事が含まれている。そんなことあり得ないと思っていても、やってみると出来るのだ。そんな今での常識に囚われない行動力が未来を築いていく。

 
  トドマツの大径木、樹齢100年以上。
   針葉樹、杉も檜も針葉樹。青森大間ではヒバダラを札幌ではマツダラをつくってきた。しかしもっと大きく針葉樹と捕らえることで、本当の意味での日本全国を視野に入れた、地域と地場産材のいい関係を考える下地が出来た事になる。実は昨年秋にやはり若杉さんと岩見沢の林業組合と一度ディスカッションをしている。参考:月刊杉73号「ノリとネーミング
 そしてそして、杉の北現地、函館で日本最北のスギダラ支部が産声を上げた。スギダラ「道南支部」。どうなんだよう、などといわず、函館から発信するスギダラ、みんなで応援しょう!ハルキの鈴木さん。早く函館ツアー企てて下さい。絶対行きます。ハコダケデザインやりましょう。
 
  美しい大雪山系と緩やかに続く丘陵状の畑と針葉樹。(美瑛)
   
   
   
  ● <なぐも・かつし>  デザイナー
ナグモデザイン事務所代表。新潟県六日町生まれ。
家具や景観プロダクトを中心に活動。最近はひとやまちづくりを通したデザインに奮闘。
著書『デザイン図鑑+ナグモノガタリ』(ラトルズ)など。 日本全国スギダラケ倶楽部 本部
facebook:https://www.facebook.com/katsushi.nagumo
   
 
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