特集 長野県栄村セミナー&スギダラツアー
  南北に長い 信州 長野県
文/ 糊倉幸裕
   
 
 
  栄村スギダラツアー参加者の皆様、雪解け水で満々とした千曲川が流れ、新緑の黄緑色で輝く信州栄村はいかがでしたか。とは言うものの、恥ずかしながら、私自身が栄村を訪れたのは、4月にこのツアーの担当者となってからであり、ツアー本番の時で3度目。「根曲がり杉」も知りませんでした。
   
  「日本スギダラケ倶楽部」の文字を初めて目にしたのは、3月も押し詰まった日のこと。仕事の引継ぎ書類の項目のひとつに「スギダラツアーに関すること」の記載が・・・「スギダラケ」? 花粉症ではない私も、ちょっと鼻がむずむずしそうな第一印象でした。
   
  南北に長い信州 長野県。栄村は北端の新潟県境にあります。逆に南端、岐阜県境に位置する人口570人の平谷村に、私は2年間派遣されていました。ぎゅうぎゅう詰めの通勤電車であれば車両2両で全人口です。そんな小さな村ですが、名古屋市の中心から高速を使わず1時間30分で来ることができます。平谷村からさらに南、愛知県境の根羽村は、杉の産地として知られています。長野県では、新潟県境の栄村、愛知県境の根羽村は杉の大きな産地です。
   
 
  南北に長い長野県。黄緑色が栄村で黄色が平谷村です。直線距離で約200km程離れています。
   
  平谷村は根羽村と変わらず山々に囲まれた村ですが、林業にはほとんど力を入れていません。「道の駅信州平谷」に併設されている温泉施設「ひまわりの湯」を中心に、主に中京圏をターゲットにした観光立村を目指している村です。(土日などは、尾張小牧、名古屋、浜松ナンバー等々の車でいっぱいですよ。)私は主に観光振興を担当し、村内イベントの開催や「ひまわりの湯」への誘客・宣伝のために浜松市や春日井市などへ役場職員になりすまし出かけておりました。
   
  長野県は、平谷村や根羽村、栄村など規模の小さい村がまだまだ残る地域です。お隣の岐阜県や静岡県では、市町村合併がどんどん進み、平谷村のお隣は岐阜県恵那市、根羽村のお隣は愛知県豊田市です。(長野県でも市町村合併は進み、かつて120あった市町村は現在77となっています。)
   
  急峻な山々に地域が囲まれている信州では、「山一つ越えただけで、文化も歴史も違うのだから合併なんて進まないよ。」と言う人に出会います。でも、この違いこそが信州の魅力であり強みです。
   
  雪の圧力が杉の根を曲げて「根曲がり杉」を生み出すほどの豪雪地帯の栄村。ところが、沢が一つ違うと雪質が異なり、「根曲がり杉」の曲がり具合が違ってくるとのこと。「栄村は豪雪地帯ですね。」などと一言で簡単に地域を語ることはできませんね。
   
  今回の栄村スギダラツアーでは、初日の秋山郷散策から始まり、夜は大宴会。翌日には「根曲がり杉」を目の前にして様々なアイデアが出されました。それに加えて、若杉さん、南雲さんのセミナーでは、参加された方々それぞれに、何らかの「スギダラケ」の種がまかれたのではないでしょうか。でも、これからが肝心ですね。
   
  スギダラ宣言「杉とともに」の最後に
 「大人や子供、組織や企業、地域や分野を超え、意気投合した仲間達とその可能性を語り、様々なプロジェクトを実行するためのネットワークをつくり、日本中に広げていくことを目的とする」と書かれています。
 まずは、この原点を実行していきたいと考えています。
   
  「スギダラケ倶楽部」の皆様、これからもよろしくお願いします。
 おっと、早くスギダラケ倶楽部に入会しなくては・・・。
   
 
  何らかの「スギダラケ」の種がまかれた若杉さん、南雲さんのセミナー
   
   
   
   
   
   
  ●<のりくら・ゆきひろ> 長野県職員
平谷村派遣、観光部国際課、建設部道路建設課を経て
2013年4月から林務部 信州の木振興課 県産材利用推進室 担当係長
   
 
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