特集 秋田駅西口バスターミナル
  秋田駅西口バスターミナルの完成に寄せて
文/ 泉山吉明
 
 
  秋田スギのバスターミナルが遂に完成しました。
   
  今回の特集にあたって、菅原香織先生から行政側で苦労した点などを執筆とのお願いがありましたが、私の場合、バスターミナル建設に道筋がついた後、バスターミナル担当部署に異動となったため(2013.4.1)、殆ど苦労はありませんでした。唯一苦労した点と言えば、古いバスターミナルの補助金返還に絡む工事着手の遅れと、完成が本県で10月1日から開催されている「秋田デスティネーションキャンペーン」のスタートの日に間に合わなかった点くらいです。計画や工事で苦労された皆さんに比べれば苦労にもあたらない些細な事ですが、今回のバスターミナルには多額の補助金(税金)が使われているため、その対応には苦労というよりは、公共事業を所管する行政の立場として、少々神経を使ったというのが本音です。
   
  そのバスターミナルですが、夜の姿は特に素晴らしいものがあります。LED照明が秋田スギの赤みに反射し、秋田の竿燈祭りを想わせる温かな光で、周囲のビルのネオンとは異質な存在感を放っています。また、バスターミナルを見守るように建てられた4基の街灯は秋田スギに抱かれ、スギダラ会員の皆様には堪らない光景だと思います。
   
  さて、巷では「おもてなし」という言葉が流行っていますが、秋田県では今年の7月に完成した秋田空港ターミナルビルの木質化やこの秋田駅バスターミルの木造化により、秋田の空と陸の玄関口で秋田スギが「おもてなし」の役割を十分に発揮しています。この機会に「森の木の国あきた」にどうぞおこしください。今年の12月末まで、秋田デスティネーションキャンペーンが、更に来年は、国民文化祭が秋田県を主会場に開催されます。
   
  なお、現在県の事業として、県外で秋田スギを使用した家を建てた方に10万円相当の秋田県への旅行ギフトなどをプレゼントするキャンペーンを実施中です。「秋田スギ」の家を建てると、「秋田スギ バスターミナル」に会えます。是非、この機会にご利用ください。
   
  秋田駅バスターミナル完成は、木材を活かした街並みづくりのスタートだと思っています。スギなどの木材利用は、国の施策の後押しもあり公共建築物での木造化はかなり浸透してきていますが、街並みづくりとなると、行政だけでは対応がむずかしいのが現実です。
   
  しかし、今回のバスターミナルの例を挙げれば、民間の一企業の考えに様々な方々の熱意が加わり、このような成果が生まれました。突き詰めれば、根気と熱意がどこまで続くかだと思います。私も、体力・気力が続く限り、木材を活かした街並みづくりのお手伝いをさせていただきたいと考えています。
   
  最後に、建設に携わっていただいた秋田中央交通株式会社伊藤専務様、鈴木部長様、南雲様、小野寺様、陰の仕掛人 菅原先生、更には、秋田で開催した講演会でバスターミナル建設に弾みをつけていただいたJR九州大分支社長 津高様、施設部 福田様、そして秋田駅周辺の街並みづくりに関わっている関係者の皆様に感謝申し上げ結びとします。
   
 
  秋田駅バスターミナルの完成に先立ち、今年の7月に完成した秋田空港ターミナルビルの木質化。秋田空港ターミナルビル国内線ロビー
 
  秋田空港保安検査場
   
   
   
   
   
   
  ●<いずみやま・よしあき> 秋田県職員
秋田市生まれ
酒造会社、国鉄秋田支社勤務を経て現在、秋田県庁農林水産部林業木材産業課 勤務
日本全国スギダラケ倶楽部会員NO.1232
   
 
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