<今後>
歴史が物語るように、西川材は良くも悪くも首都圏に近いという立地の上に成り立っています。繁栄から衰退へと進み、今まさに、崩壊か再生かの瀬戸際に立っていると思います。10年20年のスパンで進められる猶予もありません。今出来る事を積み重ねて、3年後、5年後には結果を出さなければならないという切迫した状況です。
江戸時代に江戸っ子に「西川材」と呼ばせたように、新しい「西川材ブランド」を創るために、「杉材」が重要な役割を果たすことになるのは間違いありません。
杉の柔らかさと温かさ、軽さと耐久性、そして価格の安さを存分に生かした製品や環境が創り出せたら、都市の人々がきっと振り向いてくれると思います。そして、振り向いたらすぐそこにあるのが西川材です。
東京の皆さんの身近にある自然の恵みであり、空気や水などの環境を整える役割も、最も直接的に担っていることも含めて、もっともっとアピールしなければいけません。そのためには、木材に対する深い理解の上に立った斬新なデザインや利用方法が、これからの道を切り開く最も重要なポイントではないでしょうか。近年では、住宅の構造材以外で針葉樹(特に杉材)を利用することがとても少なくなってしまいました。全国の人たちが杉花粉で困っていますが、それだけ沢山の杉の木が日本にはあるということです。そして、その杉は適切に伐って使うことにより、自然にも人にも優しい環境をつくっていけるものなのです。
言うまでもありませんが、「木」は自然素材ですからひとつとして同じものはありません。その中でも杉は個体差が大きく、特に個性的です。100本あれば100通りの、いやそれ以上の使い方があって当然です。皆さん、ぜひ杉の木で遊んでください。常識にとらわれず、いろんな使い方を探してください。どんな時でも温かく包んでくれる杉の木が、たくさんの人を喜ばせてくれることになると思います。そして私たちはそんな素材を自信を持ってお届けします。
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