連載

 
杉暦 おまけ篇------「これがほんとのタカスギタ 」
文/写真 石田紀佳
 
 

 
1月のおまけ

 
 

 某定点観測地でいつもお世話になっているMさん。ご本人の名誉にかかわることなので、お名前もお顔もお教えできませんが、この方がいないと杉暦も生まれなかった、と断言できるくらいノリスケはお世話になっていますし、たいへんに尊敬しているのです。
 そのMさんのところにいつものようにぶらりとあいさつに行ったら、なんと、杉の梯子をつくってらっしゃるではありませんか! これは写真におさめねば、とカメラをもって出直して、あらためてインタビューすると、去年伐り出した杉の丸太を一年乾燥させて梯子にしたとのこと。これから三本脚の一本を竹でつくるため、真竹をあぶって曲げるのだとおっしゃる。
 竹をあぶるところがまたかっこいい。さすがMさん! とちょうど来た農協のお兄ちゃんとほれぼれしながら見学しました。なんでも松の剪定をするために、今まで使っていた梯子(たぶんおじいさんがつくったのだろう)では長さが足りなくて、構想アンド準備1年の末、今日がやってきたのだという。うわぁ、こんなところに立ち会えるなんて、やはり杉のとりなす縁だろうか、と私もしみじみしておりました。
 そしてとうとう立ち上げることになったとき………悲劇がやってきたのでした(喜劇といったほうがいいのですが、Mさんの落胆ぶりからするととてもおおっぴらには笑えません)。
 重すぎてひとりでは持ち上げられない……。
 ようやく三人がかりで立ち上げたところ、タカスギて恐くて登れない。ゆらゆらする。まさか、消防隊の出初め式ではあるまいし……、怪我をしては元も子もない、と私と農協のお兄ちゃんは短くすることを必死にすすめ、泣く泣く梯子の上部をカットしたのでした。
(使いやすそうな三段梯子ができました)
 後日、松は剪定され、Mさんも無事でした。ほっ。

 
 
 
  たけあぶり:裏の竹やぶで伐りだした竹をあぶる

 
     
  竹部分:えいやっと曲げて結わえる   タカスギ梯子:松よりはるかに高いまぼろしの杉梯子、上部三段が撮影後カットされた
 
 
 
 
 
   

 

   
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