隔月連載
  「ナガスギの日」を目指して その5
文/写真 内田 利恵子
   
 
  「ナガスギの日」を目指して その1
  「ナガスギの日」を目指して その2
  「ナガスギの日」を目指して その3
  「ナガスギの日」を目指して その4
  「ナガスギの日」を目指して その5
   
  『 続けるから繋がるのか? 繋がるから続けるのか? 』
   
 

前回の報告(月刊杉112号)から1年が過ぎた。隔月連載のはずなのだが、、、あれ?(汗)
この間ももちろんいろいろなナガスギ的活動は続けていた。それはとてもゆるやかに。あちこちへの出動、出展、出品などの機会もあった。それにより不思議な出会いや、再会もあった。さて今後はどうなるのか?今回は少し、ナガスギ活動の行方について考える機会にしたいと思う。

 仕事ではなく、誰かの指令でもないナガスギ活動。夢や希望は大きいのだが、未だに落としどころが見えにくい。というか、決まっていない?はたまた、決めようとしていないのか?こんなにだらしないと言えばだらしない状態は、別にやる気がないわけではないのだ。やる気はあるまま、どうしていいのかわからくなっているのだ。

思えば2012年の杉コレ受賞がきっかけで商品化を目指そうと思い始めて足かけ三年。試作制作をし始めてからまる2年が経つ。先日念願の10号基、11号基がめでたく誕生した。制作をつづけながらも、このところ商品化に向けた動きが少し停滞しているようにも感じる。久しぶりにこの連載を読み返すといろいろな時代があった。鼻を膨らませていた時期。組織を立ち上げた時期。積極的に発信していた時期。しかし、未だ商品化に至っていないのは、あまりにも素人だからか、何からしないといけないのかいろはのいの字もわからないままもがいている感じなのだ。

 実は、若干商品化を断念し始めているきらいもある。でも、ナガスギプロジェクト事態をやめる気になれない。理由はよくわからないけど、やめてしまいたくないのが本心なのだ。なぜ続けるのか?なぜ辞めないのか?何のために続けるのか?そこに何があるのか?何もないのか?・・・いや待て、これまではあった。

 間違いなくあったのは、出会いや、繋がり。先日も大阪のイベントに出展していたら、吉野の製材所で数日前から働き始めたという子がナガスギを見て近寄ってきた。たまたまふらりと寄ったイベントでこの材を段取りしてくれている吉野中央木材の石橋さんも知っているという。なんという偶然。また、別の日にはとある写真展のクロージングで出来たてのナガスギ10、11号基を使って飲むことになり、ちょうど1年前の『3K展』で出会った人と再会した。これまた不思議。

そうして、ナガスギがらみで出会った人にはほぼ「いいね!」と共感され、会話が広がる。気に留めてもらえ、貸し出しを依頼されることも増えてきた。大きなことではないけれど、きっとこの先もこんなご縁は繋がっていくはず。続けるから繋がるのか? 繋がるから続けるのか?よくわからないが、そこから何かが生まれる予感がしてならない。今のところはこのまったりペースの広がりを心地よく、ありがたく感じている。活動ペースはいろんな状況で変わることはあるが、その予感に期待して、気長続けていきたいと思う。

 この前、若杉さんが「おれ、やってやろうか?」と言った。思わぬ言葉にびっくりするやら、うれしいやら、怖いやら。若杉エンジンがかかると、間違いなくモーレツなスピードでコトが進むはず。それに体力がもつように、しばし筋トレ的な活動で体力をつけておきたいと思う。ああ、恐ろしや。

   
 
 
かわいくできたナガスギ10号基 川上村鳥居由佳の「お杉」を使用。   もっとかわいくなった11号基
   
 
 
  試作の試作のナガスギ0号基を使って作った9号基。これまでで最強強度。作るはナガスギモデラーの賀來寿史。
   
 
 
  座面を仕上げる鉋の音が気持ちいい。金物を使わず、30φの軸棒に9φの込み栓でこれまでで最強軽量化実現。
   
 
  つくれる家具とナガスギのコラボによる屋台空間でにわかに宴会が始まる。
   
   
  「ナガスギの日」を目指して その1
  「ナガスギの日」を目指して その2
  「ナガスギの日」を目指して その3
  「ナガスギの日」を目指して その4
  「ナガスギの日」を目指して その5
   
   
   
   
  ●<うちだ・りえこ> 1級建築士。建築設計室Morizo-主宰。LLP吉野やままちライブラリー暫定館長代理。
建築設計室Morizo-HP
 木から森から創造する心地いい空間を目指します。
LLP吉野やままちHP  林業、製材、加工、デザイン、まちづくりのメンバーが、やまとまちを繋げます。
   
 
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