新企画

 

スギダラケな一生/第1笑

文/ 若杉浩一
 
 
 

突然ですが、今までスギダラ家奮闘記をご愛読頂きありがとうございました。
さっぱりスギダラ家は目処が立ちません、というか、翻弄され続け,先が見えませんので、再開まではしばらく企画を休止したいと思います。
そして、新企画「スギダラケな一生」をお送りしたいと思います。
もとはと言えば、2月の中旬に南雲さんに誘われ、宮崎の日南市油津(運河沿いの開発を南雲さんや小野寺さんそして辻さんが関わっている)へ「エコプロダクツ展」の報告や評価を地元で行なうために企業側の協力者として講演に誘われたことから始まる。(内容は南のスギダラで報告されてます)
その時、地元飫肥杉の紹介と歴史を伝える映画「飫肥杉の一生」が上映された。モノクロの昭和初期の名残があるノンフィクション、ドキュメンタリーである。
1時間ほどの内容だが実に、面白かった。地元がいかに杉とともに復興し、そして隆盛を極め、文化が醸成していったか、そして如何に人々が財産として大切に関わってきたかが伝わる内容だった。(皆さんチャンスがあったら是非ご覧下さい。というか、これ教育の素材として結構いいと思います。是非流通させるべきだと思います。)

 



 
映画「飫肥杉の一生」より。杉を運ぶ。海が道路。
   
 
このころからインターナショナル。アジアの海を渡る。
  陸でもブイブイならす。トラックの行列。圧巻。
 

 

川も道路。どこでも通る。

 

それを見て南雲さんが「いいだろう? 若ちゃん。この飫肥杉の一生というタイトルがいい、無法松の一生と絶対かけてるよ」 なんと一方的な推測であろうか。しかしこのような会話の中でこの企画が成り立ってしまった。まあ杉にまつわる暑苦しい人生と言うか、余計なお世話的な杉活動の報告を繋いでゆき、スギダラケな一生や二笑が出来ればと思う。


さて、今回はその一回目、今回秋田からの出来事をお話したい。秋田のすぎっち(菅原さん)からの報告のとおり、秋田窓山のデザインコンペが内田洋行潮見オフィスロビーにて開催された。
ことの発端は、モクネットの加藤さんから連絡があり、ホームページに既に開催場所内田洋行、審査委員長、南雲勝志。審査委員、若杉浩一と書かれているのを発見することから始まる。後になってわかったが、どうやら東京に加藤さんが来た時に、杉ダラバー「志村や」で加藤さんの要請に軽く千代ちゃんが了解を出したことが後から発覚する。だいたいいつもそうである。千代ちゃん「任してください。僕らがやりますから」と言うのである。しかも今回はその言葉を残しつつ会期直前に上海に出張してしまった。僕は彼に良く言う「おいちょっと待て、僕がやります、は解る。その僕らの『ら』って誰か?」
「何いってるんですか、『ら』って若杉さんのことを言うんです」である。このせいで僕は、宮崎で司会業までやるはめになった。全く困ったもんである。

 
  このあと千代田の僕ら発言で決行されることとなる 筆者は知る由もない
 
 

このあと千代ちゃんはミーティング半ばで上海に行くこの後の準備は全て任されることとなる 筆者

 

そうなのである、スギダラには暗黙の運命共同体というか、被害者友の会的な繋がりが存在する。南雲親分の「若ちゃん××したいんだよね?」は「やって、くれないかな?」と解釈し加藤さんの「応援してよ」は「全部やって,お願い」である。(今月号、すぎっちの記事参照)しかし僕はこの一見投げやりな、他人任せな行動が重要だと思うのである。
普通は、だいたい、いい加減に役目を任せっきりには出来ない、いやそれどころか、申し訳ないからと思い、人に頼むくらいなら自分がと思う。人に任せる、「身を委ねる」ということは簡単そうで実に難しい。凡人は、あれやこれや心配し、手助けをしたり、ちょっかいを出したりする、任せているつもりが誰がやっているのか解らなくなる、それどころか失敗等すれば、お前のせいだ、いやお前が悪い、なんて話になる。ところが、スギダラ流はここが違う。パスを渡された時点で、やっぱりと諦めながらも、それぞれの役割を、あっという間に喜びをもって皆で共有できる関係がある。それどころか、無理難題だったとしても出来上がったことの喜びで一杯になる、誰もが責任者なのである。
むしろ、頼まれたことを喜びにすら感じている。
したがって、加藤さんの一方的な告知は、むしろ,仲間である喜びを感じた。
「やっぱり、加藤さん、やることが強引だわ、まいった。さあ,みんな、やるぞ!!」

 
  一人カメラ目線の加藤さんと被害者友の会 秋田の酒は美味しかった
  そうなのである。頼られる,任せられるということは、受け手も大変だが、頼る側の度量や人柄が重要なのである。しかも、万が一失敗したとしても受け取れる自信が必要である。 僕らの会社でも日常的にプロジェクトや仕事の中で、誰が責任を取るのか?とか、そんなことまでやるつもりはありません。とか、やるべきことは何処までなんですか?なんて会話が飛び交っている。僕は思う、そんなことに気がついているあなたがやればいい、誰も止めはしないしむしろそのことに応援する準備がある。人は与えることで魅力が増す。
委ねられた時こそ魅力が増すチャンスなのだ、スギダラはそういった意味では魅力の宝庫である。
頼みもしないのに余計なお世話や、楽しい出来事が起こってくる。
なんと、暑苦しい仲間であろうか。加藤さんの「そんなの、当たり前だべ?」と言う声が聞こえる。ねえ、加藤さん,千代ちゃん。
 

 

 
  ●<わかすぎ・こういち>インハウス・プロダクトデザイナー
株式会社内田洋行 テクニカルデザインセンターに所属するが、 企業の枠やジャンルの枠にこだわらない
活動を行う。 日本全国スギダラケ倶楽部 本部デザイン部長




   
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